119番通報の急増に対応するため、東京消防庁は来月1日から、救急隊員が現場で救急搬送の必要のない患者を選別する「トリアージ(患者の選択)」制度を全国で初めて試験運用する。
社会の高齢化もあり、搬送の遅れが重大な結果を招くケースが増えていることから、軽度の患者や救急車をタクシー代わりにしようとする通報者には民間搬送の利用を求める。これによって年間約5000件の搬送が不要となる見込みで、同庁は、通報から平均7分30秒かかっている救急車の到着時間の短縮につなげたいとしている。
東京消防庁によると、都内(東久留米市、稲城市、島しょ部を除く)の救急車の出動件数は、1995年の44万8450件から、2005年には69万9971件に急増。これに伴い、救急車が到着するまでの平均時間も、95年の6分18秒から05年には7分30秒と、1分12秒も遅くなった。
現行の消防法には、救急搬送の対象となる「緊急性のある患者」について明確な定義がなく、同庁では、119番の通報者を便宜的にすべて緊急性があると判断してきた。このため、「胸がどきどきする」「子どもの手に湯がかかった」といった程度の訴えや、病院の入院患者が転院に利用するための通報でも患者の要求通り搬送に応じてきた。
こうしたことから、救急搬送業務はパンク状態で、今後、救急車の到着遅れが生死にかかわるケースの増加が予想されることから、同庁はトリアージ制度の導入で緊急性の判定を明確にすべきだと結論づけた。
実際、同庁が昨年9月19日~10月31日と今年2月の計71日間にあった12万115件の搬送者を調べたところ、緊急性が明らかに認められないケースが0・7%あることが判明。同庁は、これをもとに年間約5000件の出動要請については緊急性がないと試算した。
実際の試験運用では、救急隊員に判定シートを持たせ、「出血を伴う手足のけが」「手足のやけど」「鼻血」など七つの事例別に、「マヒがない」「やけどの範囲は全身の1%以下」「頭部などに外傷がない」といった項目にすべて該当すると、救急隊員が患者の呼吸や脈拍、年齢などを考慮したうえで民間搬送などを紹介することになる。
それでも患者や家族から搬送を強く求められた時、どう対応するかという課題も残されており、来年3月末までを試行期間とし、本格運用に向けた問題点を洗い出したい考え。
総務省消防庁も昨年7月、全国の救急搬送にトリアージ制度導入が可能かどうか検討を始めている。
民間搬送 入院中の患者を別の病院に移す「転院搬送」など、緊急性の低い患者を、民間業者がワゴン車で搬送する業務。東京消防庁は2004年10月に専用のコールセンターを設置し、同庁が認定した約100の事業者が年間約4000件を請け負っている。05年9月からは救急救命講習を受けた運転手が乗務するタクシー「サポートCab」を紹介する制度も始まった。
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コメント
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私(Ns)はERで働いています。
『緊急性が明らかに認められないケースが0・7%あることが判明』とありますが、実際は30%はあると思います。もっと多いかも。
あと、夜間救急はもっと診療費を高く設定して欲しいです。そのお金こそ、何時間も眠らずに働いている医師をはじめ、過酷な労働を強いられている医療者に還元すべきです。
それにしても、確かに軽症患者の救急車利用は困るのですが、
果たして救急隊員がトリアージできるんでしょうか。
彼らが正確なトリアージができるとは思えませんし、
モラルの低下した利用者が素直に救急隊員の言うことを聞くとも思えませんし・・・。
江原朗.小児の時間外・休日・深夜受診における受診数は全受診数の10%を超える.小児科. 2006;47:391-394.
http://homepage3.nifty.com/akira_ehara/my_paper/shonika47_391_2006.html
江原朗. 病院小児科医と労働基準法. 小児科. 2003; 44: 871-873.
http://homepage3.nifty.com/akira_ehara/my_paper/shonika44_871_2003.html
小児科の不採算性が指摘され、一方で時間外の受診数が激増し、病院小児科医療は危機に瀕している。救急当番の比率は小児科医の少なさから、内科医に比べて5割以上多く5)、日本病院会に加入する施設のうち、内科医が月5回以上救急当番をしている施設が2.2%であるのに対し、小児科医が5回以上救急当番をする施設は25.8%を数える5)。しかし、小児時間外受診者のうち、一次救急で対処できない患者は4.3%に過ぎず5)、実際には救急の名称はなじまず、いわゆるコンビニ医療といわざるをえないのが実情である。
ありがとうございます。そうですね、やはり夜間の医療サービスを昼間と同等に求めるならば、しっかり働いたスタッフが休めるような仕組みがほしいですよね。
産婦人科研究医せんせい>
それでも、これ以上、医師が救急から撤退してってはまずいように思います。利用者の負担が軽いから、コンビニ受診・・結果として地域医療が破綻に向かうのですから。一部は仕方ありません。あるいは全額税金で払うかです>医師や救急隊の賃金を。
eharaせんせい>
ありがとうございます。そうですか、小児科も昼間は医療費無料でも、夜間は無料というのはダメになるといいのですが。
やはりそういうシステムも必要かと思います。コンビニとは違いますから、きちんと日中の受診へ誘導してほしいですね。
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