「実香が人生をどんなに楽しみにしていたかと思うと、涙が止まらない」--。大阪市内で28日開かれた産科医療事故被害者らによるシンポジウムでは、昨年8月、大淀町立大淀病院で分娩(ぶんべん)中に意識不明となり、その後死亡した高崎実香さん(当時32歳)の実父母の手記が披露された。義父の高崎憲治さん(53)が預かった便せん4枚をゆっくり丁寧に読み上げ、悲痛な訴えにすすり泣く来場者の姿もあった。
実香さんは、満床などを理由に19病院に緊急転送が不可能と回答された。意識不明から約6時間後に20カ所目の大阪府吹田市の病院に運ばれたが、脳内出血で亡くなった。
実父は手記に「娘が長時間失神しても、助産師が対応していた。患者の命を考える医療を確立してほしい」とつづり、病院の対応や、県内の医療体制整備の遅れを批判した。実母は「医師がもっと早く診察していれば、他の病院での帝王切開も考えられたのでは」「病院は(妊娠高血圧症候群の妊婦などがけいれんを起こす)子癇(しかん)だと説明しただけ。最後には家族の方でも病院を探して下さいと言われた」と無念の思いを吐露した。
堺市から訪れた秋吉希さん(33)は、出産時に子どもを亡くした経験があるといい、「私の事故でも、病院からは不可抗力とだけ説明された。病院側には十分な説明をしてほしい」と話していた。【石田奈津子】
毎日新聞 2007年4月29日
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これらの一連の報道は医療関係者のコメントは一切なしで、記事を埋め尽くすのは患者さんや被害者の視点だけです。ただ、常識的に言うと、命の現場では、完璧さを追求するのは無理があります。結果としては確かにこの病院では、かけがえのない家族を失った遺族のお気持ちを述べる場であってもよいでしょう。
しかし、マスコミは客観的な視点をもてないまま、あいかわらずの患者さんと同じレベルでしか報道できていないと、感じます。
病院側がマンパワーがほとんどない所で過酷なことに産科医一人、脳外科医もいないところで困難な患者さんに遭遇して困った状況は想像に難くないはずなのに(奈良県の内部で引き受け手がまったくいなかったのは行政の手落ちですよね)、涙が誘う…だけでは報道側には建設的な態度が見られない。
母体死亡の悲劇が繰り返されないのを願うのは患者さんのご遺族だけではない、われわれの医療従事者にとっても、これは悲劇です。
まして、マスコミによる誤報の垂れ流しによって、医師&病院叩き番組や報道の嵐が、現場の士気をいかに下げたか?結局、奈良県も福島県でも舞台となった病院だけでなく、一斉に「全国の一人赴任の産科が廃絶」に追いやられたのは、どうして起きたと思いますか?
自分は、マスコミ各社の「病院が悪者論」には賛同できませんし、一方、今回の記事をきっかけとした毎日新聞のA記者個人を叩くことはしません(ただし奈良県支局長には苦情メールは送った…が無反応であった)。
しかし、トップ記事にして他社を出しぬいて、魔女狩り報道にならないようにA記者が心がけたという割りには、新聞社全体として、こういう「お涙頂戴」な記事で終わらせてしまうことは、本来の公共のための報道ではない。
その後、奈良県の周産期医療がどうなったか?きちんと足があるのだから、現場検証もほしいところです。お産の事故がゼロを!というのであれば、産科医の先生方が過重労働や医療事故の魔女狩り報道で辞めるような事態を招いてはならぬはず。むしろ、産科医や助産師、看護師さんがチームを組んで医療事故を十分に防げるような環境をマスコミは実現できているかしっかり追うべきでしょう。
常識的に「患者のご遺族」がこういっただけで記事にするから、偏る。そこにいた看護師さんや助産師の声もほしいし、まして医療事故の被害を受ける以上に、魔女狩り報道でさらに産科医がさらに地方からいなくなる可能性が増したとい認識がないのであれば、「放火犯の消火作業」と同じで「産科医療について報道を行う資格はない」と感じました。ぽち→![]()
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