集中治療室について、厚生労働省が指針を出してきました。集中治療室の事故発生率が高いからでしょうが、実際問題として、病院のどこでも事故はおきるし、救急や集中治療室、オペ室など緊急性の高い医療を行う所では、スタッフの習熟や機器の整備によっては危険度の高い事故が生じる可能性があります。
この実態は以前から分かっていると思いますが、この新しい指針は病院や医師側にとって新たな負担でしかありません。
集中治療室の医師は常勤といえ、24時間居るワケではありません。不在時はやはり当直医が詰めることになります。結局、交代制をしくならば、5~7人は必要でしょう。しかし、これは病院に対して、医師の確保する費用を押しつけ、常勤医師をおかせて誰でも専門でもなくて医師がいれば、結局、それでよし。
内科医や外科医の確保に汲々としている病院にとり、今まで以上に負担増です。地域の拠点・基幹病院は救急治療の大切な引き受け手ですが、救急医学の専門の医師は実はすごくなり手が少ないのです。
その数、全国でたった2500人あまり。救急科専門医名簿(2007年1月1日現在 2,509名)をみればわかりますが、分布は都市部に集中しています(人口80万人の島根県13人、人口186万人の三重県10人、人口730万人の愛知県114人、人口880万人の大阪府274人、人口1267万人の東京都394人)。
救急専門医の集まらない地方の基幹病院の場合、一般の内科や外科医がつとめることになります。結局、そのために救急に不慣れな医師までもかり出されるのですが、医師不足のおりもあって常駐させるだけの余裕がない病院もあるように思います。
ちなみに新しく救急専門医をとるのに元上司が四苦八苦していたのを覚えています…自分はとるには経験が不足していましたし、取るために新たに大学病院に勤務して経験を積まねばならないような仕組みで一般の病院クラスでは、なかなか育成もままなりません。
さらに数年ごとに学会発表をしないと維持できない制度、誰もが大変苦労する。でも当たり前なんですが専門医を持っていても給料が増えたり、有給休暇が特別多いなんてことはありません。
病院の中でも雑用係として何でも屋みたいにコキ使われ、会議でも事故防止対策とか色々言われるだけで、うれしくも何ともない…そんな面倒な立場に追い込まれてしまう…そんな気がして同期の医師でも取ることは少なかった救急専門医。
国はいいですよね…答申をもとに勝手に指針とか出すだけだから。だけど言っておく、人手不足の折、そんなことを言ったら救急病院で確保できないところは救急医療から撤退するし、無理できなくなります。ただでさえ不採算の現場に人を確保するお金(今まで以上に育成に10年近い専門教育に時間がかかります)を国はほとんど投入しないで実現させたいようです、でも僕の経験からそんなの無茶ですよ。そして小児科や産婦人科の二の舞になるのではないか?そう思いませんか?ぽち→
ICUに専任常勤医 厚労省 医療ミス防止へ指針
FujiSankei Business i. 2007/2/18
厚生労働省は17日までに、集中治療室(ICU)での治療が必要な重症患者に対し、安全に医療を提供するための指針をまとめた。致命的となる確率が高いICUでの医療ミスを防ぐため、ICUに医師の責任者を1人配置し、指揮系統を明確にするほか、人工呼吸器などの生命維持管理装置を操作する際は記録で残すと定めた。
指針は、ICUに専任の常勤医を病床数と患者重症度に応じ1人以上、看護師は患者2人に対し1人以上置く。責任者の医師のもと、薬剤師や臨床工学技士などと連携したチーム医療を行うため、1日に最低1回は打ち合わせをする。ミスを防ぐため、引き継ぎの際は文書で情報伝達を行う。
生命維持管理装置については、操作やトラブル処理のためのマニュアルを整備し、使用状況を記録で残す。
このほか、ICUでは患者が極度の不安に陥りやすいため、病室の配色や照明、採光などに配慮するとした。
日本医療機能評価機構が2005年、全国272の医療機関を対象に行った調査では、一般病室で起きた医療事故477件のうち死亡事故は62件(13・0%)だったのに対し、ICUで起きた医療事故35件のうち死亡事故は11件(31・4%)。ICUでの事故は、患者の死につながる確率が高い。
コメント
コメント一覧
まだ『指針』そのもの自体を読んでいませんので、詳しい議論はまだ出来ないでしょうが、過去の議事録を読んでみると、面白いですね。
www.mhlw.go.jp/shingi/other.html#isei
1日目議事録
○平澤部会長
議論の途中ですが、局長がお見えになりましたので、ご挨拶をいただきたいと思います。
○医政局長(松谷)
お話の途中、大変申し訳ございません。医政局長の松谷でございます。遅れて参った上に、実は12時からまた国会に行かなければいけません。国会が金曜日から始まりまして、忙しく大変恐縮ですが、よろしくお願い申し上げます。
先生方には大変お忙しい中、作業部会のメンバーになっていただきまして本当にありがとうございます。医療安全につきましては、かねてから我が国の国民の関心事として大きくクローズアップされて、厚生労働省としても1つ1つ対策を積み上げてまいりました。
今回、お願いしているICUにおける医療安全管理指針につきましては、厚生労働大臣アピールの中でも取り上げられた項目でございまして、是非、良いものを作っていただきたいと考えていますので、どうぞよろしくお願い申し上げたいと思っております。
医療安全につきましては、時々いろいろなことが起きますけれども、現場の方々のそれぞれ真摯な取組みによって、少しずつ改善されている状況が見られると私どもは考えています。しかしながら気を緩めることなく、1つずつやるべきことをやっていくことが大事ではないかと思っています。当作業部会でのご審議にも大いに期待をしたいと思っています。私どもも努力しますので、是非、先生方もよろしくお願い申し上げたいと思います。審議の途中で申し訳ありません。よろしくお願い申し上げます。
○平澤部会長
最近は病棟クラークなどが配置されているところもありますね。
○前川委員(代)氏家先生
病棟クラークなど、統計的な人たちがやはり圧倒的に多いですよね。医師は医療をやっていて、データはほかの人が取っていくというようにしていかないと、とてもではないけど、できないのではないですか。
○武澤委員
やはり医療安全にはお金がかかるというのも、ちゃんとこの中に入れましょうよ。
○平澤部会長
それはそうですね。それは私も痛感していますので。今日はお忙しい中お集まりいただき、実りある議論をいただいたと思います。
3日目議事録
○平澤部会長
ミニマム・リクワイアメントなのか、理想までかなり含んだものなのかということになると思いますが。
○石井委員
なぜこんなことを言うかというと、結局医療全体のコストを考える際に、ここに何も書いてなければ、医療費をもう1回削減してもできるではないかというような話になったのでは困るということです。ちょっと穿った言い方をして申し訳ないのですが、入れたほうがいいだろうということで申し上げました。
ざっと読みましたが、第6回までの議事録は、医療コストに関する論議が極端に少ないです。アメリカを例に挙げて机上論をぶつけていますが、会議に出席されている先生も気が付いておられると思いますが、全体のコスト・人員・労働時間に関しての論議が欠如している茶番である印象を受けました。
『やはり医療安全にはお金がかかる、、、』、まさにこの論議が必要かと思います。
一般病棟患者が転落する確率のほうがICU患者の転落率よりも高い(動ける患者がそもそもいない)だろうし、輸液管理はむしろICUのほうが詳細にわたって行われている。一般病棟での心停止は看護師が巡回しないかぎり気付かないが、ICUでは随時観察している。
内容の空虚なフィードバックのない比較論だ。
そんなことより、一般病棟内ではどの部署(科目)が死亡率が高いか、ICU内のどの勤務帯に高いかを比較検討して、人員配置に重みを持たせるべきだ。
科学を、文系人間の無知でエセ分析するのはいいかげんにしてほしい。
ICU単体で収支をみれば、現状、ほぼ全ての病院で赤字でしょう。赤字の多くは人件費により生じています。この赤字を少しでも抑えるため、実際に高い機能を有していても、あえて認定施設とならない病院もあります。いずれにせよ、ICUという空間を設置する理由は、病院機能として必要であるとの考えがあるからです。病院全体としての効率を考えての設置で、効率的に運用されていると考えられます。
また、ICU管理のプロと言える専門医は、救急専門医と集中治療専門医の2つだと思います。前者は、認定基準がハイレベルであり、後者は認定とその維持が難しいことは周知のことです。このことも厚生労働省や裁判所は、十分理解していないフシがありますね。
遠く海外からのアクセスありがとうございました。医療に投入する資源(人・物・金)をどこから調達するかという議論は政策を語る上で欠かせません。その視点が行政側に欠けているようでは、またどこかが削られるだけですよね。今後ともよろしくお願いします。
脳外科見習いせんせい>
一般病棟の方がスタッフが少なく、救急時には大変なことになることが多いように思います。それにしてもお役人の作文で事故が減るのだったらどんな楽か?対策には指針だけでなく、お金も必要ですし、あとでその後減ったかどうかの検証作業も必要ですよね。
Youngせんせい>
専門医を増やすために、何もしない政府はどうしたいのやら目的がわかりません。
ぴせんせい>
一般病棟でも救急医療は行いますし、トレーニング不足のスタッフが多い所や、新人研修が一段落して各自が現場に入った頃、そうこれからが多いですよね。自分も夏頃になぜかトラブルが多かったような…。
救急専門医と集中治療専門医、どっちも大変な仕事なのに取られた先生を酷使することになるので、大変ですよね。
この加算をとるために、見かけ上ICU施設の基準を満たしている病院も結構あるようです。
ICU加算馬鹿になりません。
まじめにICUを運営しているところは赤字でしょうがこの加算を取るためのなんちゃってICUをやっているところは黒字でしょう。
厚労省もわかっているからこの、なんちゃってICUをどうにかしようと思っているのでは。
ICU自体を質的な向上をめざす…その時に、多少の落伍者は仕方ないとおもっているのでしょうかね?地方は大変になりそうです。
Doctor Takechanせんせい>
やはり人間関係や労働問題でしょうか。いずれにせよ、労働省側の規制当局がまったく機能不全のおかげですね。
いきなりの質問御容赦ください。11月からそういう体制を組むといきなり看護部から下りてきたものなので。。。。それでは失礼します
どこも現場は大変ですね。7:1などを行うには人材が必要ですね。また、いろいろと大変だと思いますが、がんばって上層部と交渉していくしかありません。無理して事故とかおきないことを願うばかりです。
コメントを書く