2007-02-13 薬剤溶出ステントに関する5つのオリジナル文献がNEJM誌にEARLY RELEASEとして発表されています。
【1つ目の報告】シロリムス溶出ステントとベアメタルステントの生存率をプール解析
A Pooled Analysis of Data Comparing Sirolimus-Eluting Stents with Bare-Metal Stents
http://content.nejm.org/cgi/content/short/NEJMoa066633
・シロリムス溶出ステントの安全性を評価した4つの試験データをプール解析し、ベアメタルステントとシロリムス溶出ステントの4年間の生存率を比較。
・4年間の生存率はシロリムス溶出ステントで93.3%、ベアメタルステントで94.6%(ハザード比、1.24;95%信頼区間、0.84~1.83;P=0.28)
・糖尿病患者428人のサブグループ解析では、シロリムス溶出ステントの方がベアメタルステントよりも生存率が有意に悪かった(95.6% vs 87.8%、P=0.008)。
【2つ目の報告】シロリムス溶出ステントとパクリタキセル溶出ステントの有効性・安全性比較
Safety and Efficacy of Sirolimus- and Paclitaxel-Eluting Coronary Stents
http://content.nejm.org/cgi/content/short/NEJMoa067193
・1748人の患者がシロリムス溶出ステントに割り振られた4つの臨床試験データと3513人の患者がパクリタキセル溶出ステントに割り振られた5つの臨床試験データをプール解析して安全性や有効性を比較。
・4年間のステント血栓症の発現率はシロリムステントグループで1.2%、ベアメタルステントで0.6%(P=0.20)、パクリタキセルステントグループで1.3%、ベアメタルステントグループで0.9%(P=0.30)。
・しかしながら、1年経過後にはベアメタルステントに比べて薬剤溶出ステントの方がステント血栓症のイベント数が有意に上昇。具体的には、1年経過後のステント血栓症はシロリムステントグループで5エピソード、ベアメタルステントで0エピソード(P=0.025)、パクリタキセルステントグループで9エピソード、ベアメタルステントグループで2エピソード(P=0.028)。
・標的病変部の血管再開通術の4年間の割合はベアメタルステントに比べてシロリムスやパクリタキセル溶出ステント群の方が大幅に低かった。
・心筋梗塞や死亡の割合は薬剤溶出ステント群とベアメタルステント群で有意な差は認められなかった。
【3つ目の報告】スウェーデンでの薬剤溶出ステント vs ベアメタルステントの長期転帰
Long-Term Outcomes with Drug-Eluting Stents versus Bare-Metal Stents in Sweden
http://content.nejm.org/cgi/content/short/NEJMoa067722
・スウェーデンのSwedish Coronary Angiography and Angioplasty Registryのデータを用いて、2003年から2004年にベアメタルステントで治療された13,738人と薬剤溶出ステントで治療された6033人を評価。
・3年間の追跡調査期間中、死亡と心筋梗塞の複合エンドポイント発生率に有意な差は認められなかった。
・6ヵ月時点では、ベアメタルステントに比べて薬剤溶出ステントの方がイベント発生率が低い傾向が認められた。
・しかしながら、6ヵ月を過ぎると逆に薬剤溶出ステントの方がベアメタルステントに比べてイベント発生率が有意に高くなった。
・3年時点で、死亡率は薬剤溶出ステントの方が有意に高かった(補正オッズ比、1.18;95%信頼区間、1.05~1.37)。薬剤溶出ステントの6ヶ月から3年までの死亡の補正相対リスクは1.32(95%信頼区間、1.11~1.57)。
・以上の結果から、薬剤溶出ステントはベアメタルステントに比べて死亡率が高いと分かった。
【4つ目の報告】薬剤溶出ステントの臨床試験におけるステント血栓症
Stent Thrombosis in Randomized Clinical Trials of Drug-Eluting Stents
http://content.nejm.org/cgi/content/short/NEJMoa067731
・シロリムス溶出ステントで治療された878人、パクリタキセル溶出ステントで治療された1400人、ベアメタルステントで治療された2267人を含む臨床試験にAcademic Research Consortium (ARC) が設定したステント血栓症の基準を一様に適応し、4年間の追跡調査データをプール解析した。
・この結果、薬剤溶出ステントとベアメタルステントのステント血栓症に有意な差は認められなかった。
【5つ目の報告】シロリムス溶出ステントとベアメタルステントを比較した14試験の解析
Analysis of 14 Trials Comparing Sirolimus-Eluting Stents with Bare-Metal Stents
http://content.nejm.org/cgi/content/short/NEJMoa067484
・シロリムス溶出ステントとベアメタルステントを比較した14試験における患者4958人のデータを解析し、死亡率、ステント血栓症、心筋梗塞、再介入などを比較。
・シロリムス溶出ステントとベアメタルステントで死亡リスクや心筋梗塞・死亡の複合エンドポイントのリスクに有意な差はなかった。
・シロリムス溶出ステントの使用と死亡・心筋梗塞・再介入の複合リスクの有意な低下に関連が認められた。
・シロリムス溶出ステントとベアメタルステントのステント血栓症のリスクに有意な差は認められなかった。
・しかしながら、1年を過ぎるとシロリムス溶出ステントでステント血栓症のリスクが僅かに上昇した。
・以上の結果から、ベアメタルステントに比べてシロリムス溶出ステントは長期の全生存や心筋梗塞フリーの生存(survival free of myocardial infarction)に有意な作用を及ぼさないとわかった。
・シロリムス溶出ステントの使用後には再介入の必要性が持続的に低下する。
・シロリムス溶出ステントのステント血栓症のリスクの高さは、ベアメタルステントに認められるのと少なくとも同等と考えられた。
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コメント
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いつもコメントやトラックバックありがとうございました。長期成績のコスト&ベネフィットなどまだ今の時点では決定的なものは出ていないでしょうが、アメリカはこういう研究など早く出てくるのがすばらしいですね。日本はそういう意味で「新薬承認」も「医療機器の承認」も前近代的なお役所仕事でアメリカから遅れてしまいがちです。結局、患者さんにとっては困るし、日本の臨床研究がぱっとしない成果をもたらしていますね。
ほぼ100%DES(SES)いれている施設から、30%にみたない程度の施設までばらつきがあったような。100%近い方の施設はAMIにもいれているんでしょうが(日本では適応外)、JBMとか知ったこっちゃないんでしょうなぁ…
周りではDMの方がDESを置きがちな感じなんですが、プール解析はエントリのバイアスはどうなんでしょうかね。読んでみないと何ともですが、DMの方が予後悪いとして、その中でBMSを選ばれるような人は元々予後が良いとかじゃなければ。
再狭窄率が良くて死亡率が悪いとなると考え直す施設も多そうですが…
AMIにも入れている施設に居ました。SATも体験しました。いずれにせよ、DMでは…というレベルを超えて何でもやっちゃってきた反省の時期がやってきたのかもしれません。再狭窄率よりもやはり死亡率ですが…そういう意味ではこれからですね。
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