2007-01-27 今週のLancetでは脳卒中が特集されており、Articlesの4報告は全て脳卒中関連の試験結果となっています。
およそ5000人を対象にした1つ目の試験では、一過性脳虚血発作(TIA)後の脳卒中リスクを評価するスコアがバリデートされました(The Lancet 2007; 369:283-292)。
ABCDスコアは、様々な要因にポイントを割り振ることで脳卒中のリスクを評価します。TIAから7日以内に計算した場合、その後2日間の脳卒中のリスクが高い人・リスクが中程度の人・リスクが高い人をこのスコアで同定することができます。
この報告に関連したエディトリアルにおいて、ABCDはTIA後の短期間の脳卒中リスクを評価する最も優れた方法であると著者は言っています。
2つ目の試験では、急性脳卒中が疑われる患者356人に対してCTとMRIの両方が実施され、MRIとCTの脳卒中診断精度が比較されました(The Lancet 2007; 369:293-298)。
この試験の結果、MRIの方がCTよりも診断精度が優れていると分かりました。MRIの診断精度は89%、CTの診断精度は54%でした。
著者は、急性脳卒中が疑われる患者の脳卒中の正確な診断にはMRI検査の方が好ましいと言っています。
3つ目の試験(SITS-MOST試験)では、ルーチンの臨床治療における血栓溶解薬・アルテプラーゼ(alteplase)の効果や安全性が評価されています(The Lancet 2007; 369:275-282)。
SITS-MOST試験では、285の医療施設でアルテプラーゼによる治療を受けた6483人の患者が追跡調査されました。アルテプラーゼは脳卒中症状発現から3時間以内に投与しなければならない薬剤です。
この結果、SITS-MOST試験でのアルテプラーゼの安全性プロフィールは無作為化試験での安全性プロフィールと少なくとも同程度に良好でした。
また、SITS-MOST試験の3ケ月時点の死亡率は11.3%、無作為化試験の混合データでの死亡率は17.3%でした。
この結果から、ルーチンの臨床治療の一部として血栓溶解治療を考慮すべきと考えられました。
4つ目のレトロスペクティブ観察試験では、急性脳卒中発現後48時間以内に通常の病棟に入院した場合と脳卒中ユニット(stroke unit)に入院した場合の転帰が比較されました(The Lancet 2007; 369:299-305)。
この試験の結果、通常の病棟で治療するよりも脳卒中ユニットで治療した方が追跡調査期間中の死亡や身体障害の危険が低下すると分かりました。
この結果から、ベッドとスタッフが予め配備されている脳卒中ユニットに症状発現後48時間以内に入院することが全ての急性脳卒中患者に推奨されると考えられました。
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なかなか興味深いものですが、ABCDスコア、知らなかったので調べたら、ここで教えて貰いました(すみません勉強不足で)。
http://shintagon.exblog.jp/2167064/
まぁ、内科も細分化されてどんどん覚えることも増えるのですが、全ての脳梗塞の患者さんを神経内科が診るというのは無理だろうし、僕も臨床に戻ったら、全く急性期を診ない訳にもいかないので、少しは勉強しましょうか…でも臨床を離れている時間がながくなっていくと使い物にならないかもしれません。
ちなみに、こういう集中医療にお金を配分を高くして専門医の育成をすると医師は不足します(真面目な話)。また夜間でもMRIを撮影できるようにするためのコストは医療費抑制の状況ですから、やはりごく一部の救急医療センターでしかできそうもありません。夜間CTがとれないと訴えられる時代から、やがては夜間MRIが不可能だと訴えられる時代が来る頃には病院は淘汰されつくすでしょうが、MRIの撮れる放射線技師を毎日待機させる…そんな医療費の増大に耐えられずに地方の病院から医療の砂漠化が進みそうな予感です。ぽち→![]()
ビッグ・ファーマ―製薬会社の真実
マーシャ・エンジェル (著), 栗原 千絵子, 斉尾 武郎
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発展途上国が血栓治療薬について国際的な特許の取り決めを無視したのは今回が初めて。タイ政府はまた、米アボット・ラボラトリーズ<ABT.N>の抗HIV薬「カレトラ」の後発品についても認可した。
タイの保健当局者らは、この措置によって年8億バーツ(2400万ドル)程度節約することができるとしている。
モンコル保健相は同日、記者団に対し、タイ政府の医療スキームでは安全で必要な医薬品を購入する十分な資金がないため、こうした措置を取らざるを得なかったと説明した。
同措置は2日から実施されるという。
2007/01/30 14:46
豊橋市民病院の小林淳剛院長は29日、記者会見し、小児外科医が3月末でいなくなり、休止の危機に陥っていることを明らかにした。産婦人科や小児科にも影響を与える大ピンチであり、小林院長は「大学医局に逆らっても自ら専門医師を探す」と懸命。精神・神経科はすでに3月末での休止を決めており、東三河の中核病院である豊橋市民病院まで深刻な医師不足に見舞われる事態となった。
同病院の小児外科は専門医1人で対応していたが、同医師が出身地の長野県に帰ることになったため、ピンチが訪れた。これまで再三にわたって引き止めて来たものの、今回は避けられない事態となった。系列の名大医局などに要請し「週2日派遣する」との回答を得た。
しかし、小林院長は「常勤でなければ困る。出産の際、胎児に問題が生じ緊急手術をするなど、常勤の専門医でないと到底務まらない。直接産婦人科に影響するし、小児科でも問題が起きる。大ピンチだ」と説明。「私自身が陣頭指揮し、探している」。
また、精神・神経科問題についても触れ、深刻な事態を明らかにした。入院・通院患者1570人(19日現在)のうち、1124人に紹介状を渡したが、いまだ446人に渡していない。このうち他院を受診し、紹介状の返事が届いたのはわずか150人、約1割。1420人の患者が受診していない。
今後、受診する可能性のあるクリニック(診療所)の総枠は600人程度。市内5カ所に精神病院があり対応総枠は820人程度あるものの、患者側に重度イメージがあって難しい事態に陥っている。豊橋市民病院の場合、軽度の精神障害であり、重度障害のイメージの強い精神病院を受診するのに抵抗感があるという。小林院長は「深刻な事態を受け止めた上で、最善を尽くしたい」と話す。
東日新聞2006/01/29
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やはり精神・神経科だけではなかったようですね。この大病院は900床で研修指定病院の一つです。 救急救命センターをやっている拠点病院では、充足感はない状況です。
最近の状況は「櫛の歯が抜けるように…」ではなく、ごっそりと抜けてします…一気に複数の医師が居なくなってしまい、診療休止に追い込まれている。
こういう危機的状況ですが、厚生労働省や行政は手をこまねいているばかり。ここで日医が…ってのは無理でしょうね。
じわじわと医療ネットワークが破綻しだしている。今年は医療砂漠元年。医師不足が都市部でも生じているように地方中核都市のレベル拡散しています。これを止める方策を行政は打てていません。政治(政党)もまた同じようです
自分が最後に勤めた市民病院の元部長先生と時々メールをやりとりしていますが、その先生は日医の活動をされているため、二つの政党の地方幹部から医療崩壊に関する提言求められて「県内でドクターバンクも作ったけど、機能していない、県できることは何かありませんか?」って聞かれたそうです。
この状況まで進んでしまっては、あまり妙案はないようです。政党もきちんと調査したりしているのは赤旗の共産党だけ。他の政党は医者の勤務状況とか日本医師会の支部や幹部レベルに聞くだけで、本当に必死に働いている現場の医師の声を聞かないで対策をしようとしている。無理なんじゃ?って思えてしまう。
こう自分はお返事しました。「病院を通して給与でお金を配るよりは、医師の確保には労働環境の改善が必須ですね。僕がいた研修病院は15年前は医師が108人いましたが数が増え160人を越えています。僕のオーベンだった院長先生に聞いたところ、医師の数が増えても赤字にはなってないようです。やはり集約しなきゃ生き残りません。僕の前の勤務先も医師の人数が増えないため、なかなか大変みたいです。医師数が多いところは部長や医長の当番や当番の回数は減りますし、何かあっても余裕です。たぶんお金に釣られる医師は今のところすごく少ないですし、気付いた人は議員にはいないでしょうね。」
いかがでしょうか?政党にとって医療職(看護師120万人、医師27万人)の労働者としての声をきちんと聞いてくれる政党があれば、僕らはそこに投ずるべきだと思います。結局、自民党などは医療費削減の厚生労働省の方針に基本的には賛成ですし、武見厚生労働副大臣は国会では「医師不足や、看護師不足は緊急事項です。地域医療の崩壊寸前で大変です」だなんて発言をなされたことなどないように思います。厚生労働省の狙っている病床減らしのための、病院取りつぶしにご協力するのも政権与党なので仕方ないでしょうが、地域医療が崩壊した場合、国民の恨みをかうのは日医も自民党も厚生労働省もみな共犯ですから仕方ないかもしれませんね。
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