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医師不足で産科の閉鎖が相次ぐ中、妊婦が集中する大阪府内の10基幹病院で、分娩(ぶんべん)予約を制限し、出産間近の胎児や母体の危険が迫っているハイリスクの妊婦の緊急受け入れ枠を確保しようとする動きが広がっている。すでに4病院が制限を始め、6病院の中には制限を検討する医療機関も。背景には、奈良県・大淀病院で意識不明になった妊婦が、奈良、大阪の19病院で転院を断られて死亡したケースなど、周産期医療体制の〈ほころび〉に対する危機感があり、関係者は「肝心な時に妊婦を受け入れてこそ基幹病院の役割が果たせる」としている。
大阪府では、新生児集中治療室(NICU)などを整備した43の医療機関が情報を共有し、加盟病院の空床状況をインターネットで照会するシステムがあり、10病院が特に高度な産科医療を担う基幹病院と位置づけられている。
その一つ、府立母子保健総合医療センター(同府和泉市)では、月110~140件だった分娩が、昨夏ごろから急増。昨年10月には163件に達し、緊急搬送に対応できなくなるため、翌月から分娩予約を100件以内に制限した。
末原則幸・産科部長は、福島県で帝王切開手術で女性を失血死させた執刀医が昨年、業務上過失致死容疑などで逮捕・起訴された事件を挙げ、「中堅病院が委縮し、対応できる症例なのに基幹病院へ妊婦を送り込んでくる事例が増加した。リスクの高い順に、基幹病院、中堅、産院と、症例に応じた産科医療機関のすみ分けを急ぐべき」と話す。
関西医科大付属枚方病院(同府枚方市)でも昨夏から、妊娠13週以降に初診に訪れた妊婦については、リスクが低い場合は他の病院を勧め、里帰り出産も断っている。神崎秀陽(ひではる)・産婦人科教授は「それでもNICUが満床の時が多く、緊急搬送を受け入れられるのは4割程度」と打ち明ける。
また、大阪市立総合医療センター(同市都島区)は今月から、正常産の受け入れの上限を月45件から40件程度に減らし、緊急搬送をより多く受け入れる体制をスタートさせた。
分娩が月150件を超える民間の愛染橋病院(大阪市浪速区)でも昨年12月から月120件程度への制限を始め、今年5月までの新規の分娩予約を断っている。緊急搬送が月10~20件はあり、出産費の負担を軽減する国の「入院助産制度」の認可を受けており、経済的に困っている妊婦の利用も多い。村田雄二院長は「制限は心苦しいが、身体的、経済的にリスクのある妊婦を優先的に受け入れていきたい」と話している。
出産問題に詳しいジャーナリストの河合蘭さんの話「病院探しに苦労する妊婦も出てるだろうが、『近くで産みたい』という意識を変える必要もある。社会全体で命の誕生を守っていかなければいけない」
■周産期医療
合併症や早産など母体と胎児・新生児のリスクが高い妊娠中から出産後までの緊急事態に備えた産科と小児科による総合的な医療。厚生労働省は、人口規模に応じて都道府県に1か所以上の「総合周産期母子医療センター」の設置を求めており、2006年現在で、39都道府県・61施設があり、奈良県など8県が未整備のまま。
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