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2006.10.20 07:22 |  診療  |  医療事故  |  マスコミ  |  SkyTeam  | 推薦数 : 10

医療崩壊:小松先生の講演会より

 色んな方からコメントを頂きながら、お返事が出来ずに申し訳ありません。現場で活躍されている先生がたのコメント、たらいまわしの事件に対する一般の方々の憤り(ま、そのままマスコミに投げてもらえるといいのですが)  など、みんな考えておられることは同じですね。安心できる医療を望んでおられる。みんなが希望するそういう安心できる体制を早く作ってくれることを願っております。
 さて昨日は「医療崩壊―「立ち去り型サボタージュ」とは何か」という著書を出版された虎ノ門病院泌尿器科部長 小松秀樹先生の講演会に行きました。 

「日本の医療を崩壊させないために」

  とても現状に合致した演題ですが、内容は非常に豊富でした。講演用の資料が25Pもあり、いわゆる現状分析と法律の運用などで何が問題かを、じっくりとお話してくださいました。

 

 内容は一部「医療崩壊」と重なる部分もあり、むしろ質疑応答や講演の合間に小松先生の活動が、検事さんたちにも現場の問題を理解を深めるような成果を結びだしていることを知りうれしかったです。

 

 最初の出だしで司会の先生が紹介する時に「より安全な医療を実現するために…」と言われて、最初から「医療に絶対的な安全ということはない、あるのは危険で、それが高いか低いかだけです。そこには安心もない。安全というのは変数でしかないし、安心は死を受け入れた時にしかありません」ってお答えになってました。長年医療現場でリスクマネージメントをされていただけに実感がこもっております。 

 

 現実の問題として一般社会の人は「医療によって助からない命などない」と思いこみ、完治するのが当たり前、工場で機械を作るような思いこみがある。しかし現実の医療は不確実である…医師は知っているが「人間は必ず死ぬ」。これをメディアが受け入れないで報道しないで対立を煽ってきた。

 

 何かあれば即「悪いのは病院だ、医者だ」と訴えるマスコミの報道、医療現場の過酷な重労働、地方自治体の議員さんから院長への圧力(それに応えることで院長の座は安泰になるそうですが)…によって現場の医師の立ち去りは今後も続くであろうということでしたが。

 

 これを防止する術として、事前に同意書を渡すだけでなく、院内の体制を整え(調査委員会、IVHの免許制導入、75条もある入院診療基本指針の制定などなど)、さらに手術の説明する時に下記の原則を朗読し、同意にの後に署名をしてもらっているそうです。

 

多くの診療行為は、身体に対する侵襲(ダメージ)を伴います。通常、診療行為による利益が侵襲の不利益を上回ります。

 しかし、医療は本質的に不確実です。過失がなくとも重大な合併症や事故が起こり得ます。診療行為と無関係の病気や加齢に伴う症状が診療行為の前後に発症することもあります。合併症や偶発症が起これば、もちろん治療には最善を尽くしますが、死に至ることもあり得ます。予想される重要な合併症については説明します。しかし、きわめて稀なものや予想外のものもあり、全ての可能性を言い尽くすことはできません。こうした医療の不確実性は、人間の生命の複雑性と有限性、および、各個人の多様性に由来するものであり、低減させることはできても、消滅させることはできません。

 過失による身体障害があれば病院側に賠償責任が生じます。しかし、過失を伴わない合併症・偶発症には賠償責任は生じません。

 こうした危険があることを承知した上で同意書に署名して下さい。疑問がある時は、納得できるまで質問してください。納得できない場合は、無理に結論を出さずに、他の医師の意見(セカンド・オピニオン)を聞くことをお勧めします。必要な資料は提供します。他の医師の意見を求めることで不利な扱いを受けることはありません

-----------------

  これを聞かせると患者さんも家族もピシッと背筋を伸ばして聞き入ってくれるそうです。

 質疑応答の時に、お産の話にもなりました。産科医療の現場で、通常出産の時にここまでリスクについてお話して同意書をもらっているか?という話になった時に現場の方からは「お産はそれ自体がとてもめでたいことで、少なくともあまりネガティブな事を話す機会は少ないようです」と言ってたのが印象的でした。

 

 お産は生理的で自然の営みですが、中にはリスクを伴い、医療の介入が必要な場合もあります。それを患者さんに理解してもらうためには、そういった「可能性」への言及は必須でしょう。同意書や説明なしで、お産を行うことは今後は「危険」というよりも、何かあった時に、家族が不信感を抱き、処置の内容が不十分…刑法での過失致死傷だって刑事告発になっても仕方ないと思います、現場の先生がたは、これについてはどうなんでしょうか?

 

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posted from ある産婦人科医のひとりごと 2006.10.20 08:32

コメント

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こんにちは。MIKKOさんのブログで時々お見かけしますね。

>多くの診療行為は、身体に対する侵襲(ダメージ)を伴い>ます。通常、診療行為による利益が侵襲の不利益を上回>ります。

全く通りだと思いますが、利益が侵襲の不利益を上回るために、もうやるべきことはもうないですか? 
栄養面でのフォローを強化されたとき、利益が不利益を上回る確率が今以上にあがると思いますよ。そうすれば回復する患者が増える。病気が治れば、医療ミスじゃないかと騒ぎ立てる患者や家族も減る。いいことづくめです。
栄養指導は医療行為ではないと言わず、ミーシーの概念で患者さんのことを考えていただきたいですね。
http://app.blog.livedoor.jp/momochan1tarochan2/tb.cgi/50696075
written by モモちゃんタロちゃん / 2006.10.20 20:47
《お産は生理的で自然の営みですが・・・刑事告発になっても仕方ないと思います、現場の先生がたは、これについてはどうなんでしょうか?》


私、新生児部門の人間ですが、ふたを開けるまでは、お産はどんなお産でも母子ともに生と死が隣り合わせだと思います。ただし、妊婦さんはマタニティーブルーという言葉もあるとおり、精神的にも不安定な時期なので、いたずらに不安をあおることを避けながら、安全神話を正していかなければならないと思います。
written by cowaku / 2006.10.23 11:40

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