生体腎移植、全82例で文書同意なし…宇和島徳洲会
愛媛県宇和島市の宇和島徳洲会病院で行われた生体腎移植にからむ臓器売買事件で、移植手術を担当した泌尿器科部長の万波(まんなみ)誠医師(65)は2日、記者会見し、これまでに実施した82例の生体腎移植すべてで、臓器提供者や移植希望者への説明や同意を口頭だけで行い、文書による同意がないことを明らかにした。
臓器提供者や移植希望者が納得して手術を受けたかどうか、記録で検証できない状態。4日に83例目の生体腎移植手術が予定されており、文書での同意について問われた貞島博通院長は「早急に対応する。できない場合、手術の延期もあり得る」としたが、万波医師は「必要ない」と主張している。
大きな手術や検査などでは通常、事前に患者からインフォームド・コンセント(十分な情報提供に基づく同意)を得て、説明内容のわかる文書を作る。
しかし、万波医師によると、2004年4月に着任してから実施した生体腎移植では、腎臓の提供者、移植手術を受ける患者の双方とも、説明用の文書は存在せず、手術への同意の確認にも文書は用いていなかった。
口頭で「移植手術が100%成功するとは限らない」などとリスクも伝えたうえで、決断してもらったという。
万波医師は「600例以上の移植手術をしてきたが、(自分では)一度も文書で同意をとったことはない。じっくり患者と話し合って信頼関係を築く方が大切で、それがあれば十分」と説明した。
万波医師は、山口大を卒業した翌年の1970年から市立宇和島病院に勤務。同病院によると、腎移植は77年から04年の退職までに545件手がけた。04年4月にオープンした宇和島徳洲会病院に移った。
国内で移植医療に携わる医師のほとんどが加入している日本移植学会(田中紘一理事長)に一度も所属していない。同学会の会員は現在、約3800人で、加入は任意となっている。
宇和島徳洲会病院は2日、貞島院長を委員長とする調査委員会(8人)を設置した。他の腎移植81例についても問題の有無を調べる。
(2006年10月2日23時7分 読売新聞)
-------------------
まぁ、個人的には、移植医療をやっている先生が全員入っているかなんて、知らないし、術者以外の先生は全員は無理だと思う。
しょせん、学会は日本で移植外科に興味を持っている先生が「任意」でその学会に入る性格だと思う(自分もいくつも入っていますが…毎年の年会費は自腹で三つも四つも入ると重荷なんだけど)。
もちろん移植医療について最先端の技術の成果を競う場で最新の情報を交換しあって医療を行うのは望ましいのですが、加入することが必須でもなければ、学会自体が手術の資格や経験を保障するものでもない。
また、同意書が必須というが、書類というフォーマットがないだけで、家族や患者さんに口答で説明して希望通りの治療を行ってきているのは、その手術数からして間違いがない。
ほんの10年前には今のように書類書きをしてって習慣はなかったし、今どきの救急医療現場で「書類」のために、治療のタイミングを外しかける可能性もあること(目の前で心筋梗塞なのに…一刻を争う時に、1時間もかけて同意書なんて取ってられません、渡すだけです。終わってから)、また書類があっても「法的」には同意があるって証拠だけで、今のように説明不足だけで訴訟になるのだから、同意文書を取っても意味があるのかないのかあやふやだし、医師法には「同意文書は必須」なんて一行もないような気がしますが。
強いて言いたい。同意書をなんてあったって、「完全」じゃないって。その書類に記した内容はしょせん紙切れの出来事。
医療は山登りにたとえると、ハイキングコースがある山を歩く訳ではなく、誰も上ったことがない山の頂上まで登って下りる間に、地図にあるルートが消えたり、天候が急に悪くなったりしうること。
ベテランの先生が地図や案内(患者さんへの口答での説明)なしで行くこともありえないし、同意書ってのはしょせん遠足の案内の地図みたいなもの。既定のルートがなかったり、いつもと違う天候に遭ったりするのを、全部予想可能なんて思わないことだ。
新聞記者さんはその辺、ちょっと誤解しておられる。まぁ、今どき、「説明なし」でやったりはしないさ。形として残しておくにはこしたことはないけど。医療の高度な情報を患者さんと共有求めるのは、時代とともに常識の範囲に入りつつあるけど度を超すと、医師の労働時間がさらに延びて、結局手術よりも説明と同意書取得で追われ、さらに医療現場の過労がひどくなるんですけどね。
ランキングにご協力を☆ポチっと!→
中垣審査管理課長 ドラッグ・ラグ解消に向け歩み
厚生労働省医薬食品局の中垣俊郎審査管理課長は28日、専門紙との会見で、ドラッグ・ラグ(外国で標準的に使用されている医薬品が国内では使用できない状態)の解消が大きな目標になるという認識を表明。「来年、再来年で到達できるような目標ではないが、歩き続けなければならない」との決意を示した。
中垣課長は、いわゆる「骨太の方針2006」に医薬品承認審査の迅速化が記載されていることに触れ、「究極の目標は、有用な医薬品が欧米と同じ時期に国内でも使えるようになることだ」と述べた。また、国内未承認薬が生じる理由にはさまざまな課題が絡み合っているとし、「今はそれらの課題を精査している。指摘の中身を1つ1つ吟味しながら、合理性のある指摘には対応策を取り、指摘に誤解があるなら誤解を解く方策が必要だ」と語った。
迅速な審査体制の構築に当たっては、「限られたリソースを効率的・効果的に活用することが重要」とし、課題に対して優先順位を付けて対応する方針を示した。医薬品医療機器総合機構の審査体制については、「質と効率を上げるところまで上げて、それでも足りない場合に増員の話が出てくるのではないか」と述べた。
厚労省と総合機構が共催する「2006年APEC(アジア太平洋経済協力会議)医薬品等レギュラトリー・サイエンス・ネットワーク シンポジウム」の開催に向けて、「APEC、あるいはアジアという枠組みで集まり議論する、初めてといってもよい機会になる」と話した。
その上で、「最終的に(治験)データの相互受け入れなどを実現するには、GCP(臨床試験実施基準)の現状や治験の取り組み状況など、互いの基礎的なインフラを披露しないと出発できない。そういう意味で、今回はキックオフミーティング的な会議になるのではないか」と語り、将来に向けて対話を活発化していくための素地ができることに期待をにじませた。(日刊薬業2006/09/29)
------------
大いに期待したいところです。海外の雑誌に臨床研究が日本の研究者の名前で載らない理由の大半は、これだからです。
もう少し、大きな目で見て欲しいです。あとは薬害何タラで萎縮しているけど、もちろん厚生労働省の中でもこのままでは日本初の創薬産業が立ちゆかなくなるのを危惧しているのかなと思ったり…。でも、日本の場合、コストも高いし、今さら海外に流れてった研究リソースが戻るかなぁ。
医療崩壊を考える
~ 患者もマスコミも一緒に考えよう ~
医療事故の多発など日本の病院や医療制度に対する不信が募っています。一方、病院や医師も今大変なのです。例えば、地方の公立病院では必要な医師の確保ができなくなり、救急患者の受入れを中止したり、治療科目の削減に迫られているのです。 原因は、勤務医の労働条件が厳しくなる一方で、すべての患者は救われるべきといった過剰な期待や、期待通りにいかなかった場合の訴訟の急増などです。今回のゲスト、小松秀樹さんの著書名でもある『医療崩壊』の原因は大学や病院だけでなく私たちの中にもありそうです。今医療現場に何が起こっているか、小松さんと、医療問題を丹念に取材してこられた前村聡さんにお話いただきます。
● 日時 | :2006/10/25(水) 18:45~20:45(18:15開場) |
● 場所 | |
● 参加費 | :4,000円 (シンクネット構想日本会員は無料です) |
● 懇親会参加費 | :2,000円程度 (参加希望の方のみ) |
● 主催 | :構想日本 |
http://www.kosonippon.org/forum/detail.php