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治療抵抗性の多発性筋炎・皮膚筋炎で考慮すること
① これまでのステロイドを含む免疫抑制剤の種類や用法・用量が不適切(不十分)であった可能性;例えば、早急な減量など
② 治療抵抗性の病態(封入体性筋炎(IBM)、抗SRP抗体陽性、悪性腫瘍に伴う筋炎)
③ 誤った診断の可能性(炎症性筋炎の診断に特異的なものはなく、近位筋の筋力低下、CK上昇をきたす疾患リストは膨大である。当初筋生検でPMと診断されても、その後再生検あるいは標本の見直しでIBMなどと判明することもある)
Reumatología 2002; 18(3):108-110
Journal Watch Neurology May 6, 2008
ハロゲン化されたステロイド(fluorinated steroid)、例えば、ベタメタゾン、トリアムシノロン、デキサメタゾンは、non-fluorinated steroid(プレドニンやメドロールなど)と比べてステロイドミオパチーを起こしやすいので、筋炎治療には避ける(注意を要する)。
Practical Neurology 2006;6:4-13
追記
例えば、Arch Dis Child 1985;60;236-244のケースレポートでは、プレドニン抵抗性の場合にプレドニンがリンデロンに変更されている。筋炎でも、ステロイド抵抗性症例にステロイドの種類を替えてみることも試されることもありうるが(この論文では、結局メトトレキサートを使用)、一般にはsteroid myopathyを懸念して、筋炎にはハロゲン化ステロイドは用いない。
Tasaka S et al. Serum indicators for the diagnosis of pneumocystis pneumonia. Chest 2007;131(4):1173-80.
・ HIV陽性患者のニューモシスチス肺炎診断のための検査の第一選択は、高張生理食塩水吸入による誘発喀痰による菌体の確認であるが、non-HIVでの陽性率は高くない。誘発喀痰で陰性の場合はBAL検体が必要となる。診断の基本は誘発喀痰またはBALの鏡験による菌体確認である(PCRが用いられることも多い)。しかし、気管支鏡検査は呼吸不全が高度の場合は侵襲が大きい。
・ ニューモシスチス肺炎に関連する血液検査にはLDH、KL-6、β-D-グルカンが知られている。この報告でTasakaらはLDH、KL-6、β-D-グルカンのうち、どれがニューモシスチス肺炎診断に最も重要な診断マーカーか、重症度のマーカーはどれかにつき、検討した。
・ 対象はPCP疑いのため、気管支鏡検査を施行した295例で、そのうち、57例がPCPと診断された(鏡検)。基礎疾患は血液悪性腫瘍(14例)やHIV(13例)が多く、自己免疫疾患は11例であった。
(自己免疫疾患に伴うPCPとHIV感染に伴うPCPの臨床像は異なるが、まとめて解析されている)
・ ROC解析結果では、β-D-グルカンの診断能が最も優れており、β-D-グルカン、LDHの至適カットオフ値は31.1 pg/ml、268 U/mlであり、このカットオフに基づく、それぞれの感度特異度は、92.3%、86.1%;86.1%、45.3%であった。PCP陰性でβ-D-グルカンが31.1 pg/mlであった症例(偽陽性)は14例で、うち7例は深在性アスペルギルス症、3例はCMV、2例は肺胞出血であった。
・ PCP陽性症例において、Oxygenation index (PaO2/FIO2: P/F Ratio(ピーエフ比)) とLDH、BAL中の好中球比率は負の相関を示した。β-D-グルカンとLDHは正の相関であるが、β-D-グルカンは診断マーカー、LDHは重症度のマーカーと位置づけられる。
ANCA関連全身性血管炎の治療の主体はシクロフォスファミドであるが、シクロフォスファミド投与に伴う副作用が問題となる。シクロフォスファミドの副作用の多くは用量に依存するので、総投与量を少なくするためにシクロフォスファミド・パルス療法が考案された。また、治療を2段階に分け、寛解導入にはシクロフォスファミドを用いるが、その維持にはメトトレキサートやアザチオプリンなどより副作用の少ない免疫抑制薬が用いられる。
最近の全身性血管炎の臨床治験の多くは欧州を中心に行われている。
ー寛解導入
・ NORAM(Non-renal Wegener treated alternatively with MTX):軽症例でシクロフォスファミドではなくメトトレキサートを寛解導入に用いるプロトコール
・ CYCLOPS(Cyclophosphamide daily oral versus pulsed):寛解導入におけるシクロフォスファミドの投与方法の比較(経口とパルス)寛解維持にはアザチオプリンが用いられている。なお、この試験ではCYCAZAREMの知見が得られる前だったので、寛解後に強化療法consolidationが行われている。
・ MEPEX(methyl prednisolone or plasma exchange for severe renal vasculitis):重症腎障害症例の寛解導入における血漿交換療法の併用の有効性が検討された。
ー寛解維持
・ CYCAZAREM(Cyclophosphamide versus azathioprine as remission maintenance therapy for ANCA-associated vasculitis):経口シクロフォスファミドで寛解導入後、アザチオプリンに切り替えても再発率は変わらない。
・ CHUSPAN(Churg-Strauss and polyarteritis nodosa):FFS1以上の症例を対象に、維持療法なしのシクロフォスファミドパルス療法の継続回数を検討(寛解率や死亡率に差はないが、パルスを12回行った方が6回よりも再発率やevent-free survivalは有意に優れていた)
・ WEGENT(Wegener Entretien/Maintenance):シクロフォスファミド・パルス療法後(寛解到達後consolidationあり)の寛解維持におけるアザチオプリンとメトトレキサートの比較
・ REMAIN(Randomized trial of prolonged remission maintenance therapy):シクロフォスファミドで寛解導入され、アザチオプリンで寛解維持されている症例を対象に、維持療法の休薬を検討。
*寛解導入(MYCYC)や維持(IMPROVE)におけるミコフェノール酸の効果なども検討されている。生物学的製剤ではエタネルセプトに寛解導入時の併用効果は認められなかったが(WGET)、リツキシマブ(RITUXVAS)やアバタセプト(ABAVAS)の有用性が検討されている。
* Five-Factors Score (FFS)
(1)腎障害creatininemia >140 μmoles/liter (1.58 mg/dl)
(2)腎障害proteinuria >1 gm/day
(3)中枢神経障害central nervous system
(4)消化管障害gastrointestinal
(5)心病変myocardial involvement
(Br J Rheumatol 1996; 35: 958-64)
・ 60-70歳では(-2.5 mg/kg)、70歳以上では(-5 mg/kg)
・ クレアチニン3.4 mg/dl~5.7 mg/dlでは(-2.5 mg/kg)
・ パルス後10日目と14日目に白血球数をチェックし、nadirの白血球数が2000-3000であれば次回のパルスのエンドキサン量を20%減量、1000-2000であれば、40%減量
年齢 クレアチニン(mg/dL)
<3.39 3.39〜5.66
60歳以下 15 mg/kg/pulse 12.5 mg/kg/pulse
60-70歳 12.5 mg/kg/pulse 10 mg/kg/pulse
70歳以上 10 mg/kg/pulse 7.5 mg/kg/pulse
* [EULARのループス腎炎治療のためのエンドキサンパルスのプロトコールにおける腎機能障害時の用量調整]
・下記では腎機能に問題ない場合はパルスあたり、10 mg/kgと記載されている。
・血清クレアチニン値が250 ~ 500 µmol/l(2.82mg/dl~5.66 mg/dl) であれば 7.5 mg/kgに減量。500 µmol/l(5.66 mg/dl)以上であれば 5 mg/kgに減量
(In the presence of renal impairment, the cyclophosphamide dose was reduced to 7.5 mg/kg if serum creatinine was between 250 and 500 µmol/l (inclusive), and 5 mg/kg if serum creatinine was more than 500 µmol/l).
参考1:Intermittent pulse cyclophosphamide therapy was given intravenously at a dose of 10 mg/kg three weekly for four doses, then orally at the same dose split over two days at four weekly interval for nine months, and finally at six weekly intervals for 12 months
0 W: iv 10 mg/kg x1
3 W: iv 10 mg/kg x1
6 W: iv 10 mg/kg x1
9 W: iv 10 mg/k gx1
12 W: ORAL 5 mg/kg x2
16 W: ORAL 5 mg/kg x2
20 W: ORAL 5 mg/kg x2
24 W: ORAL 5 mg/kg x2
途中省略
104 W: ORAL 5 mg/kg x2
参考2:SI単位からの変換:血清クレアチニンがSI単位を用いている場合は次の式でmg/dLに変換する:Serum creatinine(mg/dL)=SI unit(μmol/L)/88.4 :https://center.umin.ac.jp/cgi-open-bin/ctr/ctr.cgi?function=brows&action=brows&recptno=R000000604&type=summary&language=J)