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2008.02.25 00:08 |  医療制度 / 行政  |  仕事 / 職場  |  生活 / くらし  |  ぴょん  | 推薦数 : 0

Elimination of Measles -2-

行政の感染症屋なら誰でも(多分)、必ずチェックするレポートがいくつかあります。そのうちの1つに、アメリカのCDC(Centers for Disease Control and Prevention)から出されるMMWR(Morbidity and Mortality Weekly Report)というレポートがあります。

2月22日付けのMMWRには、日本にとって頭の痛い話が掲載されています。”Multistate Measles Outbreak Associated with an International Youth Sporting Event --- Pennsylvania, Michigan, and Texas, August--September 2007”というタイトルで、Index case (初発患者)である12歳の日本人から麻しんが持ち込まれ、アメリカ国内で2次感染、3次感染が確認されたという内容が書かれています。

初発患者は12歳の子供ですから、自分で判断できない年齢ですので、その養育者と、リトル・リーグの管理者は非難される立場にあります。CDCの調査によると、彼は予防接種歴不明で7月下旬に兄弟が麻しんを発症し、8月11日に咽頭痛と体調不良があり、8月13日にアメリカに旅立った~とありますから、予防接種を受けさせなかったことと、体調不良なのに渡航させたことは咎められることです。

養育者や教育者は麻しんを軽く考えていると思うのです。

ときどき、小・中学校の校長先生とお話する機会がありますが、彼らの多くは、「僕らの頃は、みんな自然にかかって、抵抗力をつけてきた。麻しんのために、学年閉鎖などをして、行事や授業の進行に影響が出るのは困る」と口を揃えて言います。                                                                                                                                                      確かに「学年閉鎖」は賛否両論だと思います。閉鎖期間中、遊びに外出したり、塾に出かければ、そこで感染を拡大させます。                                                                                                                                                                  しかし、病気に関する認識は途上国並み。麻しんは、しばしば重篤になり、十年以上たって脳炎を起こすこともあり、ときには死亡します。予防接種で防げる病気を防げないのは恥ずかしいことなのだという意識がないので、教育者への教育ほど厄介ものもないです。

今まで日本は、CDCや他の機関から、麻しん輸出国だと非難されてきました。MRの2回接種でようやく、Eliminationへのスタートに立ったのですが、現状のように、2回接種の接種率が低いままでは、2012年を目標とするEliminationを達成することは困難だと感じています。

制度があっても実行が伴わなければ、机上の空論でしかない・・・集団生活に先立って予防接種証明書の呈示を求めるくらいの強制力がほしいと思うのです・・・日本では無理な話だとはわかっていますが。

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2008.01.04 23:38 |  医療制度 / 行政  |  仕事 / 職場  |  ぴょん  | 推薦数 : 0

Elimination of Measles ...

1月1日から、麻しんと風しんが感染症法上、五類全数把握対象疾患になりました。

例年、麻しんの流行は春先なので、この時期にはそれほど届出がないかと思っていましたが、今日だけでも、予想以上に届出がありまして、少し驚いています。年始のお休みで、今日から始まる小児科や内科の外来が多いことも影響しているのでしょうか・・・。

ところで、五類全数は、診断後7日以内に届出をいただく疾患ですが、麻しんについては、”7日以内に届出をしていただくことになっておりますが・・・”という原則論の後に、”24時間以内を目処に届出を・・・”という注釈付きです。中途半端な二重基準を加えるくらいならば、”診断後直ちに”ルールの四類に入れてしまえばいいのに・・・と思っています。

それに加えて、五類の届出様式で記入を求めている性別と年齢だけでは疫学調査は不可能で、忙しい臨床の先生方に連絡を取って、氏名や住所や職業・学校などを聞くのは時間の無駄だと思ってしまうのです。・・・先生方、お忙しいのにお電話で追いかけ回してすみません。なるべく、忙しい時間帯には、おかけしないようにしているのですけれど・・・。

・・・まっ、事後対応の疫学調査などよりも、麻しんの予防接種を済ませていない人は原則、集団生活に入れないというような制度があるほうが、はるかに有効なのですけれど。

WHO西太平洋地域事務局(WPRO)の、”Elimination of Measles”の達成目標は2012年です。日本は、その目標に到達できるのでしょうか・・・。個人的には、かなり悲観的です。

 

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2007.09.13 23:52 |  医療制度 / 行政  |  仕事 / 職場  |  ぴょん  | 推薦数 : 0

臨床研修医の指導

今日の午前中は、臨床研修医の先生たちへの講義を担当しました。

私が感染症の話をして、食品衛生監視員が食中毒の話をすることにしています。退屈にならないように、事前課題を渡していたり、その場で当てて答えてもらったりするのですが、毎月同じ話をするのでは、私達が飽きてしまうので、回を重ねるごとに、内容をマイナーチェンジしているため、準備にもそれなりの時間がかかります。                                                                                               それでも、1人くらいに、勉強になったと思ってもらえるといいな~と思い、試行錯誤でやっています。

そして、折角やっているのだし、今後の改善につなげたいと思い、逆評価をしていただくためにアンケートも用意しています。この分野への関心、講義時間の長さ・内容、その他の自由意見と、簡単なものではありますが、記入していただいています。

今月は、「退屈になりがちな講義がとても面白く、プレゼンの参考になりました」というご意見をいただきました。一瞬、”面白く”という言葉を嬉しく思ったのですが、確かに、”講義って退屈になりがちだ!”と気が引き締まる思いもしました。今は、縁あって、この業界にいますが、学生時代、公衆衛生の授業は本当につまらなかったものです。系統的な講義ではありませんでしたし、教員が自分の好きなことを言っているだけで印象に残っていませんし、当時を振り返り、相手に伝わるような講義をしないといけないな・・・と改めて思いました。

臨床研修医制度が始まり、私達が担当する地域保健・医療分野研修は、特に、外科や眼科など、既に進路を決めている研修医にとっては、この上なくつまらない研修なのかも知れませんし、自分もこの制度に乗る時代に医師になっていたとしたら、つまらなく感じたのかも知れないのですが、どこの科に行っても、病原体との戦いあるいは共存を強いられるわけですから、感染症対策にしばらくお付き合いくださいませ。。。

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「健康危機管理研修」という3日間の研修に参加しています。

今日の午後は、”石綿”についての講義があり、”診断と治療”と、”救済法”についての講義でした。                                                                                        石綿といえば、平成17年、兵庫県の工場の近隣住民が中皮腫に罹患している公表されたときは、正直、私も衝撃を受けました。                                                                                                                                                                                                                    内科の教科書にも、国家試験対策の参考書にも、「胸膜中皮腫」の危険因子として、「石綿(アスベスト)」というのは必ず載っていて、「昔、理科の実験で使っていた石綿金網も、飛び散ったものを吸い込み続けると、危ないものだったのね~」程度の認識(今、考えると、何て安易な・・・)でしたが、医学的にはよく知られた危険因子が、実は世の中に知られていないと言いますか、政策として活かされていない現実を認識した年でした。

アスベストに関連した健康被害の報告は古く・・・                                                                              1898年、イギリスの工場監督官Deaneにより、アスベスト作業による健康被害の最初の報告                                                                                                                                            1906年、イギリスのMurrayが石綿肺の最初の報告                                                                                                                             1930年代から、アスベストに伴う肺がんに関する報告が相次ぐ                                                                                                                                                                                        1960年、南アフリカの病理学者Wagnerが、アスベスト暴露者に生じる中皮腫の報告                                                                                                                                                                         ・・・Wagnerの報告から、40年以上たって、日本では、ようやく政策として一応、軌道にのりましたが、発展途上国では、まだ規制も十分でないままなのだそうです。

発展途上国での規制が進むように祈り、あわせて、中皮腫を発症した方のために、アリムタ以上に強力な薬剤が開発されて治療法が進歩することも祈りつつ、喫煙のように、明らかな危険因子だとされながらも、なかなか対策が進まないものや、世の中で危険因子だと認識されていない、手つかずものが、実はまだまだあるのではないかと、石綿のことを考えるにつけ、背筋が寒くなるのです・・・。

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