私は知りません。
『私は知りません。』
この国に来て、この言葉が嫌いになりました。
どこでもかしこでも何らかの苦情に対して、
この言葉が返ってくるのです。
そして、謝らないのです。
そこに、明確な証拠があっても。
かなり以前の話ですが、
上司がいきなり私の部屋に怒鳴り込んで来たことがあります。
明らかに、100% 私の関与するところではないのですが、
なんせ対象者が不在、火の粉は私に降り掛かりました。
本当に、わからなくて。
本当に、知らなくて。
でも、『私は知りません。』の一言を言いたくなくて、
気がつけば、涙が滝のように、ダーーーーーッと溢れ出しました。
そこで、助け舟を出してくれたのは、たまたまそこにいた現地のスタッフ。
私をかばうように肩を抱きかかえ、
『彼女は前々関係ないんだから、彼女を責めるのは、筋違い』と抗議してくれました。
実は、これ凄い事なんです。
なんたって、ここは発展途上国、
上司に逆らえば、その日のうちにクビが飛ぶ事も珍しくはありません。
まぁ、その前に、私の滝のような涙に腰を抜かした上司は、
『俺は怒ってないんだよ、怒ってないんだよ、ちょっと聞いただけなんだよ。』とあたふたと、
引き上げて行きました。
私が、職場で泣いたのは、この時と、後に1回だけです。
その話は、また後日に。
ところで、これもかなり以前の話ですが、
在住の日本人の女性が、一人の現地の女の子を連れて病院にやってきました。
家の事情で引き取って面倒みているとのこと、
まだ、キャラクタープリントのシャツと顔に残るあどけなさが印象的です。
日本人女性曰く、
『ここ数日、具合が悪そうで、食もすすまないんです。
でも、何でもないって言うし。
今日は、無理矢理連れて来たんですけど、
実は、女の勘なんですけど、この子、妊娠してるんじゃないかと思って。
親御さんから預かっている以上、私にも責任があるので、
こちらで検査をお願いしたいんです。』
まぁ、無理矢理検査と言うわけにもいかないので、
彼女と話をしてみることに。
でも、彼女は心外といった感じで、
『私は、子供ができるような、はしたないまねはしたことがありません。』と断言。
身の潔白を照明する為に、自らも検査を希望するという事で。。。
まずは、尿検査。バッチリ陽性です。
それでも彼女は
『何かの間違いです。私は知りません。』と言い張ります。
それではと、彼女の同意を得て、超音波検査をすることになりました。
。。。。え〜っと、じたばた楽しそうですが、赤ちゃんが。
あのね、赤ちゃんがいるよ。
『私は、知りません。』
でも、ホラっ、ちょうど今、起きてるとこだよ。
『私は知りません』
赤ちゃんが、手を振ってるよ、お母さんコンニチワ〜〜って。
『私は知りません』
あっぱれです。
そのやり取りを聞いていた、同伴の日本人女性は頭を抱えてます。
その後、どうなったかはわかりませんが、ふと、たまに思い出すのです。
もしかしたら、日本でも既に、同じような事が当たり前になっているのでしょうか??
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