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眼底(網膜)の一番奥に黄斑と呼ばれる部分があります。
黄斑が視力を請け負っていて、黄斑に病変があると視力が一気に落ちます。
逆に黄斑さえ健康なら、網膜の他の部分が全てダメになっても良好な視力が保たれます。
その黄斑に浮腫(CME)が起きることがあります。
黄斑浮腫(CME)が発生すれば視力は低下します。
CMEの原因となる病気としては糖尿病網膜症や網膜の静脈閉塞、炎症疾患(例えばサルコイドーシス)などがあります。
また、かつては白内障手術に引き続いてCMEが発生することがありました。
ただ、非ステロイド抗炎症薬の点眼で白内障手術後のCMEは予防できることが分かり、最近ではあまり見かけない合併症となりました。
ところが、白内障手術後早期に緑内障の点眼薬であるプロスタグランディン製剤(PG製剤)を使用するとCMEが発生することが報告されました。
その後、同じく緑内障治療薬であるβブロッカーの点眼でもCMEが発生することが判明。
さらに詳細な検討の結果、CME発生の原因はプロスタグランディンでもβブロッカーでもなく、点眼薬に防腐剤として添加されている塩化ベンザルコニウムであるらしいと分かってきました。
このように、薬の副作用の原因を探るとき、効果を発揮する成分(主剤)だけでなく、添加物の存在も無視できないということになります。
さて、これまでにも話題にしてきたジェネリック(後発品)。
厚労省の役人どもは「効果も安全性も先発品と同等」と主張しています。
実際、主成分については先発品とジェネリック、同じようですが、添加物については商品によって違いがあるようです。
ということは、安全性(副作用)については、先発品とジェネリックが同等と主張するには無理があるでしょう。
そもそも先発品とジェネリックの副作用の発生頻度を比較したデーターなんて皆無に等しいし、厚労省の役人どもは臨床経験(自分たちで患者さんに処方して検討すると言った意味で)は当然、ないはずだし。
そういう意味で、結局、安全性について「ジェネリック=先発品」というのは厚労省の役人の脳内妄想に過ぎないわけなんですけどね。
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「最近、見にくくなった」とのことで、受診された患者さん。
糖尿病のため10年前に眼科にかかって以来、眼底検査はしてないとのことでした。
白内障もあり、そのための視力低下もありますが、残念ながら糖尿病網膜症もすでに最終段階。
増殖期のため、硝子体手術は免れない状態です。
とは言え、その前に網膜レーザー治療をしておかなくてはいけないので、初診当日に早速、第1回の治療を開始しました。
普段、定期的に通院している糖尿病の患者さん、数多くいらっしゃいます。
何度診ても、網膜症が発症してない方も少なくありません。
でも、今回のような患者さんを経験すると、定期的な診察は無駄ではないと再確認できます。
ところで、以前、ちらっと目を通した海外の論文。
あまりにも参考にならない内容だったのでうろ覚えなんだけど・・・
糖尿病があっても、全く眼底検査をしなかった場合、どうなるかを検討したものでした。
ある一定の割合で硝子体手術が必要になる症例が出てくるけど、全員、定期検診をして硝子体手術を防ぐより、医療費がかからないと言う結論でした。
糖尿病網膜症で硝子体手術が必要になるということは、中には最終的に良好な視力が確保できない患者さんが発生することを意味します。
たとえ医療費が多く必要になったとしても、患者さん個々の幸せを考えたら、放っておくのは良策とは思えないんですけどね。
海外の論文、EBMがしっかりしていると評価されるけど、目的がいかに医療費を削減するかが隠された目的の研究も少なくなくて。
そんな場合、EBMの『E』はevidenceじゃなくて、economyってことなんでしょうね。
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右眼と左眼で、白内障の進行度合いがかなり違っていることがあります。
そういった患者さんの場合、より進行した眼だけ手術を受けられるケースがあります。
そして手術の翌日、例えば
手術をした眼の視力が 0.8、
手術をしていない眼が 1.0、
それなのに
「手術をした眼の方がうんと見やすい。」
と言われます。
その結果、
「今すぐ反対の眼の手術を予約します。」
といったことになること、珍しくありません。
視力検査は眼がものを見る力(=視機能)を測る重要な検査です。
でも、所詮、数多くある視機能検査の一つでしかありません。
視力検査だけでは判定できない “見にくさ”、“見やすさ” があるのです。
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先週の手術日、一人の男性の白内障手術中、その事件は起きました。
前嚢切開までは何も起きなかったのですが、超音波での核処理を始めた途端、瞳孔が小さくなり、虹彩が風の日の旗のようにパタパタと落ち着きない様相。
一度は超音波のチップに虹彩がかんでしまいました。
とっさにフットスィッチを緩めてことなきを得ましたが、手術が終わるまでは、いささか苦労しました。
手術後、気になってカルテを見てみると・・・
予想通り、その男性は前立腺肥大の治療薬であるα1-ブロッカーを内服していました。
今回、起きた出来事、「術中虹彩緊張低下症候群(IFIS: Intraoperative Floppy Iris Syndrome)」として、最近、話題になっています。
「見る見るうちに縮瞳(瞳孔が小さくなること)してきて、手術をしている手が震えた。」なんて噂話を聞いたことも。
でも、そんな恐怖の記憶は無かったので、私はIFISに当たったことが無いと思っていました。
ところが、先週の患者さんがIFISらしいと分かって、これまでにも似たような経験をしているけど、あまり深く考えず「なんか、やりにくかったなぁ・・・」程度で過ぎていたことに気付いたのです。
さて、その患者さん、実は今週、もう片眼の手術をしました。
IFISと気付く前は、同じようなことが起きても、大して気にも留めずに反対眼の手術に臨めたのに、いったん、それと分かった途端、手術が終わるまでは妙に緊張して・・・
さらに注意を払っていたので、今回は虹彩をかむこともなく、無事に終えることは出来たのでよかったのですが。
知識が増えるのも良し悪しかな。
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