・職業性疾患に取り組もうとした場合、いつも困るのは、実際の作業、作業環境がどうなっているかです。世の中の仕事の数がいくらあるか知りませんが、まず、全てのことが分かるわけないですね。でも、すこしでも仕事の内容を知りたいです。前にもご紹介したような気がしますが、 NIOSHがときどきVideoを作っています。本日は、それのご紹介。
・NIOSH Science Blogと言うのがあって、いろいろなことが紹介されています。ここでは、Black lungについて書かれたものをご紹介します。下のアドレスで見てください。
http://www.cdc.gov/niosh/blog/
・black lungとは、今手元にある電子辞書のステッドマン医学大辞典によると、以下のようなものです。
黒色肺(炭坑夫によくみられるじん肺の一型で、肺に炭素粒子が沈着することが特徴)
・大体日本でみるじん肺は50,60代以降の方がほとんどだと思いますが、上記ブログでは、30代の患者さんもいると書かれています。そのブログの中で、Faces of Black LungというVideoが紹介されています。13分くらいのビデオで、インタビューが主ですが、すこし炭坑の中の様子を見ることができます。ご覧あれ↓
http://www.cdc.gov/niosh/docs/video/2008-131/
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・以前殺虫剤と悪性リンパ腫は関係あるという記事を書きましたが、JAMAをみていたら、殺虫剤と糖尿病も関係があるといった記事を見つけました。
http://jama.ama-assn.org/cgi/content/full/300/4/386-a
この記事の元になった文献のサマリーを下に貼り付けます。
Incident Diabetes and Pesticide Exposure among Licensed Pesticide Applicators: Agricultural Health Study, 1993–2003
M. P. Montgomery, F. Kamel, T. M. Saldana, M. C. R. Alavanja and D. P. Sandler
Am J Epidemiol. 2008;167[10]:1235-1246
Exposure to certain environmental toxicants may be associated with increased risk of developing diabetes. The authors' aim was to investigate the relation between lifetime exposure to specific agricultural pesticides and diabetes incidence among pesticide applicators. The study included 33,457 licensed applicators, predominantly non-Hispanic White males, enrolled in the Agricultural Health Study. Incident diabetes was self-reported in a 5-year follow-up interview (1999–2003), giving 1,176 diabetics and 30,611 nondiabetics for analysis. Lifetime exposure to pesticides and covariate information were reported by participants at enrollment (1993–1997). Using logistic regression, the authors considered two primary measures of pesticide exposure: ever use and cumulative lifetime days of use. They found seven specific pesticides (aldrin, chlordane, heptachlor, dichlorvos, trichlorfon, alachlor, and cyanazine) for which the odds of diabetes incidence increased with both ever use and cumulative days of use. Applicators who had used the organochlorine insecticides aldrin, chlordane, and heptachlor more than 100 lifetime days had 51%, 63%, and 94% increased odds of diabetes, respectively. The observed association of organochlorine and organophosphate insecticides with diabetes is consistent with results from previous human and animal studies. Long-term exposure from handling certain pesticides, in particular, organochlorine and organophosphate insecticides, may be associated with increased risk of diabetes.
・ある種の化学物質が糖尿病発症の原因/リスクをあげることは,あまりくわしく臨床の教科書には書かれていないのではないでしょうか?わたしの持っている教科書をチェックしてみました.
『糖尿病治療ガイド 2006-2007』の「糖尿病と,それに関連する耐糖能低下の成因分類」には,「Ⅲ.B.④薬剤や化学物質によるもの」というのがあります.でも,化学物質に関する詳しい記述は無いようです.このガイドに「環境・職業性因子」といった項目が何時の日か,盛り込まれることを...
朝倉書店の『内科学 第八版』も糖尿病ガイドと変わりませんね.『第3版 臨床医マニュアル』もDo. 『新臨床内科学 第8版』もlikewise.さて,期待のハリソン第17版はどうか?やっぱり,今一.ETIOLOGIC CLASSIFICATION OF DIABETES MELLITUSという表に.Ⅲ.Other specific types of diabetes E. Drug-or chemical-inducedというところがありますが,そこには,日本の分類表よりも多くの薬物は載っていますが,産業用の化学物質は載っていません.・・・がっかりだよーっ.
本日の英語
pesticide 小学館プログレッシブ英和中辞典では、殺虫剤:除草剤、カビ、防除剤、殺鼠剤などの総称としても用いられる
リーダース英和辞典では、農薬(殺虫剤・殺菌剤・除草剤・殺鼠剤など)
逆に、和英で、農薬をみると、agricultural chemical(小学館プログレッシブ和英中辞典も新和英中辞典)となっています。YahooのWebsiteの翻訳を利用してみると、pesticideとなっています。
OXFORD Advanced Learnere's DICTIONARYでは、
a chemical substance used to kill pests, esp insects
なにを言いたいかと言いますと、農薬と「正確に」言おうと思ったら、agricultural pesticideと書くのが良いのかな、というお話です。
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・昨年出版された『皮膚科診療プラクティス 20. Environmental Dermatology 環境・職業からみた皮膚疾患』(戸倉新樹,他編集.文光堂.2007年4月)という本に,職業性・環境性皮膚疾患として,以下のようにまとめられていました.
1)接触性皮膚炎
a)一次刺激性接触性皮膚炎から化学熱傷
b)アレルギー性接触性皮膚炎
2)紫外線障害
a)生理的障害
ⅰ)急性紫外線障害:サンバーン,サンタン
ⅱ)慢性紫外線障害:光老化,光発癌
3)座瘡
a)オイルアクネ
b)クロールアクネ
c)タールアクネ
4)色素異常
a)色素脱失
b)色素沈着
5)放射線皮膚炎
a)急性放射線皮膚炎
b)慢性放射線皮膚炎
6)タール・ピッチ皮膚症
7)砒素皮膚症
8)熱傷
9)凍傷
10)皮膚癌
11)皮膚循環障害
12)感染症,虫刺症
13)化学物質過敏症
*当院では、玉南医懇と言って、当院の医師と玉島地域南部の開業医さんと勉強会を月1回開いています。たぶん20年以上続いているでしょう。本日は、新年と夏の年2回のうちの夏の飲み会でした。ということで、本日は、酔っぱらっているので、ここまで。と、言いながら一言のみ追加。化学物質過敏症が、この一覧表に載っているのは、ある意味感慨深いです。なかなか、化学物質過敏症という疾患が、疾患単位としてみとめられていませんでしたから...(今も、なかなか認められていない雰囲気もありますが)
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・昨日,うちの理事長と私,近々ご近所で開業されるM Dr.とお食事会をしました.そのDr.はアメリカに数年留学され研究,何と『生理学展望』を書いたWilliam F. Ganongの最後の弟子だったそうです.それに関していくつか良い話をききましたが,次にその一つをご紹介
:最後の実験でデータ出たものの,その解釈がわからず論文にならず,そのままになって日本に帰ってきたそうです.10年後隣の教室のプロフェッサーから手紙が来て,あのデータの意味が分かった,論文にしたいから名前をpaperへ載せて良いか(first authorで)というものだったそうです.いろんな意味で「すごい」ですね.特に解説を加えませんが,各自その余韻を味わってください.また,留学から帰るとき,何故日本に帰るんだ?ここでの生活はhappyじゃなかったのか?と聞かれ,happyだとこたえると,じゃあ何故日本に帰る?と言われたそうです.アメリカ人の感覚ってこんなモンでしょうか.おもしろですね.
・さて,標題の筋肉痛には,尿検査,CPK,Cr,BUNというのは,すぐお分かりになると思いますが,横紋筋融解症のことです.うちの理事長は腎・透析専門,開業されるM Dr.も透析をやっておられて,横紋筋融解症→腎不全の話に「花が咲きました」.一つは,おばあさんが,階段あがっていて尻餅をついた,それだけで横紋筋融解症→腎不全になった話.理事長は,長時間の山歩きで非乏尿性腎不全になった人の話,そして,強力さんのはなし:白馬の山頂に50貫の石があるそうで,それを一人の強力さんがチャレンジして運んだそうです.その人は,2日後血尿を出して死んだそうです.「ありゃ,横紋筋融解症から急性腎不全になったんじゃろう」ということです.(うちの理事長は,岡山弁丸出しの人です)面白かったのは,M Dr.の経験です.若者が久々に運動したら,ひどい筋肉痛でCPKが異常に上昇した.あまりにも例がないので筋肉生検したが,異常がなかったとのこと.その時は分からなかったが,あとからある種の酵素の欠損だったそうで,日本で10家系くらいあるそうです.また,遺伝子はどうか分からなかったが,似たような若者(久々の運動後の筋肉痛,CPK↑↑↑)がいたそうです. →これらの教訓.筋肉痛を訴えてきたひとには,尿検査で潜血の有無をチェックし,CPKの上昇のみでなく,腎不全がないかCr,BUNをチェックしましょうと言うことです.(血中,尿中ミオグロブリンも当然するべきでしょうが、たぶん外注ですぐ結果がでないのでは...)
新田次郎の「強力伝」読んでみようかな。
・・・なお,懇親会での話で,わたしも結構酔っていたので,細かいところは,正確ではないかもしれません.M先生,このブログ見ておられたら,間違ったところ訂正してください.
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・そもそも私がこのブログを立ち上げた訳は,今の臨床医学で職業・環境性疾患がしばしば見逃されているというか,考慮に入れられていないことに問題意識を感じたからです.最近の臨床医学の「失敗」は,何といってもアスベスト問題でしょう.ここで「失敗」というのは,きちんと職業・環境性疾患としてアスベスト関連疾患が診断されなかったこと.きちっと補償に結びつけられなかったこと,再発を予防できなかった事等をいいます.
・今日のブログの記事は,日常診療の一般的な外来での,職業・環境性疾患とのfirst contactのあり様/種類についてです.まとまった記事でなく,思考過程のメモとお考えください.
1.外来初診時
(1)腹痛とか,頭痛,発熱といった訴えをもって患者さんが来られます.当然,職業・環境性疾患もあれば,そうで無い場合もあります.ですから,その症状の原因疾患の鑑別診断を考えるときは,以前書きましたように,①良くある疾患②見落としたら大変な疾患③職業・環境性疾患を考えないといけません.
(2)職業・環境性疾患を鑑別診断に挙げるためには,問診で,職業や労働環境を聴く必要があります.唐突ですが,『感染症外来の事件簿』(岩田健太郎.医学書院.2006年)に外来ヒストリー・リストというのが載っております.
①既往歴②手術歴③家族歴④職業⑤家族構成⑥家屋の構造,住宅,職場(学校)周辺の環境⑦常用薬⑧アレルギー⑨予防接種歴⑩喫煙歴⑪飲酒歴⑫旅行歴⑬ペット,その他の動物との接触(節足動物を含める)⑭子どもとの接触⑮シック・コンタクト(似たような症状の人間との接触)⑯性交渉⑰最近の外傷⑱その他(それぞれの場合.状況によって発生)
*赤字の部分が,特に,職業・環境性疾患にかかわるところ
上のリストは,本当に聴くこといっぱいですね.でも,外来で待っている間に問診票に書いて貰うと結構時間を省けますね.
で,職業の問診の仕方を割と簡便にできるようにしておく必要があると思います.具体的な問診の仕方は,後日述べたいと思います.
(3)外来受診される患者さんの場合,①自分の症状を職業・環境と結びつけていない人,②ひょっとしたら関係あるかも,と考えている人,③明らかに仕事と関係ある(→労災申請希望)といったひとに分類できると思います.いずれにしろ,「自分の症状は,仕事・環境に関係すると思いますか?」といった質問が必要と考えます.③の患者さんは,ご本人が職業・環境性疾患と思い込んでいて,じつは,関係なかったりするので,鑑別疾患はしっかりしないといけないですね.
2.定期受診者(他疾患観察時)
外来で,職業・環境性疾患に接する第二の機会は,職業・環境と関係ない疾患をフォローしていて,たまたま職業・環境性疾患を見つける事があります.例えば,糖尿病でフォローしており,たまたま胸部レントゲン写真を撮ったら,塵肺があった,高血圧の患者さんが手のしびれを訴えるのでよくよく聴くと振動工具を使用していた(振動病)と,いったことです.この場合,患者さんと相談し,疾患を詰めて行って必要な処置を行う必要があると思います.(塵肺なら管理区分をとるとか,振動病なら振動工具を使わない職場に配置転換してもらうとか)
以上述べたようなシチュエーションで,臨床医が的確に対応できるよう教育・訓練が必要と考えます.
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・以前、シアン中毒のところで、ちょこっとメトヘモグロビンが出てきたので、今回メトヘモグロビン血症のことを書きます。
・メトヘモグロビンとは、医学書院医学大辞典には,次の様な説明があります.
ヘモグロビンの2価のヘム鉄Fe2+が酸化されて三価鉄Fe3+になったもの.・・・二価鉄ヘモグロビンとは異なり, O2,CO,NOなどとの結合能を失っている.・・・
・メトヘモグロビン血症は,同辞典には,以下のように書かれています.
メトヘモグロビンが約15g/L以上に増加し,チアノーゼに始まり,呼吸困難,頭痛,めまいなどを呈する病態.遺伝性(常染色体劣性)と中毒性がある.遺伝性のものはNADHシトクロム還元酵素欠損による.中毒性は,過酸化物によるもので,亜硝酸ナトリウム,ニトログリセン,サルファ剤,ニトロベンゼンなど身近な薬剤が原因に挙げられる.
・職業・環境医学で問題になるのは、上で述べられている「中毒性」,即ち,さまざまな化学物質によるものです。UpToDateには、原因物質が以下のようにあげられています。
| Acetanilid | | p-Amino salicylic acid | | Aniline dyes | | Benzene derivatives | | Clofazimine | | Chlorates | | Chloroquine | | Dapsone | | Local anesthetic agents | | Benzocaine | | Lidocaine | | Prilocaine | | Menadione | | Metoclopramide | | Methylene blue* |
| | Naphthoquinone | | Naphthalene | | Nitrites | | Amyl nitrite | | Farryl nitrite | | Sodium nitrite | | Nitroglycerin | | Nitric oxide | | Nitrobenzene | | Paraquat | | Phenacetin | | Phenazopyridine | | Primaquine | | Resorcinol | | Sulfonamides |
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Haz-Mapには、以下のような説明があります。(英語が面倒な方は,読みとばして,治療のことが書いている方へ行ってください)
Methemoglobinemia is a sentinel health event (occupational) associated with exposure to aromatic amines and nitro compounds (aniline, TNT, nitroglycerin, toluidine, and nitrobenzene) and working in the explosive, dye, and rubber industries; [Mullan] Methemoglobin Concentration and Adverse Effects: 1 % = normal; 10-20% = chocolate brown central cyanosis; 20-45% = CNS depression; 45-55% = coma; [ATSDR Case Studies: Nitrate/Nitrite Toxicity] In some cases, methemoglobin-forming compounds cause denaturation of hemoglobin (Heinz bodies) followed by hemolytic anemia. It is not known why some individuals have methemoglobinemia and others experience hemolytic anemia after exposure to the same oxidants. [Sullivan, p. 376] Methemoglobinemia severe enough to require treatment is relatively rare in smoke inhalation victims. [Bizovi KE. Smoke Inhalation Among Firefighters. Occup Med. 1995 Oct-Dec;10(4):721-33.] Pulse oximetry cannot distinguish oxyhemoglobin from methemoglobin, and SpO2 is falsely elevated in methemoglobinemia. [Merck Manual, p. 370] Cyanosis becomes apparent when methemoglobinemia reaches 7-10%. Nitrates and nitrites also cause vasodilation with headache, tachycardia, hypotension, and syncope. Venous blood at the time of venipuncture appears brown-colored. Methylene blue is the antidote for patients who are not G6PD deficient and who have cardiorespiratory distress with methemoglobinemia >30%. Like CO, CN, and HS2 poisoning, methemoglobinemia is a form of chemical or systemic asphyxia. [AHLS, p. 97-99, 225] Drugs that may induce methemoglobinemia include benzocaine, lidocaine, prilocaine, chloroquine, dapsone, primaquine, sulfonamides, trimethoprim, phenazopyridine, phenacetin, and metoclopramide. [Olson, p. 262] Subacute methemoglobinemia, oxidative hemolysis, and Heinz body anemia may develop in susceptible individuals exposed to chemicals that can induce methemoglobinemia. Polycythemia may also be seen as a response to the chronic anoxia caused by the methemoglobinemia. Individuals with G6PD deficiency are susceptible to this disorder. [LaDou, p. 211] In vitro testing for potency showed the following: p-Dinitrobenzene > o-Dinitrobenzene > copper = nitrite >chlorite > chlorate. [See Hyperlink]
・酸化作用のある物質は、メトヘモグロビン血症か(and/or)溶血性貧血をおこすということですが、どうしてこの違いがでてくるのか、理由はよく分かっていないそうです。
・急性のメトヘモグロビン血症の治療は,OXFORD HANDBOOK OF OCCUPATIONAL HEALTHには以下のように書かれています.
Methylene blue(methylthioninium chloride) should be administered in a dose of 1-2mg/kgIV over 5 minutes. Repeated doses may be needed.
Methylene blue(methylthioninium chloride) should not be used if the methaemoglobinemia is due to chlorate poisoning as it may convert the chlorate to hypochlorite which is an even more tocis compound.
・『中毒百科改訂第2版』にも,次の様な記述があります.(130ページ)
「メチレンブルーは,赤血球のNADPHの存在下に,赤血球中のメトヘモグロビンを還元してヘモグロビンに戻す.NADPHは,前述のようにペントースリン酸経路のG-6-PDを介して産生されるから,G-6-PD欠損者にあってはメチレンブルーは効果を発揮しようがない.効果がないだけでなく,前述のようにメチレンブルーは細胞外ではメトヘモグロビン生成物質として働くから,メトヘモグロビン血症を増悪させるし,溶血を起こす.・・・・
塩素酸塩によるメトヘモグロビン血症には,メチレンブルーは効果がない.メチレンブルーは赤血球内のNADPH-還元酵素を介してその作用を発揮するが,塩素酸塩によるメトヘモグロビンは主に赤血球外のものだからである.しかも,塩素酸塩には,NADPH産生の元になる肝心のグルコース-6-リン酸脱水酵素を不活化してしまう作用もある.・・・」
・『今日の治療指針2008』には,「亜硝酸エステル類によるメトヘモグロビン血症に対して」(124ページ)という項目があり.「処方例 :メチレンブルー1%溶液 1-2mg/kgをゆっくり静注(市販製剤なし,試薬を院内調剤)」とあります.これを,そのまま,原因物質を考慮せず,何でもかんでもメトヘモグロビン血症に使用すると,悪化させる可能性があるということです.
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・本日朝8時前から、地域の草刈り。(お盆が近いので、「墓道」をきれいにする「行事」)先日購入した刈払機でさっそうと、草刈り。暑くて、草刈るより、座って休んでいる時間の方が長かったみたい。
・さて、この記事の標題は、ランセットの症例報告の標題を私なりに訳したものです。
Gardening can seriously damage your health
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140673608608776/fulltext
健康だった47歳の男性が、庭に根覆いしたあとに、acute invasive aspergillosisになり死亡したという症例報告です。その最後のほうに、Acute aspergillosis after contact with decayed plant matter is rare, but may be considered an occupational hazard for gardenersとあります。枯葉や堆肥にaspergillusがいるんですね。(月桂樹の落ち葉の掃除していて、aspergillosisを発症した症例報告もあります)庭師(や、公園、森林の手入れをするひと)の職業性疾患の一つとして、aspergillosisを考えないといけないということです。また、職業曝露以外に、趣味の園芸での曝露、もしくは、わたしのように地域の草刈りによる曝露もAspergillosisの原因となりえるわけです。
・職業性疾患?の症例報告をも一つ、次に紹介しておきます。
Locally invasive pulmonary aspergillosis occurring in a gardener: an occupational hazard?
http://www.pubmedcentral.nih.gov/picrender.fcgi?artid=462010&blobtype=pdf
34歳の健康だった庭師の男性が、亡くなっています。
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・ハリソン17版のアルコールのところに、以下のような記述がありました。
Atrial or ventricular arrhythmias, especially paroxysmal tachycardia, can also occur after a drinking binge in individuals showing no other evience of heart disease-a syndrome known as the "holiday heart".
心筋症の項では、以下のような記載。
Termed the holiday heart syndrome, it typically apppears after a drinking binge; atrial fibrillation is seen most frequently, followed by atrial flutter and frequent ventricular premature depolarization.
・Holiday heart syndromeは,医学書院医学大辞典では,休日症候群と訳されており、以下のように説明されています.
休暇の後や週末などの仕事から離れた時にしばしばみとめられる不整脈.過剰な飲酒に続発してみられることもある.通常は一過性.
・なんで、休日症候群なのでしょう?心臓無視していますね。休日心臓症候群でしょう。
Yahoooで休日症候群といれたら、「サザエさん症候群」とでてきました。
・英語の文献の記載をみると、もともと心疾患がない人がアルコール飲んで起こる不整脈というニュアンスですが、医学大辞典では、アルコールは主要な原因でなさそうな記述です。また、「通常は一過性」とありますが、心停止の報告もあります。
・お酒飲んで、救急車で運ばれてきた人をみるばあい、単に急性アルコール中毒といった思い込みでなく、不整脈も考えないといけませんね。
・何はともあれ、アルコール飲んでの、どんちゃん騒ぎはやめましょう。(と、いっても、とってもどんちゃん騒ぎがしたい、私...)
・本日の英語
binge (飲食、買い物を)しまくること;飲み放題;暴食;どんちゃんパーティー
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・医学書院の医学大辞典で,Beer potomaniaをさがしていたら,載ってなくて,たまたま標題のような疾患(beer and cobalt syndrome)がみつかりました.以下,その引用です.
「ビール多飲者にみられた心筋症で,ビールに添加されていたコバルトが関与していた.ビールを何年間も毎日飲んでいた人に心不全の症候がみられたが,現在はコバルトの添加が中止されており,新しい症例は発症していない.」
・コバルトによる心筋障害は、以前記事にしたことがありますが、こういった名前があるのは知りませんでした。さて,ここで一つの疑問がわいてきます.ひょっとして,過去アルコール性心筋症と診断されていたのは,実は純粋にアルコールのせいでなく,コバルトによる心筋症も含まれていたのではないか?と.ハリソン17版のアルコール性心筋症のところをみると,コバルトのコの字もありませんでしたが,UpToDateには,以下のような記載がありました.
Additives to an alcoholic beverage, for example cobalt, may rarely exert a toxic effect on the myocardium
・やはり,教科書は複数見るものですね.
・それにしても、当直明けで、眠い...
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・先日,特異的な有害ガス吸入に対する治療として,シアン中毒に対する,亜硝酸アミル,亜硝酸ナトリウムについて書いたと思います.シアン中毒の治療については,『今日の治療指針 2008年版』の121ページに載っています.その記載でちょっと疑問に思ったのは,亜硝酸アミル液が「保外」と保険適用外のマークがついていますが,「添付文書」をみると,保険適応と思うのですが,いかがなものでしょう?
亜硝酸アミルの添付文書
http://database.japic.or.jp/pdf/newPINS/00008758.pdf
・それは,さておきシアン中毒について.今日の治療指針によると「シアン(青酸)化物イオンは,ミトコンドリア中のチトクローム酸化酵素複合体中の鉄と急速に結合し,この酵素を阻害し,細胞内での酸素利用を阻害する.その結果,生体は嫌気的代謝経路を利用するため,乳酸アシドーシスとなる.」とあります.で,治療の原理については,『中毒百科改訂第2版』を引用すると次のようになります.「シアン中毒の特異的治療法は,シアンがFe3+に親和性が強いという性質を逆用して行う.すなわち,正常のメトヘモグロビンをつくる.こうすると,シトクロム酸化酵素のFe3+と結合していたシアンは剥がれてメトヘモグロビンのFe3+と結合し,シアノメトヘモグロビンをつくる.こうして,とりあえず急場をしのいだあと,チオ硫酸ナトリウムを静注すると,硫黄が,シアノメトヘモグロビンから少しづつ遊離してくるシアンと結合し,チオシアネートとなる,これは毒性が低く,腎臓から排泄される.・・・メトヘモグロビン血症をつくるには,亜硝酸ナトリウム300mgを10mLに溶かしたものを血圧低下に注意しながら5分以上かけて静注する.わが国では,市販されていないから試薬を使ってつくる以外にない.これが間に合わない場合には,亜硝酸アミル吸入液(三共)のアンプルを砕いて布にしみ込ませて,鼻や口の近くで吸入させる.」
・今日の治療指針は,上の文章を読まないと理解しにくいのではないでしょうか.亜硝酸アミルは狭心症の治療薬として,結構一般の医療機関においている(んですよね?)ので,それを使用してとりあえず治療する.それで時間稼ぎをして,院内で亜硝酸ナトリウムをつくって静注して治療するということです.
・今日の治療薬には載っていませんでしたが,中毒百科に以下のような注意書きがあります.
「亜硝酸ナトリウムの投与量は,貧血がある場合には少なめにしないと,少ないヘモグロビンのほとんどが酸素運搬能力のないメトヘモグロビンになってしまい,それだけで致命的となる.・・・表の投与量を越えないようにする.・・・」
表
ヘモグロビン濃度(g/dL) 投与量(mg/kg)
8 6.6
10 8.7
12 10.0
14 11.6
参考
http://www.j-poison-ic.or.jp/kagaku/gedokuzai/Onitri_s.pdf#search='亜硝酸ナトリウム'
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