・最近がん告知に関して似たような事例を2件経験しました。ともに、癌が見つかり主治医の先生が、本人と家族に同時に告知したとのこと。二家族とも、どうして先に家族にいってくれなかったかと不満/不信をもらしておられました。
・基本的に私は、正常な判断能力のある患者さんなら、本人にまず告知すべきとかんがえています。そして、そういう指針もでています↓
国立がんセンターの「がん告知マニュアル」
また、若干がんの告知とはことなりますが、厚労省の「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」↓
・がんセンターのマニュアルにも書かれていますが、基本は、本人への告知と言うことです。一部貼り付けます↓
1)基本的姿勢
2)家族への対応
「家族には先に知らせない」のが原則である。患者本人に告知を希望しない家族が一般的な根拠とするのは、「患者は気が小さいから自殺をするかもしれない」という考えであるが、この危険は通常考えられているよりもはるかに低い(Oken D, 1961)。ただし、自殺の可能性は常に考慮に入れておかなければならない。
・上の記述を読んで、反対するご家族もおられるでしょう。私は、司法のことをよく知りませんが、「家族にだまって、告知をした」ということで裁判がおこっていないでしょうか?逆に、患者から「家族に先に告知をしてしまった」といって裁判がおこっていないでしょうか?ご存じの方は、ぜひ教えていただきたい。・・・患者を先にしても、家族を先にしても訴えられたら医者はかないませんよ。
・がん告知ではありませんが、私が以前診ていた患者さんの事を思いだします。しっかりしていた方でした。私は病状をワープロで打ってお渡ししていました。その方が亡くなった後、ご家族がなぜ病状を説明してくれなかったと苦情をいわれました。ご本人には、きちんと文書まで渡して説明しているのであり、ご家族が病状をしりたければご本人にきけばよい。で、ご本人が家族に病状を言いたくなければ言わなくてよい。それを本人を飛び越して医師に問い合わせるのは、プライバシーの侵害だと思います。(この場合、本人ご存命中は、「飛び越して」はいなかったわけですが)なぜ、私が責められないといけない???
・がん告知の話にもどりましょう。確かに私は小心者ですが、私が癌なのに、家族が私が小心者なので主治医に告知しないでほしいといったらなら、私は怒り狂いますよ。なんぼ小心者でも、自分が癌なら知って、その後の生き方/死に方を考えたいですよ・・・癌告知のアンケートで、自分には告知してほしいが、配偶者にはしてほしくないという結果を見たりしますが、私から言わせれば独立した人格である配偶者を馬鹿にしている・・・言い過ぎなら軽んじていると思います。(アンケートに答えた人は「思いやり」と思っているのでしょうが)
・最初にもどって、一般論として、「家族に先に病名を告げなかった」ということで主治医を責めることは出来ないと思います。ただ、患者本人の精神状態や主治医と患者/家族とのコミュニケーションの良さ/悪さ等様々な問題が絡んでおり、個別の事例としては、私は何ともいえませんが。あくまで、一般論の事を書きました。
以下日記
本日は午前産業医学科外来。午後は2時間ほど、労災の診断書作成に時間をかけました。現在慢性疲労状態でしょう。集中して書類を作成したら、とっても疲れて夕方仮眠をとりました。(労災の書類って、とってもめんどくさくって、ややこしくて、おまけによくケチをつけられるので、神経使います)そして、現在当直中でこのブログを書いています。(仮眠したのでちょっと元気)
明日は夜間診療があり、19時30分まで外来です。はたして体がもつかしら。
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政治や経済、行政、年金、報道などの問題を考えると、どうしても日本人の「甘え」のようなものを感じざるを得ません。(もちろん自分にも当てはまります)
よくわからない連中だけど政権政党を替えたら生活もよくなるだろう、大切なお金を銀行証券会社に任せたら儲けさせてくれるだろう、官僚役人は国民のために働いているはずだから公務員優遇官僚天下りも許されるだろう、年金は自分で運用するのはコワイから官僚に任せよう(そうすれば自分にもきっといいことがあるはずだ)、マスコミは正義の味方のはずだから何でも信じておこう、等々。
極論ですがこういう国民の精神的特徴が、癌告知の問題に深くかかわっていることは間違いないであろうと思います。
本人に告知されたらどうなるかわからない、その時一番困るのは自分たち家族である、一見上記の甘えと矛盾するようですが、実は表裏一体の同じものだと思います。
先日も話題になった死生観が確立していないことも根はいっしょだと....
>Paul Carpenterさま、コメントありがとうごじます。
私は、自律、主権者という意識が必要と思っております。「あなたの命はだれものも?」です。
>ガーネット・レッドさま、コメントありがとうございます。
私も、同感です。ただ、高齢者になってくると難しいですね。当院では、入院時アンケートで、誰に病状をはなしてもよいか聴くようにしていますが。
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