
突然グラフがでてきましたが、これはあるJR電車運転士の1ヶ月の勤務表です。私は、何回か電車運転士の勤務表みたことありますが、いつも暗号のようでよくわかりませんでした。このグラフの茶色の棒が勤務時間で斜線の部分が「泊り・明け」勤務の間の時間(宿泊であり、拘束されている時間、なのに労働時間と扱われない時間)というものです。いったい何時家に帰っているのかなという感じです。さて、こういう不規則な勤務をしている人に、「生活習慣病」予防のために、規則正しい食事とか運動、十分な睡眠といったところで、絵に描いた餅という感じがしますが、いかがでしょうか?また、よく医師がする処方の「1日3回食後」といった処方が本当に「有効」かどうかも考えないといけないと思います。
・上の表は、『電車運転士の労働と眠気 JR福知山線事故が提起する安全の条件』(重田博正著、文理閣。2009年7月10日)に載っています。運転士の勤務についても、くわしい説明はこの本に載っていますから、ご参照ください。そもそもこの本は、「・・・福知山線事故の諸要因のきっかけとなったと考えられる眠気は、当該運転士の個人的条件ではなく、JR西日本における運転士の労働条件の悪化に深く根ざすものである。したがって乗務中の眠気が防止できる労働条件を確保することなくして、今後も起こりうる多様な事故・トラブルのリスクを低減させることはできない、そのことを明らかにするのが本書執筆のねらいである。」ということです。・・・唐突ですが、私、新入職員や看護学生に労働安全衛生の講義をするとき、厚労省医政局医療安全対策検討会議ヒューマンエラー部会が作成した「安全な医療を提供するための10の要点」を引用します。(下のsiteはそのカラーのパンフレット)
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/i-anzen/1/human/dl/04panf2.pdf
とくに私は上の(7)を強調するのです。しかし、この文章だけからすると、それは「個人責任」ともとらえかねないですね。こういうことができる職場環境を作ることが管理者に求められているのです。・・・JRの話にもどって、安全な運転をしてもらうためには、運転士の労働条件をそれなりのものにしないといけないのですね。しかし、JR西日本はそれを怠った。この本はそれを検証しているわけです。
・・・・先日、JR西日本の元社長が起訴されたというニュースがありました。私は、福知山線事故の一連の報道の中で、JR西日本の当時の「経営理念」を読んだことがあります。(現在、インターネットで見つけられません。たぶん福知山線事故関係の書籍にはでていると思いますが)驚きました、安全よりも利益が第一だったんですね。そういう理念/企業体質だから、事故が起こってからの対応にもいろいろ不具合があったと思うのです。理念がいかに大切か、反面教師として学ばせてもらいました。
・この本、私の知り合いの研究者が書いたものです。是非ご購入ください。購入先がわからなければ、私にご連絡を。
参考
鉄道事故調査報告書 平成19年6月28日
http://araic.assistmicro.co.jp/railway/report/RA07-3-1-1.pdf