・じん肺という疾患は、ほとんど多くは、何十年もかかって病気が出来上がってくるものですが、時に、急速に発症する場合があります。ちょっと古いですが、以下のような症例報告がありました。
一年の経過で急速に進行を認めた溶接工肺の1例
石田義裕(明石市医師会立明石医療センター 内科), 世良和明, 太田耕治, 陰下敏昭
日本呼吸器学会雑誌(1343-3490)41巻5号 Page351-355(2003.05)
著者抄録:症例は57 歳,男性,溶接工.40 年間溶接工として就労し,毎回じん肺検診で異常は指摘されていなかったが,平成11 年12 月20 日より平成12 年1 月10 日までトンネル内でのアーク溶接作業に従事した後呼吸困難が出現した. 平成12 年10 月5 日のじん肺検診の胸部単純正面像で両肺に網状陰影を指摘され,当院へ紹介された.気管支鏡下経気管支肺生検標本では肺胞内に鉄粉が充満し,喀痰検査でも鉄粉が検出された.病理診断は鉄肺症であったが,職歴よりアーク溶接工肺と診断した.本症例では血清鉄(231μg/dl),
血清フェリチン値(2,309 ng/ml)と著明な高値を示した.一般に溶接工肺は粉じんの長期暴露に伴い,軽度のじん肺所見を示すとされているが,極めて急速に進展するアーク溶接工肺を経験したので報告する.
・私の補足。一般に、大量の粉塵を吸入する事で、曝露開始後数年で発症するじん肺を「急進じん肺」と言います。これは、一般的に予後不良で、死に至ります。上記の症例報告は、急速に陰影が出現していますが、経過は良好で、「急進じん肺」とは、異なるといった考察がされています。
・興味深かったのは、アーク溶接工肺で血清フェリチン値が上昇するということでした。知りませんでした。
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