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・先日の病理診断の話に関係して,つい最近経験した症例をご紹介.

72歳男性.基礎疾患にアルツハイマー病有り.10月頃より38度台の発熱出現.アルツハイマー病のため,近医で十分検査できず.娘さんが介護に困りはて,当院のMSWに相談.とりあえず,受診していただきました.受診時は,比較的コチラの言うことを聞いてくださったので,胸部レントゲンとか採血ができました.胸部レントゲンを見たところ,第一印象が何か白っぽい.きちんと順をおって読影していくと,肋骨の濃度上昇があると思われました.それで,十中八,九前立腺癌だと思いました.PSAを測定したところ1400ng/mlと高値.ALPも1319U/Lでした.泌尿器科に紹介し,生検,手術し,前立腺癌と確定診断できました.

・もう10年以上まえに同様な症例を経験しました.胸部レントゲン→骨シンチ撮り,前立腺癌と考え泌尿器科紹介しましたが,生検で陰性.しかし,いくら他を探しても原発巣がなく,絶対前立腺癌だと考え再度泌尿器科紹介.最初の生検は1カ所でしたが,2回目は複数箇所採っていただきました.それで,前立腺癌と診断されました.このときの教訓は,主治医が最終責任を持つということです.いくら他科紹介は,あくまで「コンサルト」,最終的な診断の責任は主治医にあるのです.

・さて,この機会に骨形成型の骨転移を調べてみました.圧倒的には前立腺でしょうが...

・まず,『標準整形外科学』(第8版)の記載:「前立腺癌の骨転移の約85%は骨形成方である.・・・そのほか骨形成型には粘液癌の骨転移が含まれ,乳癌の30%,胃癌の25%,肺癌の15%は骨形成型といわれている.」

・次にインターネットでみつけたsiteですが,Feedback Note OF Medicineというwebsiteには以下の様な記述がありました.

http://suuchan.net/note/Chapter-250408.html

原発巣

   

頻度

X線

肺癌

20%

約15%は骨形成型

乳癌

18%

約30%は骨形成型

前立腺癌

7%

約85%は骨形成型

腎癌

7%

  

胃癌

6%

約20%は骨形成型

子宮癌

5%

  

肝癌

4%

  

・最後に,我らがUpToDate

”Bone tumors: Diagnosis and biopsy techniques”という項目の表には次の様にありました. 

Primary bone response to some tumors*

Predominantly osteoblastic

  Prostate

  Carcinoid

  Gastrinoma

  Small cell lung cancer

  Hodgkin lymphoma

  Medulloblastoma

Predominantly osteolytic

  Renal cell cancer

  Melanoma

  Squamous cell cancers of the     aerodigestive tract

  Multiple myeloma

  Non-small cell lung cancer

  Thyroid cancer

  Non-Hodgkin lymphoma

  Mixed osteoblastic and osteolytic

  Breast cancer

  Gastrointestinal cancers

  Squamous cancers at most primary sites

* These represent the most common patterns of metastatic involvement; individual variations may occur.

 

・ワタシャ,前立腺癌,乳癌と覚えていましたが,いろいろあるものですね.でも,圧倒的多数は前立腺癌でしょう.

 

「タメになったね〜」「タメになったよ〜」(もう中学生)


 

 

 

 

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コメント一覧

前立腺癌、乳癌はよくみますが胃癌の骨形成性転移、骨硬化性転移もごくまれにみます。

最初に経験した患者さんは若い頃運動で鍛えた体を定年間近まで保持して健康でいましたが、会社健診でひっかかりました。まったくの無症状でした。
血清Alpが何千にも上昇していたのです(400以上は異常)。
アイソザイムは骨型で、骨シンチ、脊椎MRIでは全身骨に骨転移を疑う所見がみられました。
ところが単純写真、X線CTでは骨形成性転移、骨硬化性転移の所見でした。
再度詳細に問診すると、少し前からたまに軽い背部痛があるかもしれない、という程度でした。
前立腺癌はみつからず、腫瘍マーカーもPSAは上昇せず、CEAが著明に高値を示していました。
胸部CT、腹部CTには骨以外は異常なく、胃カメラをしたところ前庭部にわずかにたこいぼびらん様の小隆起があり、生検したところ腺癌(印環細胞癌だったかも)が検出されました。
化学療法が行われましたが、初診から約2年後、亡くなる直前までほぼ普通の生活をされていました。腹痛や腰痛もかなり末期まであまり気にならない程度だったと思います。
このようなこともあるんだなあと大変勉強させられたことを憶えています。

>Paul Carpnenterさま,コメントありがとうございます.
そういう症例もあるんですね.勉強になりました.
written by Paul Carpenter / 2008.12.25 08:30

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