・自殺に関しては,様々な議論があるでしょう.医療倫理の一つの問題として,そもそも自殺企図のヒトを助ける必要があるのかという問題もあると思います.世の中で多分多くの人と合意できるのは,自分は死んでもヒトは巻き込むなということではないでしょうか.でも,全くの他人を巻き込んで,自殺するヒトもいるんですね.
・労働安全衛生の立場から言えば,自分が管理監督する労働者をそういうことに巻き込ませない配慮が必要となります.遅ればせながら,このブログの標記のような通達がでていたのでお知らせします.(いつも書きますが,知ったら知らせるという立場です)
http://www.jaish.gr.jp/anzen/hor/hombun/hor1-49/hor1-49-62-1-0.htm
順番が逆になりますが,最初に硫化水素につての説明を貼り付けておきます.
(参考)
硫化水素について
1. 特徴
無色、水によく溶け弱い酸性を示し、腐った卵に似た特徴的な強い刺激臭があり、目、皮膚、粘膜等を激する有毒な気体である。空気より重く、地面あるいは床に沿って移動することがある。
2. 化学物質等安全データシート(MSDS)抜粋
臭い:特徴的な臭気(腐敗した卵)
人健康有害性:急性毒性(吸入:気体)
危険有害性情報:吸入すると生命に危険(気体)、強い眼刺激、中枢神経系、呼吸器系、心血管系の障害
管理濃度:5ppm
許容濃度:日本産業衛生学会(2005年版) 5ppm,7mg/m3
物理的及び化学的性質:
○ 融点・凝固点:-85℃
○ 沸点、初留点及び沸騰点:-60℃(沸点)
○ 蒸気圧:18.75×105 Pa(18.75×102 kPa)
(安全衛生情報センターホームページ(http://www.jaish.gr.jp)のGHS(化学品の分類および表示に関する世界調和)対応モデルMSDSから引用)
以下がメインの通達です
基安化発第0717002号 平成20年7月17日
都道府県労働局労働基準部
労働衛生主務課長 殿
厚生労働省労働基準局安全衛生部 化学物質対策課長
ホテルにおける硫化水素ガスによる労働災害防止について
最近、全国各地で硫化水素を発生させて自殺する事案が発生しており、ホテルの従業員が事業場内でのこれらの有毒ガスを吸い込み労働災害を発生する事案が別紙のとおり報告されている。
このため、日本ホテル協会等に対して別添のとおり、硫化水素ガスの労働災害防止について要請したところである。
ついては、各局においてもこうした労働災害を防止する観点から、各種機会を通じて、関係事業者団体等に下記事項について周知するよう努められたい。
記
1 関係労働者に対する硫化水素の有害性等の周知
関係労働者に対して、硫化水素の有害性、性状、室内より異臭がする場合には部屋に入ることなく警察及び消防に通報すること等疑わしい事案に遭遇した場合の対処方法等について、周知するよう努めること。
2 異常発生時の措置
不測の事態により、硫化水素にばく露するおそれのある事案が発生したときは、直ちに労働者を安全な場所に退避させるとともに、硫化水素にばく露するおそれのある場所への立ち入りを禁止すること。
なお、やむを得ず労働者を硫化水素にばく露するおそれのある場所に立ち入らせる必要がある場合には、呼吸用保護具の使用等、適切なばく露防止措置を講ずること。
(別紙)
(硫化水素による重大災害(平成20年))
1. 2月 死亡者数 0名 死傷者数 11名(不休)
ホテル従業員が、チェックアウト時間になっても連絡のない宿泊客の部屋を開けようとしたが開かず、警察を呼んだところ、室内で宿泊客が硫化水素自殺をしており、漏れた硫化水素により館内のホテル従業員11名が不調を訴えたもの。
2. 5月 死亡者数 0名 死傷者数 4名(休業2名、不休2名)
ホテル従業員が、チェックアウト時間になっても連絡のない宿泊客の部屋を開けようとしたが開かず、警察を呼んだところ、室内で宿泊客が硫化水素自殺をしており、漏れた硫化水素、レスキュー隊員や搬出された遺体等に付着していた硫化水素により館内のホテル従業員4名が不調を訴えたもの。
3. 5月 死亡者数 0名 死傷者数 9名(休業0名、不休9名)
ホテル従業員が、チェックアウト時間になっても連絡のない宿泊客の部屋を開けたところ、室内で宿泊客が硫化水素自殺をしており、漏れた硫化水素により館内のホテル従業員9名が不調を訴えたもの。
*上で赤字にしたのは,私ですが,「そう言われても実際どうすれば良いの?」とホテルのマネージャーは思ってないでしょうか?実際ホテルがどのような対策をとっているか教えていただきたいです.(日本ホテル協会のWebsiteには,これに関する記事は見られません.・・・と思う)