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・神戸・明石の「旅」で読めたのが、『医学・医療の品格』(久道茂。薬事日報新書。2006年)です。私は、この著者は、医学判断学で知っていました。大学教授退官後は、病院事業管理者となり、『病院経営ことはじめ』(医学書院。2004年)という本を書いておられました。著者は、藤原正彦氏の『国家の品格』を読んだあと、「貯めていたメモを見ながら気も急くままに一気に書き上げたもの」だそうです。内容は10章に別れていますが、その中のひとつひとつの項目が短くまとめられており、読みやすい本でしたし、私の知らない言葉も結構あって、勉強になりました。私の評価の、優良可でいえば、良でしょうか。

内容

第1章 世界一の平均寿命と医療の質

第2章 医療人・患者の品格

第3章 ランキング主義が人心を惑わす

第4章 病院経営と市場経済主義

第5章 患者中心主義の行く末

第6章 病院は「女男共同参画社会」

第7章 大学医学部・附属病院の役割ー教育と研究ー

第8章 科学性と倫理性

第9章 なぜ医師不足が解消されないか

第10章 医学・医療・病院の品格

 

・私が読んでいて、面白かった言葉を挙げてみます。

学歴ロンダリング:これは、マネー・ロンダリングのパロディーでしょうかね。大学の卒業生が、自分の大学の大学院でなく、より格上と見られている大学院に入学する傾向があること・・・最終学歴の改造ではないかということ

偏差値エリート医師:これは、よく(?)言われている言葉と思います。

患者の品格・住民の品格:問題患者や、問題地域住民のことがかかれていました。「医師に成り立ての若い医師が地域医療に貢献しようと意欲に燃えて地方に赴任しても、さまざまな思いを抱いて意欲を失い、もういやだ、となることが少なくないのです。」

論文のサラミ化:「論文数を増やすために、研究成果をサラミ・ソーセージの薄切りのように、一編で済みそうな論文を数編に分けて書く」ことだそうです。こういうの、時々見ますね。

書くか負けるか症候群:英語のPublish or perish syndromeの訳ですね。この言葉は、英語の雑誌で見かけたことがあります。英語は、最初のPと最後のishの発音が韻を踏んでいて面白いのですが、日本語にすると全然面白くないですね。それは、さておき、この「症候群」は、インパクトファクターの高い雑誌に論文を書きまくる、そうしないと教授選に負けるということですね。特に臨床の研究者が、基礎的な研究発表ばかりしてファクターの点数稼ぎをするのを、皮肉っているようです。

医療機関にとって赤字とは:赤字とは、そもそも何か、この本で議論されています。とっても大事なことだと思います。赤字の定義をはっきりさせないと、医療機関の経営を議論する時、混乱の元となります。

ナイチンゲールの誓い:私は、当然ナイチンゲールが作ったものと思っておりましたが、これは、「1894年にアメリカのファランド看護学校の看護委員会がヒポクラテスの誓いを基に作成といわれ」と、この本に書いておりました。

お患者様:「ポピュリズムやがて悲しき「患者様」」という項に続いて「お患者さま」という項があります。著者のヘンな夢の話です。

患者は顧客か:こういう項の中に、「患者は病院に行きたくて行くのではありません。行かざるを得ない状況になって渋々いくのです。買い物をしたくてデパートに行くとか、オペラを鑑賞にいくのとは違うのです。」とありました。

マルチボスシステム:本来組織はワンボスシステムが望ましいのに、病院の看護師さんはマルチボスシステムですね。そう、言われりゃ、そうだと、あらためて認識しました。

FD:Faculty Development=教育者のための教育向上:「近年、教育者のための教育が必須だといわれ」と書かれています。近年というのは、いつごろからでしょうか?私が、研修医を指導するようになってから、そう認識したのですが、日本の医学部の教員はいつごろからそう認識しだしたのでしょう?

二重遮蔽法:二重盲験法が、差別用語ということで、こういうようになったそうな。

同僚に知らせる責務:ここでは、ある治験をしていて有害と分かった時点で、治験を中止する。それだけでなく、そのことを知った医師は、他の医師に知らせて同様な行為をやめさせる責務があるということです。この言葉が何処から、出てきたか知りませんが、私の、このブログを書いている問題意識も、ある意味同僚(or 国民)に知らせる責務があると思って書いております。

若い医師に対する地域住民の暖かい対応:「医師不足解消策のいろいろ」と言う項で、著者が思いつくままに色々な医師不足解消法を書かれています。このこともその一つ。「研修のために休暇をとることや、たまには夏休みを取れるくらいの理解を示すことが必要でしょう」この文では、「誰が」理解を示すのか主語が書かれていませんが、患者・住民ではないかと思います。もしくは、若い医師のボスや病院管理者かもしれませんが。でも、これは、別に若い医師に限らず、全ての医師に言えることだと思います。私は、休む時には、患者さんに堂々といいます。そして、何か言われたら、医師も休まないといけないor学会で勉強しないといけないと、きちんと説明をして患者さんの理解を得ようとします。

  

長くなりました。今日は、ここまで。これから、風呂入って、ビール飲んで寝ます。

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