ミチバ
More プロフィール

Search

Calendar

<< 2008/11 >>
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30

トップページ

Doctors Blog

ブログの購読

新着トラックバック

< 筋肉痛には,尿検査,CPKそしてクレアチ... | メイン | 『学者のウソ』:お医者さん,弁護士さんは... >

・私は,今まで11件過労死の労災認定/損害賠償の意見書を書いてきました.1件はまだ結論が出ていませんが,9件認められて1件のみ認められていません.とっても残念なことに過労死は減っているように思えません→労災の申請数も当分減ることがないでしょう.で,労災申請する場合医師の意見書が必要ですが,その意見書を書く医者が少ないのです.(だから,大阪の弁護士さんが岡山の片田舎の玉島まで,意見書作成の依頼に来られるのでしょう)過労死問題に関わり,少しでも,その意見書を書く医師が増えて欲しいと思うのです.ただ,意見書を書いても良いな/書きたいなと思っても,いったいどのように書けばいいのか分からないお医者さんがいることと思います.そこで,私の経験から,過労死意見書の書き方をこのブログで紹介しようと思います.標題が,過労死意見書となっていますが,基本的にどの業務上疾病の意見書にも応用可能と思います.

  

・そもそも意見書は誰に向かってかくものか?

裁判なら,裁判官に,最初の労災申請は,監督署長に,不服申請は,労働保険審査官に対して書くものです.つまり,医師以外の「素人」に医学的な意見を述べることになります.ですから,極力分かりやすい言葉で書くべきです.(「偉い」先生=被告側,の意見書をみていると,難しい言葉を並べて,英語の文献なんか引用していますが,私から言わせると,けむにまいてるだけですね)

  

・意見書の構成

1.はじめに

2.本文

3.おわりに

4.補足事項

  簡単に言ってしまえば,これだけの構成です.本文については,後ほど細かく説明します.

・はじめに

この部分は,誰の意見書をどういう経過で,自分が書くことになったかを記載します.

例文をあげます.(実際に私が書いた文章を若干かえた形で載せます)

 

**タクシー株式会社にタクシー運転手として勤務していたJohn Doe氏(19**年(昭和**年)**月**日生,死亡時年齢**歳)は,19**年(平成*年)*月*日午前*時頃,心筋梗塞で死亡された.遺族は,死亡の原因が長時間の深夜にわたる労働によるものとして,労災申請を**労働基準監督署へ行ったが業務外との判定であった.遺族はそれを不服として審査請求を行ったが,棄却され,また,再審査請求も行ったが,それも棄却された.遺族はその処分の取り消しを求めて岡山地方裁判所へ業務上と認めるよう行政訴訟を行った.それが,本件であるが,私は原告代理人の****弁護士より,医学的意見を求められたので,以下与えられた情報より,意見を述べたい.

 

・おわりに

これは,サマリーにあたります.結論は,被災労働者の死亡が業務によるものであり,業務上疾病と認めるべきであるという意見になります.

例文をあげます  

John Doe氏の場合,心筋梗塞のリスクファクターが複数みられた.しかし,それらがあるから即,業務起因性がないとは,言えない.心筋梗塞自体,また,そのリスクファクターへ,業務がいかに影響したかを考察すること無しに,業務上外の判断はすべきでないと考える.
・リスクファクターのことのみに関して言えば,次のようになる.高血圧は,あったとしても,軽症高血圧であったし,死亡前約4ヶ月間はまったく正常であった.糖尿病に関しては,罹病期間が,長く見積もっても2年2ヶ月であり,それのみで心筋梗塞を発症するような状態ではないと考えられる.肥満はあったが,高度ではない.高脂血症はあり,喫煙は20本/日.複数のリスクファクターはあったわけであり,虚血性心疾患のリスクは,高かったであろう.
・問題は,リスクファクターへの労働の影響である.John Doe氏の場合,長時間,不規則なタクシー運転労働が,心筋梗塞のリスクファクターである,糖尿病,高脂血症の悪化をもたらしたのではないかと,考えられる.また,John Doe氏が過労状態であったことは,ほとんど常に訴えている,頭重感や,倦怠感,不眠等により明らかである.加えて,企業に於ける健康管理も十分であっったとは言えない.(健診後の事後処置=勤務形態の考慮等がされていない)
・結論:John Doe氏は,それまでは昼間勤務であったところ,**タクシーに就職した昭和**年*月から死亡する平成*年*月まで深夜を含む連続長時間のタクシー運転業務に従事した.かかる労働が高脂血症・糖尿病を悪化させ,喫煙,肥満といった危険因子に加わり,John Doe氏の動脈硬化を自然的経過を超えて悪化させたていたと思われる.このような条件の下で,タクシー内で仮眠中にヒーターが切れて,寒冷曝露をうけるといった突発的な事態が引き金となり,心筋梗塞を発症し,死亡されたと考えられる.

 

*「はじめに」と「おわりに」の例文は,一つの意見書からとったモノです.車庫に止めていたタクシー内で,死亡しているところがみつかった方です.糖尿病,高脂血症,喫煙のリスクファクターがありましたが,裁判で業務上と認められた事例です.(地裁は敗訴,高裁で逆転勝訴)

 

・補足事項

引用文献をかきます.弁護士さんや裁判官は英語が苦手みたい(偏見???)なので,引用文献は,できるだけ日本語に.英語文献の引用なら,最低必要部分を和訳しなければなりません.当然のことですが,自分の書いたことには,必ず裏付けとなる文献をつけます.単に自分の経験にとどまるような叙述は極力さけるべきと考えます.(「えらい」先生が,思い込み,独断で事実と違うことを意見書に書かれていたことを複数回経験しております)

また,最後に自分の略歴を書きます.個人的には,好かんのですが,肩書きや経験,所属学会等あげて自分がこの意見書を書くに値するものであるというアピールとなるものです.(裁判では,意見書を書く医師に対し,相手側弁護士が,意見を書くに値しない医師だとこきおろしてくることがあります)

 

 

・長くなったので,今日はここまでとします.

to be continued.

固定リンク | コメント (1) | トラックバック (0)

トラックバック

この記事のトラックバック URL

http://blog.m3.com/OEM/20080815/2/trackback

コメント

コメント一覧

一部姓が変わっていないところがありますよ。

>Boston主婦さま、お久しぶりです。
ご指摘ありがとうございます。早速、訂正しました。ヤバイ、ヤバイ(´A`;ゝ)
written by Boston主婦 / 2008.08.17 02:28

コメントを書く

ニックネーム*
メールアドレス*
URL
内容*
※「利用規約」をお読みのうえ、適切な投稿をお願いします。