・そもそも私がこのブログを立ち上げた訳は,今の臨床医学で職業・環境性疾患がしばしば見逃されているというか,考慮に入れられていないことに問題意識を感じたからです.最近の臨床医学の「失敗」は,何といってもアスベスト問題でしょう.ここで「失敗」というのは,きちんと職業・環境性疾患としてアスベスト関連疾患が診断されなかったこと.きちっと補償に結びつけられなかったこと,再発を予防できなかった事等をいいます.
・今日のブログの記事は,日常診療の一般的な外来での,職業・環境性疾患とのfirst contactのあり様/種類についてです.まとまった記事でなく,思考過程のメモとお考えください.
1.外来初診時
(1)腹痛とか,頭痛,発熱といった訴えをもって患者さんが来られます.当然,職業・環境性疾患もあれば,そうで無い場合もあります.ですから,その症状の原因疾患の鑑別診断を考えるときは,以前書きましたように,①良くある疾患②見落としたら大変な疾患③職業・環境性疾患を考えないといけません.
(2)職業・環境性疾患を鑑別診断に挙げるためには,問診で,職業や労働環境を聴く必要があります.唐突ですが,『感染症外来の事件簿』(岩田健太郎.医学書院.2006年)に外来ヒストリー・リストというのが載っております.
①既往歴②手術歴③家族歴④職業⑤家族構成⑥家屋の構造,住宅,職場(学校)周辺の環境⑦常用薬⑧アレルギー⑨予防接種歴⑩喫煙歴⑪飲酒歴⑫旅行歴⑬ペット,その他の動物との接触(節足動物を含める)⑭子どもとの接触⑮シック・コンタクト(似たような症状の人間との接触)⑯性交渉⑰最近の外傷⑱その他(それぞれの場合.状況によって発生)
*赤字の部分が,特に,職業・環境性疾患にかかわるところ
上のリストは,本当に聴くこといっぱいですね.でも,外来で待っている間に問診票に書いて貰うと結構時間を省けますね.
で,職業の問診の仕方を割と簡便にできるようにしておく必要があると思います.具体的な問診の仕方は,後日述べたいと思います.
(3)外来受診される患者さんの場合,①自分の症状を職業・環境と結びつけていない人,②ひょっとしたら関係あるかも,と考えている人,③明らかに仕事と関係ある(→労災申請希望)といったひとに分類できると思います.いずれにしろ,「自分の症状は,仕事・環境に関係すると思いますか?」といった質問が必要と考えます.③の患者さんは,ご本人が職業・環境性疾患と思い込んでいて,じつは,関係なかったりするので,鑑別疾患はしっかりしないといけないですね.
2.定期受診者(他疾患観察時)
外来で,職業・環境性疾患に接する第二の機会は,職業・環境と関係ない疾患をフォローしていて,たまたま職業・環境性疾患を見つける事があります.例えば,糖尿病でフォローしており,たまたま胸部レントゲン写真を撮ったら,塵肺があった,高血圧の患者さんが手のしびれを訴えるのでよくよく聴くと振動工具を使用していた(振動病)と,いったことです.この場合,患者さんと相談し,疾患を詰めて行って必要な処置を行う必要があると思います.(塵肺なら管理区分をとるとか,振動病なら振動工具を使わない職場に配置転換してもらうとか)
以上述べたようなシチュエーションで,臨床医が的確に対応できるよう教育・訓練が必要と考えます.
固定リンク
|
コメント (1)
|
トラックバック (0)
トラックバック
この記事のトラックバック URL
http://blog.m3.com/OEM/20080813/1/trackback
コメント
コメント一覧
コメントを書く