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2008.07.29 23:00 |  診療  |  ミチバ  | 推薦数 : 2

シアン中毒

・先日,特異的な有害ガス吸入に対する治療として,シアン中毒に対する,亜硝酸アミル,亜硝酸ナトリウムについて書いたと思います.シアン中毒の治療については,『今日の治療指針 2008年版』の121ページに載っています.その記載でちょっと疑問に思ったのは,亜硝酸アミル液が「保外」と保険適用外のマークがついていますが,「添付文書」をみると,保険適応と思うのですが,いかがなものでしょう?

亜硝酸アミルの添付文書

http://database.japic.or.jp/pdf/newPINS/00008758.pdf

 

・それは,さておきシアン中毒について.今日の治療指針によると「シアン(青酸)化物イオンは,ミトコンドリア中のチトクローム酸化酵素複合体中の鉄と急速に結合し,この酵素を阻害し,細胞内での酸素利用を阻害する.その結果,生体は嫌気的代謝経路を利用するため,乳酸アシドーシスとなる.」とあります.で,治療の原理については,『中毒百科改訂第2版』を引用すると次のようになります.「シアン中毒の特異的治療法は,シアンがFe3+に親和性が強いという性質を逆用して行う.すなわち,正常のメトヘモグロビンをつくる.こうすると,シトクロム酸化酵素のFe3+と結合していたシアンは剥がれてメトヘモグロビンのFe3+と結合し,シアノメトヘモグロビンをつくる.こうして,とりあえず急場をしのいだあと,チオ硫酸ナトリウムを静注すると,硫黄が,シアノメトヘモグロビンから少しづつ遊離してくるシアンと結合し,チオシアネートとなる,これは毒性が低く,腎臓から排泄される.・・・メトヘモグロビン血症をつくるには,亜硝酸ナトリウム300mgを10mLに溶かしたものを血圧低下に注意しながら5分以上かけて静注する.わが国では,市販されていないから試薬を使ってつくる以外にない.これが間に合わない場合には,亜硝酸アミル吸入液(三共)のアンプルを砕いて布にしみ込ませて,鼻や口の近くで吸入させる.」

・今日の治療指針は,上の文章を読まないと理解しにくいのではないでしょうか.亜硝酸アミルは狭心症の治療薬として,結構一般の医療機関においている(んですよね?)ので,それを使用してとりあえず治療する.それで時間稼ぎをして,院内で亜硝酸ナトリウムをつくって静注して治療するということです.

・今日の治療薬には載っていませんでしたが,中毒百科に以下のような注意書きがあります.

「亜硝酸ナトリウムの投与量は,貧血がある場合には少なめにしないと,少ないヘモグロビンのほとんどが酸素運搬能力のないメトヘモグロビンになってしまい,それだけで致命的となる.・・・表の投与量を越えないようにする.・・・」

 

 

ヘモグロビン濃度(g/dL) 投与量(mg/kg)   

8                                     6.6

10                                   8.7

12                                   10.0

14                                   11.6

 

参考

http://www.j-poison-ic.or.jp/kagaku/gedokuzai/Onitri_s.pdf#search='亜硝酸ナトリウム'

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