・本日は忘年会/望年会で楽しく時を過ごしました。医局+事務長+総師長で「おしりかじり虫」を踊って、出し物の1位となりました。
・まったく、話変わって、内科学会誌の症例報告です。日本は、というか、多分世界は、不均等に発展していると思います。労働環境がよい(主に)大企業もあれば、劣悪な(主に)零細企業もあります。「不均等」という認識はとても大切なことだと思います。
【症例報告】慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチーとの鑑別を要したn-ヘキサン中毒性多発ニューロパチーの1例
高田良治(鹿児島大学 大学院医歯学総合研究科先進医療科学専攻神経病学講座神経内科・老年病学), 白石匡史, 松浦英治, 有里敬代, 大窪隆一, 樋口逸郎, 梅原藤雄, 納光弘, 有村公良, 橋口一英
日本内科学会雑誌(0021-5384)95巻5号 Page933-935(2006.05)
【抄録】48歳女.患者は四肢末梢優位の感覚鈍麻,深部腱反射消失を認め,入院後も1カ月以上にわたって四肢の筋力低下が進行した.慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチーが疑われ,免疫グロブリン大量静注療法が施行されたが,その後も筋力低下が進行し転院となった.髄液検査では蛋白細胞解離がみられ,電気生理学的には伝導ブロックを伴う多発ニューロパチーが確認された.一方,神経病理所見では一部髄鞘の菲薄化を伴う腫大した軸索が散見され,ときほぐし法では髄鞘の菲薄化を伴う軸索の限局性腫大像を認めた.Paranodeに脱髄様変化を認めたことが注目すべき点であった.病歴を再聴取し,n-ヘキサン曝露歴が明らかとなり,n-ヘキサン中毒による多発ニューロパチーと診断された.そこで,この時点まで行っていた免疫吸着療法を中止したが,この後も進行性の経過を示し,気管切開に至った.以後,対症療法のみで回復となった
【補足】この論文の考察のところで「入院時診断に際してCIDPとの鑑別が困難であった理由として、まず入院時にn-ヘキサン曝露歴の情報が得られなかったことが挙げられる」と、病歴(この場合職歴)聴取の「抜け」がかかれています。末梢神経障害をみたら、必ず職業・環境(重金属とか有機溶剤とかの接触)をきくべきと思っております。
・先に労働環境の「不均等」と書きましたが、この患者さんは「1カ月近くにわたりほぼ毎日、換気の悪い自宅の一室にて自身の塗装業で使用する作業服の染み抜き目的でノルマルヘキサンを99%以上含有する”アルプスベンヂン”に作業服を浸したまま就寝をつづけていた」ということです。こういうことが今の日本でもあるんですね。