・パスツレラ菌は,健康なイヌやネコの口腔内に存在する菌です.以下にあげる論文によるとネコで60~97%,イヌで12~75%保菌しているとのことです.まずは,症例報告から.
【Pasteurella multocidaによる細菌性髄膜炎の1例 ペットによるzoonosis】
与那覇朝樹(豊見城中央病院 内科), 幸地政子, 桑江紀子, 比嘉啓, 上江洌良尚, 国吉和昌, 潮平芳樹
日本内科学会雑誌(0021-5384)96巻8号 Page1715-1716(2007.08)
【著者抄録】:41歳男、発熱、嘔吐、意識障害を主訴とした。高血圧と糖尿病の治療中であったが、血糖コントロールは不良であった。入院時、意識混濁(JCSI-3)、項部硬直を認め、髄液穿刺を施行した。髄液は白色混濁で細胞数増加(多核球88%)を示し、検鏡にてグラム陰性短桿菌を認めた。細菌性髄膜炎と診断してcefotaxime、gentamicinを投与した。入院後2日目に意識状態は改善し、6日目には症状、炎症反応も正常化した。強化インスリン療法を施行し、15病日目に後遺症なく退院した。患者の血液と髄液、ペットの咽頭培養からPasteurella multocidaが検出された。本邦では稀な人畜共通感染症であった。
【補足】この患者さんは,自宅内にネコ7匹,自宅外にイヌ3匹飼っており,いつも決まったネコと寝ていたそうです.(奥さんは?という私のツッコミ)
この論文によるとヒトへの感染様式は以下の三種類だそうです.
①咬傷,擦過傷からの蜂窩織炎や膿瘍を呈する局所感染症
②慢性呼吸器疾患に合併した気道感染症
③二次的に菌血症をきたし,敗血症や髄膜炎などを呈する全身感染症.
この症例の貴重なところは,本邦では髄膜炎の報告が今まで無かったとのことで,初めての報告ということです.
最後の方で,この症例のように糖尿病などの基礎疾患があったり,高齢者への感染では重症化することがあり注意が必要と言うことです.
【笑い】この論文でちょっと以下のところが笑えました.著者達が笑いをとろうと思って書いたのか,まじめに書いたのか,気になるところです.
「・・・ネコ7匹中6匹の咽頭培養からP. multocidaが検出された(ネコ1匹は非協力的で検体採取できなかった).」
←逆に6匹ものネコが協力的だったということで,ちょっと驚いてしまいます.(具体的に協力的って,どういうことかな?)