・インフルエンザの季節です。このブログを初めた頃に書いたと思いますが、この時期高熱と筋肉痛等で受診した人を単純にインフルエンザと考えず、金属熱も鑑別診断に挙げましょう、といった旨を書いたと思います。金属熱でなく、ポリマーフューム熱(Polymer fume fever)というものもありますが、それもインフルエンザの鑑別診断に挙げましょう。以下、症例報告です。
【症例】
テフロン加工フライパン4時間の過燃焼により生じたフューム吸入による肺水腫の1例
外山勝弘(東邦大学医学部附属大森病院 呼吸器内科), 木村一博, 宮下美奈穂, 柳澤里佳, 中田紘一郎
日本呼吸器学会雑誌(1343-3490)44巻10号 Page727-731(2006.10)
【著者抄録】症例は59歳男性。閉塞型睡眠時無呼吸症候群の診断で持続気道内陽圧療法が導入されていた。自宅で焼きそばを調理した後、フライパンを空焚きした状態でうたた寝したが、4時間後に刺激臭と咽頭痛が出現したため覚醒した。当院を受診し、低酸素血症および画像上Peripheral clear zoneを有する両側びまん性の肺野濃度上昇が認められ、典型的な肺水腫の所見であった。本症の特異な時間的経過とテフロン吸入歴から、本症の成因は急性肺水腫を伴ったポリマーフューム熱と考えられた。入院後、酸素および利尿剤の投与により全身状態および画像所見は速やかに改善した。欧米の報告ではテフロン吸入歴をもってポリマーフューム熱と診断しているが、本症の本邦での報告例はなく、貴重な症例と考え報告する。
【私の補足】
・テフロンのフライパンやナベは焦げにくくて洗いやすく重宝するものですが、ちょっと注意がいりませすね。一般的に使用するにはなんら問題はないので、心配無用だと思います。(もし、普通の使い方で、こんな病気になっていたら、主婦の症例報告がいっぱいあるはずです)
・この論文の中で、典型的な臨床症状を以下のようにまとめておられます。
①吸入直後の咳嗽、咽頭痛、眼痛の出現②上記症状に加えて、吸入4~6時間後には発熱、呼吸困難、頻脈が出現し、左方移動をともなう白血球増加と胸部レントゲン写真で陰影が出現③吸入48時間後には症状が改善④吸入3~7日後に症状が消失。
・亜鉛熱と一緒で、一応self-limitedと考えられていますが、一部この症例のようにchemical pneumonitis with pulmonary edemaになる場合があるそうです。
・この症例は、生活の問題からですが、仕事としてテフロン曝露は、cooking utensils, clectric appliances, insulating material等の製造であるそうです。また、テフロンでコーティングされた金属の溶接や、鋳型の作業でも曝露があるとも書かれています。(CURRENT Occupatiional & Environmental Medicine)
・この冬、インフルエンザ様の症状できた人には、ナベを焦がさなかったかきいてみましょう。
*本日の英語
Teflon(商品名)←polytetrafluoroethylene
utensil 家庭用品、台所用品、用具、道具; 教会用器
具、聖器
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