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製薬会社の営業担当社員だった男性(当時35歳)がうつ病になって自殺したのは、直属の上司の暴言が原因だったとして、男性の妻が国を相手取り、労災と認めるよう求めた訴訟の判決が15日、東京地裁であった。
渡辺弘裁判長は「男性は、上司の言動により過度の心理的負担を受けて精神障害を発症し、自殺に及んだ」と述べて、男性の自殺を労災と認定し、国に遺族補償給付の不支給処分を取り消すよう命じた。
原告代理人によると、上司の暴言やいじめなどのパワーハラスメント(職権による人権侵害)と自殺の因果関係を認め、労災を認定した司法判断は初めて。
判決によると、男性は1997年から、東京都内に本社のある製薬会社の静岡営業所で営業担当として勤務していたが、2002年4月に赴任してきた係長から、「存在が目障りだ。お願いだから消えてくれ」「お前は会社を食いものにしている、給料泥棒」「お前は対人恐怖症やろ」などの暴言を受けた。男性は02年12月~03年1月、適応障害やうつ病を発症し、取引先とのトラブルが続いた後の03年3月に自殺した。
男性の遺書には、係長から受けた暴言が記され、「自分の欠点ばかり考えてしまい、自分が大嫌いになりました。先月からふと『死にたい』と感じていました」などと書かれていた。
判決は、<1>係長の態度には男性への嫌悪の感情があった<2>男性の立場を配慮せずに大声で傍若無人に発言していた――などと指摘。「係長の言葉は過度に厳しく、男性の人格、存在自体を否定するものもあった。男性の心理的負担は、通常の『上司とのトラブル』の範囲を大きく超えていた」と述べた。
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判決後、記者会見した原告代理人の川人博弁護士は「これまで自殺が労災と認定されたのは、長時間労働を原因とするケースが大半だった」と指摘し、「日本では、職場での上下関係を前提にした上司による暴言や嫌がらせが放置されてきたのが現状。今回の判決は、そうした風潮を正す意味でも画期的だ」と話した。男性の妻は「勝訴でほっとした。裁判をやった甲斐(かい)があった」と語ったという。
一方、男性の自殺を労災と認めなかった静岡労働基準監督署は「今後の対応については、判決内容を検討し、関係機関とも協議した上で判断したい」とコメントした。
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