・パーキンソン症候群,パーキンソン病といった言葉は,一般の方々も耳にしたことがあると思います.医学書院の医学大辞典でパーキンソン症候群をひくと→パーキンソニズムとなっていますので,パーキンソニズムの項を以下に引用します.
・「無動,筋強剛,姿勢反射障害などパーキンソン病などにみられる運動症候を指す言葉.また,パーキンソン病類似の症候を呈する疾患群(パーキンソン症候群parkinsonian syndrome)の総称としても使用されている.(表にはパーキンソニズムを発現する疾患を掲げている)
ということで,医学大辞典の表を下記に引用します.
Ⅰ.変性疾患
パーキンソン病
線条体黒質変性症 進行性核上性麻痺
大脳皮質基底核変性症 淡蒼球黒質ルイ体萎縮症
オリーブ橋小脳萎縮症 ハンチントン病(固縮型)
びまん性レヴィ小体病 アルツハイマー病
ハラーフォルデンーシュバッツ病
Ⅱ.非変性疾患
薬剤性パーキンソニズム
フェノチアジン,ブチロフェノン,ベンザミド誘導体,フルナリジン,ラウオルフィア・アルカロイド,α-メチルドパ,レセルピンなど
血管障害性パーキンソニズム
大脳基底核の多発性ラクナ梗塞,ビンスワンガー病
脳炎後パーキンソニズム
嗜眠性脳炎,日本脳炎など
中毒
マンガン中毒,一酸化炭素中毒,
二硫化炭素中毒
正常圧水頭症
神経梅毒
クロイツフェルトーヤコブ病
外傷後パーキンソニズム
脳腫瘍
代謝異常症
ウィルソン病,リピドーシスの一部
上記大文字で青字のところが,職業・環境因子の関係するものです.私は,この三つとも診たことがあります.(と,言っても神経内科のDr.が主に診られていて,ちょっと相談をうけたのみ)
パーキンソン症候群と診断したら,職業・環境因子を聴かなければなりません.
・私の経験したマンガンによるパーキンソニズムの患者さんは,近隣のコンビナートでマンガン鉱石を扱っていた方でした.記憶が不確かですが,血中,毛髪中のマンガン濃度が高かった思います.また,この方のMRIはそうではなかったのですが,マンガン中毒によるパーキンソン症候群の場合,MRIに所見が出るそうです.
PubMedより
Neurotoxicology, 1999 Apr-Jun;20(2-3):227-38.
Manganese neurotoxicity: a review of clinical features, imaging and pathology.
Manganese intoxication can result in a syndrome of parkinsonism and dystonia. If these extrapyramidal findings are present, they are likely to be irreversible and even progress after termination of the exposure to manganese. Clinical features are usually sufficient to distinguish these patients from those with Parkinson's disease. The neurological syndrome does not respond to levodopa. Imaging of the brain may reveal MRI signal changes in the globus pallidus, striatum, and midbrain. Positron emission tomography reveals normal presynaptic and postsynaptic nigrostriatal dopaminergic function. The primary site of neurological damage has been shown by pathological studies to be the globus pallidus. The mechanism of toxicity is not clear.
・ついでに,「Merritt's NEUROLOGY ELEVENTH EDITON」(Lewis P. Rowland, 2005, LIPPINCOTT WILLIAMS & WILKINS)に次のような記載がありました.
・・・Manganese was one such metal, and that took him to an outbreak of parkinsonism in South American miners.
南アメリカの鉱山でパーキンソン症候群が多発したんですね.
・本日の教訓
パーキンソン症候群と診断したら職歴を聴きましょう