・RADSとは,Reactive Airway Dysfunction Syndrome,医学書院の医学大辞典では「反応性気道機能不全症候群」と訳されています.それによると「単独または複数の高濃度の刺激性物質に曝露した数分または数時間後に発現する呼吸器症状.初期症状の後,喘息様症状や気道反応性の亢進が持続する.患者は以前に呼吸器症状がなく,症状は1回の暴露で生じる.古典的な職業性喘息とは,潜行期間がないことが異なる.」とあります.
・「結局これは、喘息なのか?」というと、最近は喘息のひとつのタイプと考えられているようです。そももそ気管支喘息は、「The common disease asthma is probably not a single disease, but rather a complex of multiple, separate syndromes that overlap.(The Lancet 2006; 368:804-813)」ということです。
・RADSが、どういうもので起こるかというと、酸、アンモニア、漂白剤、塩素、ディーゼル排ガス、エチレンオキサイド、ホルマリン、イソシアネート、スプレーペイント、二酸化硫黄、煙、ガス(塩素、ホスゲン)等々。(ASTHMA IN THE WORKPLACE Third Edition.I.L.Bernstein et al.Taylor & Francis 2006)
・私が経験した例では、近所で火事があって、その煙をすってなった人がいます。世界的に有名な例では、01年9月11日のWorld Trade Center(WTC)崩壊時の消防士や救助活動にあたった人たちが、RADSやその他呼吸器疾患にかかったとのことです。WTC coughと言う言葉もあるそうで、WTCで暴露された後4週間以上医療上の休業が必要だった、新たに発生した、もしくは増悪した持続する咳と定義づけられています。
・喘息や持続する咳の患者さんが来た場合、環境・職業上の化学物質への暴露がないか問診する必要があります。
・余談ですが、ASTHMA IN TEH WORKPLACEの588ページに次のような記述がありましたが、これは確定した事実なんでしょうか?
On September 11, 2001, terrorist operatives of Osama Bin Ladden's Al-Qaida commandeered four U.S commercial airplanes and initiated an attack on the United States.
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喘息は、diseaseなのですか、syndromeなのですか?syndromeであれば何もsyndromsにする意味がわかりません。
逆にRADSの中にasthmaが含まれてしまうような印象を受けてしまうのですが?
その辺はどのように考えればよいのでしょうか?
宜しくお願いいたします。
健康と医療に関するブログポータルサイト「ゲンキブログ」の高橋と申します。
大変興味深く拝見させておりました。
知人の研究者が突然喘息気味になったと話しており気になっておりました。
確かに、科学物質への接触が多い職業ですので、ハッとさせられました。
一度病院に行くよう、薦めてみたいと思います。
突然で申し訳ありませんが、
よろしければ、私どものサイトと相互リンクを貼って頂けないでしょうか?
http://genki-blog.jp/
健康・医療に関する輪を広げ、医療に興味のある方々に医療の正しい認識を深めて頂ければ嬉しく思います。
是非とも、よろしくお願い致します。
Asthma: defining of the persistent adult phenotypesと言う論文で,わたしが下手にコメントするよりこの論文を読んでいただければ良いと思いますが,最低限で,私の理解を述べさせていただきます.
・syndoromeと単数でなく,syndoromesとしたのは,喘息といってもその原因や病態,臨床経過があまりにも様々あるからだと思います.例えば年齢による発症での分類(小児発症,成人発症),アレルギー性か非アレルギー性か,また,発作を起こす誘因での分類(薬剤,環境アレルゲン,刺激物質,運動,月経),気道の炎症での分類(好酸球性,好中球性,Pauci-granulocytic:ごめんなさい,訳せません),重症度(難治性か否か)等々.一つの症候群ともくくれないのではないでしょうか?(じつは,そもそもdiseaseとはなんぞや,syndromeはなんぞやといった「医学概論」的議論が必要だと思いますが,それは,またの機会に)
・「RADSの中にasthmaが含まれるのでは」というご意見ですが,上記のように様々な病型を喘息と称しており,上で言えば,「刺激物質」によって起こった喘息がRADSだと思いますので,RADSはasthmaの一病型と考えてよいのではないでしょうか.
・公序良俗に反する所以外は,リンクフリーでございます.宜しくお願いします.
・知人の方は,早めに治療をされたほうが良いと思います.喘息の治療のコツは「早めに治療,十分治療」ですので.
diseaseとsyndromeの違いは先生がおっしゃるように難しいです。
asthmaがinflammationによるreversible RADSになるのかな?と思ったので質問してしまいました。
了解いたしました。
今後共宜しくお願いいたします。
今後しっかり勉強して,分かりやすく情報を発信したいと思います.今後ともよろしくお願いいたします.
お知恵拝借させて下さい。
先日、折角ステロイド吸入のみてコントロール出来ていたAsthma患者がpoor control.
2週間前に事務所が火事になってから仕事場に行くと咳が酷くなるとの訴え。
RADSもどきかなと思っております。一応、step up治療を行ったのですが、仕事場を変えることも出来ない状態。
環境因子を変えれないとした場合、Asthma controlに主をおいているだけで良いものでしょうか?
WTC coughの治療はどうだったのでしょうか?
御指導のほどお願いいたします。
>S-chanさま、ご質問ありがとうございます。私の持っている本(ASTHMA IN THE WORKPLACE)をみても、薬物療法は、他の喘息と変わりないようです。(ステロイドと気管支拡張剤)また、WTC coughについての治療は、この本には特に書いていなかったと思います。
・RADSの基本は、環境調節が基本で、It should be stressed that medical therapy is not a substitute for environmental contorolとなっています。でも、現実はなかなか難しいですよね。
・私が、時にする方法。短期間(3日~7日くらい)全身のステロイド投与、仕事前にベータ刺激剤吸入、仕事中「防毒」マスクの使用等ですが...
・この、患者さん、ひょっとしてRADS and/or sick building syndrome(building-related illness),chemical sensitivityもあったりして。呼吸器症状以外に、粘膜刺激症状や、頭痛、筋肉痛、消化器症状等あれば、喘息のみの治療ではいけなくなってきますね。化学物質過敏症なら、ビタミンやグルタチオンの投与といった治療法もあります。
・満足いくお答えができず、すみません。
先生仰るように日本では、職を変えたり引っ越したりという事で環境因子を変えるというのは至難のわざです。
もともと筋緊張性頭痛の訴えはありましたが、sick building syndromeとの考えが欠落しておりました。
今のところ消化器症状は本人は訴えておりませんでしたが、こちらから質問しなかったためかもしれません。
書いていて、先生の言葉(職歴を!)を思い出しました。
あらゆる可能性を考え質問をするという姿勢を再認識させられました。職歴をの言葉は、全てに通じていたのですね。
大変勉強になりました。有難うございました。
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