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2007.03.31 19:54 |  診療  |  ミチバ  | 推薦数 : 3

腎細胞癌と石綿

・JAMAの Patient Pageの腎癌のところ(Vol. 292 No. 1, July 7, 2004)に  
  「Environmental and occupational exposures to asbestos, cadmium, and organic solvents increase the risk of developing kidney cancer.」という記載があります.UpToDateのrenal cancerの項にも
「Occupational exposure to toxic compounds, such as cadmium, asbestos, and petroleum by-products, has been implicated in enhancing the risk of RCC . In one international multicenter study of over 1700 patients with RCCs and 2300 controls, an increased risk of cancer was observed in those exposed to asbestos (relative risk [RR] 1.4), cadmium (RR 2.0), and gasoline (RR 1.6) . Cadmium workers who smoke may have a particularly high incidence of RCC .
とあります.つまり石綿は,腎癌の危険因子です.でも,これだけアスベストのことが騒がれても腎癌の問題を目にすることはありません.
・以前,中小商工業者の方々(40,50人位)の前で,アスベストの話をしたことがあります.そのとき腎癌も問題ではないかという話をすると,おひとり腎癌の手術をしたと言う方がおられました.(アスベスト暴露歴あり)現在の厚生労働省の基準では,腎癌はアスベスト関連疾患としてはあげられていません.こういった場合業務上疾病となるのかどうか,どうやって石綿との関連を証明すればよいのか?悩むところです.
・一般的に言って、別に厚生労働省が,労災認定基準として明文化していない疾病でも「労働基準法施行規則第35条別表1の2」の「第9号」に「その他業務に起因することの明らかな疾病」というのがあますので、「アスベスト→腎癌」で労災申請は可能だと思うのですが...しかし,「業務に起因することが明らか」といいきれるかどうか?どなたか経験がおありでしたらご教示下さい.
・ところで,私の持っている「標準泌尿器科学 第7版」の腎細胞癌のところには,アスベストのことは出ていませんでした.セシルには載っていました。ハリソンは、どうも記載がないみたいです。新臨床内科学、朝倉の内科学には記載がありませんでした。(→複数の教科書をみるのは大事ですね)
・最後に素朴な疑問。腎癌が見つかった場合,泌尿器科のDr.はどれくらい職歴を追求しているのでしょうか?

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2007.03.31 06:56 |  診療  |  研究  |  ミチバ  | 推薦数 : 4

後腹膜線維(化)症と石綿

・石綿関連疾患として中皮腫や呼吸器疾患が問題とされていますが,後腹膜繊維(化)症も石綿が関連しているという文献があります.
・後腹膜線維(化)症というのは,医学書院 医学大辞典2003年によりますと,
「retroperitoneal fibrosis ・・・後腹膜に非特異性炎症性線維増殖を来たし,管腔臓器を圧迫することにより症状を呈する.・・・」といったものです.
・Lancetに以下の様な論文がありました.
Asbestos exposure as a risk factor for retroperitoneal fibrosis
Uibu T, Oksa P, Auvinen A, Honkanen E, Metsarinne K, Saha H, Uitti J, Roto P
The Lancet - Vol. 363, Issue 9419, 01 May 2004, Pages 1422-1426
・この中で,石綿は後腹膜線維(化)症のrisk factorであり,この疾病を職業性疾患と認めるべきであると明言しておりました.
・これをみて,わたしは厚生労働省に「このような論文がでていますが,どう考えられますか」といったe-mailを2005年10月に送ったのですが,「厚生労働省です。 ご質問を受付いたしました。内容によっては回答までに時間を要する場合があることをご了承ください。」という返事が戻ってきたのみで,その後の回答がありません.
・後腹膜線維(化)症は,めずらしい病気のようですが,この疾患をみられたDr.には,ぜひ詳しい職歴聴取をしていただきたいものです.
・ところで,ほんの思いつきですが,自己免疫性膵炎という原因不明の疾患があります.後腹膜線維症を合併することがあるといわれていますが,石綿が自己免疫性膵炎に関与していると言うことは無いでしょうね?と,考えるのも,日頃,疾患が原因不明と言われている場合,どれほど環境・職業因子が検討されているのか疑問をもっているからです.

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