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といった、医師向けのアンケートをみかけます。
ちょっと嫌な気がします。
なぜなら、
1. 一口に「医師」といっても、さまざまな立場があります。勤務医、産業医、大学で教育や研究に従事している先生、開業医、開業医の中でも、医院を先代から引き継いだ先生、新規開業の先生など、さまざまです。中には、多額の借金を背負いながらがんばっている新規開業の先生もおられます。子供の年齢もまちまちでしょう。それを十把一絡げに何パーセントという分析を行ってどれだけの意味があるのでしょうか。
2. ひねくれ者のドク虎は、質問者の恣意的なものを感じます。「お前ら医師は、なんだかんだと文句をいっているが、本音は自分の子供を医師にしたいものが大勢いるじゃないか。やっぱり甘い汁をすっているんだろう。」という方向に世論を誘導しようとする意図を感じます。
それはさておき、いつもは、学会で質問されたら、まず、YesかNoかの立場をはっきりさせて、それから説明に入りなさい、と指導しているドク虎ですが、このアンケートについては、はっきり答えられません。
YesでもありNoでもあるのです。
Yesの部分は、職業としてのやりがいの部分です。
この「やりがい」については、ほかの職業を経験したわけではないので断言してはならないのですが、医師という職業をウン十年経験した今でも、医師はやりがいという意味においては素晴らしい職業であると思います。このすばらしさを子供にも体験させてやりたいと思うのは親心でしょう。
Noの部分は、たくさんあります。
「体力的」な問題と、「社会的リスク」の問題です。
まず「体力的」な問題です。日本の医療制度は、勤務医に過酷です。過去にも書きましたが、最先端の医療を行う病院でも旧態依然とした24時間、365日の主治医制です。当直という名の実質夜勤の翌日にはフルタイムで勤務し、眠気と戦い、吐き気を催しながら外来勤務や手術などをこなします。そうしないと、代わりがいないからです。また当直で重症を受け持てば、数日間は目が離せません。この体制で受け持ち患者さんが増え、重症が増え、だんだん年をとって体力がなくなってくればどういうことになるでしょうか。
部長職でも入院患者さんを受け持ち、当直をこなしている先生方はたくさんおられます。院長になってからでさえ当直されている先生も知っています。
自分はいざ知らず、自分の子供たちにも、このような生活をおくらせたいと心から願う親はいるでしょうか。
社会的リスク。
いろいろ制限の多い状況下で一定の水準の医療を行っているにもかかわらず、「訴訟」されることのリスクがあげられます。6年間ハードな学生生活を送り、卒後も厳しい修行を積んで培ってきたキャリアを一瞬にして失うかもしれません。また「訴訟」の水面下にある、多くの「クレーマー」の存在があります。
最近はどの分野でも同様のことが起こっているのかもしれませんが、他職種の人たちと話してみて、日常ではほとんど「訴訟される」ということを意識していないということがとても新鮮でした。
意図的な悪意でもない限り日常では職業上訴訟されることを意識することはないようなのです。
医師は毎日「訴訟」の二文字が頭をかすめない日はありません。それほど人間の体は複雑で、予測困難なのです。エンジンの止まった航空機を無事着陸させればヒーローですが、死にかけている人を助けても、別にヒーローだとは認識されません。
困難に挑戦することは、医師としての「やりがい」と表裏一体ではありますが。
そして、万一、そのこどもがすばらしい才能を持っていたとしても、普通の医師になってしまえば、多忙な生活から、いろいろな才能を開花させることはきわめて困難になります。
収入面でも、もしもすばらしい経営の才覚があったとしても、IT長者などに比べればしれています。まあ自分の子供にそんな特殊な才能があることを期待する方がおかしいのですが。
以上より、「あなたの子供を医師にしたいか?」という問いに対して、Yes or Noでこたえることは、ドク虎にはできません。Yesでもあり、Noでもあります。
もし子供が医師になりたいといってくれば、自分の生きざまを肯定してくれたようでとてもうれしいのは事実です。
しかし、正直なところ、ドク虎は自分の子供には「医師を目指せ」とは決して言いません。もしなってから「話が違う」と恨まれるのはいやです。
大変な時代ですが、ほかにもやりがいのある職業はたくさんあると思います。
親としては、君がやりたければやりなさい。お父さんは応援するよ。といったところでしょうか。
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コメント
コメント一覧
知りませんでした。
確かに、医師以外の人からは、そんな質問されたくないですね。
私も、以前の日記で少し触れましたが、
これからの日本、息子に医師という職業を積極的には勧められないなと考えています。
それにしても、昔のお医者さんは偉そうだったなあ。
おいでいただきありがとうございます。
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