ドクトル虎の巻
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ビョーシンレンケイ

ドクトル虎の巻 / 2009.02.18 19:22 / 推薦数 : 2

 90歳近いおじいさん。こちらの病院で詳しい検査をして、心臓に病気(古い心筋梗塞)はあるけれど、今はおちついているので、お住まいの近くの開業の先生に今後のフォローアップ治療のために紹介した方のようです。

 なにやら受付で大声を張り上げています。お元気そうです。もとの担当医はいやだといって私の外来に予約外で回ってきました。

 いまはやりのクレーマーかとも思ったのですが、診察室に入ってこられると、あかるいおじいさんです。

 以前この病院にかかっていたのに、受付で、開業医さんからの紹介状をもらってきてくださいといわれて怒ったようです。

 しかし受付の対応はもっともなのです。

 いったんこちらから紹介して、今は別のお医者さんで治療を続けているわけですから、薬の内容など状況が変わっているかもしれません。その間の医学的な情報が必要です。

 とくに調子が悪くなったわけでもなさそうです。

  まあとりあえず、診察室に入っていただいてお話を聞くと、

 「こちらの病院の方が設備がよくて安心だから、ずっとこちらに通いたい。」

こういう人って、多いのです。

 昔は、そういう人も病院は歓迎だったのですが、今は違います。

 勤務医不足です。

 大病院になるほど、普通の外来診療(単価を異様に安く抑えられている)には多くの人手を割けないのです。医療資源には限りがあります。診療報酬の中から、設備投資もしないといけません。電気代も払わないといけません。

 基幹病院は、理想をいえば、十分な医療機器やスタッフを備え、特殊検査や手術などが必要な、診療所では対応できないような患者さんをみるところです(現実には大病院といえども十分とはいえないことが多いのですが・・・)

 検査や手術が必要な場合は紹介状を持って受診していただく。安定すれば、紹介元に戻っていただく。これを、業界では病診連携といっています。

 でも、一般には「ビョーシンレンケイ」といっても、ご存じない方がほとんどではないでしょうか。

 大きな病院は、残念ながら、24時間オープンのコンビニではないのです。コンビニのように24時間、なんでもそこそこ品揃えがあるとは限らないのです。むしろ、あきらかに歯抜け状態です。

 専門ブティックの集まりと考えていただいた方が近いかもしれません。

 シャネルのお店に入って、「鍋をするのに白菜はないか!」といっても、無理です。なんで明け方にフレンチの店が開いてないんや!何でここにはソムリエがおらんのや!といっても、それは無理というものです。

 大病院の内科にかかっていたとしても、大病院の内科の先生の専門は「心臓」だったり、「消化器」だったり、「内分泌」だったり、「呼吸器」だったり、「腎臓」だったりと、さまざまです。日本の病院には、なかなかプライマリケア医を置く余裕のある病院はありません。(日本の医療制度では、病院におけるいわゆる総合医は、専門的治療を行う専門医に比べてリスクや設備投資や労働に見合うだけの病院への診療報酬が保証されていないのです。もっとも諸外国の専門医の診療報酬はさらに桁がちがいますが・・・泣)

 普段から総合的に親切に相談に乗ってくれるかかりつけの先生をつくっておいて、具合が悪くなったときに、あるいはなる前に、必要に応じてそれぞれよい専門医のいる病院に紹介してもらう方が、受診する方にとってもメリットがあるのです。

 といったおはなしをすると、「とてもよくわかりました。」といって、機嫌良く今まで通り開業医さんのもとへ戻っていかれました。」いいおじいさんでした。

 ふー、疲れた。

 またされた予約の患者さん、気の毒でした。 こんな説明を、循環器専門医が外来でしないといけないのは、なんだかちょっとちがうなー、と思うのは私だけでしょうか。

 それにしても、マニュアル通り、「受診する時には紹介状をもってきてください。」とお願いして、怒鳴られた受付の女性もかわいそうです。

 これって、行政がただ医療機関に「ビョーシンレンケイ」を通達するだけではなく、社会一般にもっとアピールしないと、どなられる受付がふえるだけとちゃうの?

 (エピソードは特定の一人の患者さんのものではありません。)

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 人付き合いには、その人の立場に置かれたら自分ならどう考えるかを想像する力がいります。

 論文も、自分が査読者ならどう考えるかを想像することが必要です。

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