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< 真面目が病院を滅ぼす | メイン | 業務妨害 >
院内で職員対象にアンケートがきました。
第一項に曰く、「病院がサービス業であるという意識をもって遂行しているか。」 皆さんはいかがでしょうか。 ドク虎はもちろんYesです(笑)。
なぜなら、経済学の定義によれば、医療はまちがいなくサービス業(service industry)なのです。
経済学では、形のあるものを作る仕事以外は、すべてサービス業に分類されます。 従って医療ばかりではなく、教育や宗教もサービス業なのです。芸術家や、スポーツ選手もそうですね。カトリックのローマ法王も、浄土真宗の大谷門主も、街のお坊さんも、警察官も、裁判官も、内閣総理大臣も、サービス業に従事されているのです。
そういう意味では、このアンケートの文章には問題はないのですが、医療行為が、ものを作る仕事ではないことは、当たり前ですよね。なぜあえてこの質問が第一番にくるのでしょうか。この質問者は、「サービス業」を厳密な経済学上の意味で使っているのでしょうか。
多くの日本人は、「サービス」という言葉の意味をはき違えているように思います。 日本語で「サービス」というと、お客様である「神様」が、弱い立場の接客係に、
「もうちょっとサービスしてよ。」(追加料金なしでもっとホニャララしてよ(笑)、またはもうちょっと安くしてよ。)
または、店員さんが神様に向かって、 「これ、サービスしておきます。」(今回はただでおまけしておきます。そのかわりまたきてね。へこへこ。) というイメージですね。
ところが、英語のserviceは違います。
コウビルド英英辞典によると、
Service
A service is something that the public needs, such as transport, communications facilities, hospitals, or energy supplies, which is provided in a planned and organized way by the government or an official body.
You can sometimes refer to an organization or private company as a particular service when it provides something for the public or acts on behalf of the government.
If an organization or company provides a particular service, they can do a particular job or a type of work for you.
Services are activities such as tourism, banking, and selling things which are part of a country’s economy, but are not concerned with producing or manufacturing goods.
などなど、まだまだいろんな意味がありますが、日本語のサービスの語感とはかなりかけ離れています。公的機関による専門的な業務というのが第一義にくるのです。その他、兵役や、宗教的儀式という意味もあります。外国で、「モーニング・サービス」をくださいというと、教会の早朝ミサに案内されるかもしれません。言ってみたことがないのでわかりませんが(笑)。
一方、日本語の「サービス」は、かなり違っています。「接待」「接客」「おまけ」「無料奉仕」に近いでしょうか。
単に「医療はサービス業だ。」というと、誤解する人は少なくないでしょう。
病院で「接待」「無料奉仕」を期待すると、期待を裏切られ、がらの悪い関西弁で恐縮ですが、
「おい、にーちゃん、サービス悪いで。もっとはよみたらんかい。」
「なんで待たされてサービス悪いのに金をはらわなあかんのや。」
「ねーちゃん、はよなおしたらんかい。」
「なんでなおせんのや。サービスがなっとらん。」という人たちが出てきそうです。
サービス業イコール接客業というのは、「定義のすり替え」です。定義のすり替えというのは、実は詐欺師がよくつかう手法です。
ドク虎は、医療は「接客業」ではなく、むしろサービス業の中の「コーチ業」だと思っています。もちろん、でかい態度で高圧的な、けしからん医師も一部にいるかもしれませんが、もし患者さんに、「おタバコをおすいになってよろしいですよ。」「おなか一杯召し上がってもいいですよ。」と、その場でこびへつらって、たとえ病院の評判が一時的によくなったとしても(なるわけないか)、病気が少しもよくならなければ、何にもならないのです。多くの患者さんたちは病院に接待を期待はしていないのです。
接待を求めるならば、もっと別のところに行くでしょう。
経験的にも、病気についての大切な情報を教えてもらったときにこそ、感謝していただけます。べつにくそ丁寧に対応したからと言って、感謝された経験はありません。時間的に余裕のあるときはいいのかもしれませんが、余裕のないときには、かえって不自然なものです。
病気をコントロールする主体は患者さん自身で、医療者はあくまでプロとしてアドバイスをする立場なのです。
カタカナ語おそるべし。定義のすり替え、要注意です。
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議論する前に、まず定義を明確にすることが重要です。論文や発表でも同じです。
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コメント
コメント一覧
気付かない間に言葉本来の意味をすり替えられて、誤った解釈で使っていたりするものはたくさんありますよね。
外来語というものはホント紛らわしいですね。
コメントありがとうございます。
定義が一致したもの同士で使う場合にはいいのですが、外国人に変に誤解されるとたまりませんね。意味の食い違いは、最初に使う人たちの「知ったかぶり」から始まるのでしょうか。そのあたり、言語学のよい研究テーマになるかもしれませんね。私が知らないだけでしょうか。
ベッドの横の引出しにサービスとあって ギデオン書なんて入っています。自分は旧約聖書も読めないのでどうしましょ。
知ったかぶりで恐縮ですが 少なくとも普通のサービスとは こちらの行為に対価をきちんと支払うものです。
一方的な無償の行為なんてありません。
日本で言われている医療サービスとは患者側の虫のいい要求です。
親切に患者さんの診療に当たることは 良いことではあります。誰しもやさしいお医者さんと言われてはみたいという気持ちもあります。しかし無償の善意の行為を24時間できるわけではありません。
service に派生したservantすらも対価が必要です。
自分は外科系なので「早くみたらんかい」といわれても無理なもんは無理なんです。
はっきり言うことが「医療サービス」の質を上げると思います。2年前に気付きました。
おいで頂ありがとうございます。
Serviceはむしろ「行い」「業務」「儀式」に近いような気がします。テニスなんて、サービスする権利をかけてラケットをトスしますよね。宗教儀式もサービスです。どれもけっして無料のおまけではないのですけれどねえ。
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