ドクトル虎の巻
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満床のジレンマ

ドクトル虎の巻 / 2008.11.06 19:32 / 推薦数 : 2

  ある病院の部長会議ではいつも、

 「入院患者数の確保をお願いします。」

といわれます。

 部長は、心の中で思います。

 「我々の使命は、病人を減らすことであって、病人を増やすことじゃない。」

 「我々に、通りに出て行ってボ○引きのように呼び込みをやれというのか。」 

 そんなきれいごとをいっていては、今の日本の保険収益では病院はつぶれてしまうことは、頭ではわかっていますが、それでもなんだか割り切れません。

 あれっ、なんだか変ですね。満床、満床で、救急患者の受け入れ先が見つからないのではなかったっけ。と、一般の方は思われるでしょうね。

 なのに、なぜ病院は患者数確保で苦しんでいるの。本当に満床なの?

 

  病気というのは、本質的に均一に発生してくれるとは限りません。時間変動、季節変動、社会的受診の控えなどがあり、「むら」が多いのです。

 「むら」の多いところには、「むり」が生じます。手薄のときに、突然大勢が訪れても、対処できません。軽症なら未だなんとかなりますが、高度医療を必要とする重症ほど、何人もの専門医やプロフェッショナルがよってたかって対処しなければたすかりません。人手がかかります。

 しかし、ソレに見合うコストはとることができません。やればやるほど赤字になってしまうのです。特に高次救急はそうです。

  外国では専門医を呼び出すと、とんでもないコストがかかるので、時間外には専門医は対応しないことが多いです。いわゆる、second bestで、しかたないと納得するわけです。

 どこかの王族や、株長者など、札束のはたける人は、外国でも桁違いの金をはらって専門医を呼び出します。

 貧乏人は救急といっても、救急車は運んでくれません。救急外来でも、貧乏人は半日ぐらいまたされます。

 日本人は、私の知る限りではそんなはしたない医療はしません。専門医がボランティアですぐに駆けつけてくれます。当直医もほっと安心です。

 ところが、駆けつけてくれる専門医の数が少なくなりました。専門医も疲弊しています。現場の医師は、「なんで専門医がみないのや!」と責められます。

 専門病院への転送が遅れたといって、裁判に負ける事例がでてきました。

  たしかに、物理的に病院のベッドが一床も空いていないことなど、そんなにないと思います。しかし、明らかに、専門医がいなければ助からない病気の場合、それを引き受けることが、患者さんにとって本当に良いことをすることになるのか、当直医は悩みます。

 専門医やスタッフのいる病院なら助かるかも・・・と。

 物理的な空床はあっても、病院には、当直医一人では対応不可能という名の「満床」もあるのです。

 

 ある程度は仕方ありませんが、これは、システムの改善によって、かなりの部分は改善可能かと思います。通常の外来における予約制の充実、ローカルネットワークによる輪番制、センターシステム、予約制と表裏一体の救急の充実など、改善方法は色々在ると思います。

  しかし、じりじり医療単価を下げられ、医療機器購入もままならない病院にとっては、そういう体力はもはやありません。やはり、先進国一やすい医療単価では、人件費をまかないきれません。医師のボランティア精神のみにたよるのみでは、もはや救急医療は成り立たなくなっているのです。

  医学部定員削減も、じりじりと効いてきています。それに加えて、医局精度の崩壊で医師の派遣システムがいい意味でも悪い意味でも破壊されてしまいました・・・

 それでも医療単価は削減され続けています。

  

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南江堂 英語抄録・口頭発表・論文作成虎の巻

 

 困ったときこそ、理論的なアプローチが有効です。但し、命題が成り立つ条件を吟味することが重要です。

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