ドクトル虎の巻
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ある病院でのできごと

ドクトル虎の巻 / 2008.10.10 19:52 / 推薦数 : 5

  ある病院でのできごとです。

 月曜日の早朝、病棟で、突然入院患者さんの心臓が止まりました。

 直ちに当直医が呼ばれ、心肺蘇生が行われます。

 平日の昼間と違い、スタッフは手薄です。

 修羅場です。

 そんな時、一本の電話がかかってきました。

 「自宅で転倒したのでみてほしい。」

 事務当直から当直医のPHSが鳴ります。当直医は、一刻たりとも手が離せないので、「今は対応できない旨伝えてください」と頼みました。

 すると、「対応できないとはどういくことか。」と、家族からクレームの電話がじゃんじゃんかかってくるようになりました。

 こまった事務当直は、当直医に電話をつないでしまいます。

 病院では、別の消化器内科医が下血患者の緊急内視鏡を行っていました。循環器科では胸痛患者の対応も平行しておこなっていました。看護師はじめ、医療スタッフはてんてこ舞いです。

 早朝の、すくない人手の中でなんとか交代で心臓マッサージを継続している中で、その当直医はクレームに対応させられました。

 電話にでるために、貴重な人手を一人奪われたわけです。結局、一般病棟からICUに急変した患者さんを移送し、ICU医師と当直医2人で心臓マッサージを継続中に、その転倒患者さんの家族が抗議のため直接来院し、当直医に対し、治療を中断して守衛室におりてきて謝罪することを求めてきました。手が離せない当直医は当然拒否します。

 その当直の先生は、月曜の8時50分から手術に入る予定でした。当然、その先生を信頼し、その先生に命を預けて手術をうけようという患者さんがおられたわけです。

 当直の先生は、患者のクレームが納まらないとの理由で、再び呼び出され、手術を他の医師にまかせ、患者家族4人に取り囲まれ、「言い訳ばかりで謝罪がない。」などと罵倒を繰り返されました。

 

 実際にあった出来事ですが、直接の経験ではありませんので、事実関係は100%正確ではないかもしれません。

  しかし、自宅で転倒したご本人はお気の毒ですが、この家族の対応は、殺人幇助に等しいものです。急変患者さんの心肺蘇生を明らかに妨害する行為です。その日の執刀予定医師を信頼し、体をはって手術を受けようとされていた他の患者さんの権利も侵しています。

  医療資源は限られています。貴重なものです。無限にあるわけではありません。待てる人は待たなくてはなりません。

 「患者様」は「神様」ではありません。

 医師も患者もどちらも能力に限りのあるただの人間です。

 電車の中で、いくら自分の親を座らせたいからといって、さきに優先座席にすわっているよぼよぼのお年寄りを蹴落とすような行為は許されません。

 

 もう一つの問題は、そのとある病院のスタッフの意識です。

 クレームの対応を、いくら家族の声が大きいからといって、緊急対応中の当直医に押し付けるような行為は、病院のスタッフである限り、許されない行為です。

 こちらも心肺蘇生妨害、すなわち殺人幇助にあたります。不当な要求に対しては、病院は毅然とした態度をとるべきです。

 体を張って32時間以上連続勤務をしている当直医を、矢面に立たせてはなりません。

 声の大きなものが得をしてはなりません。

 むしろ、ちいさな者、小さな声に耳を傾けなければなりません。 

 

 皆様は、どう思われますか。     

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南江堂 英語抄録・口頭発表・論文作成虎の巻

 不当な行為を許してはなりません。

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コメント一覧

事務当直ないし、看護師が、当直医の状況を話して、少し時間が経ってから受診するように話せばよかったのかもしれませんが。
そういう時の患者の対応のマニュアルを作っておけば良いかもしれませんね。

わたしなら、その家族に、逆にきつい言葉を返すでしょう。
「病院内で患者が急変して手が離せないときに、その言い草はなんですか?状況を考えて、判断しなさい。医者に文句をいいにくること自体が間違いです。」と突っぱねます」
おそらく、そういう家族はクレームをつけにくるでしょうから、そして患者家族が騒ごうが、病院管理者は、医者(とスタッフ)を守らなければダメです。
時には、理不尽な要求をする患者家族に強い態度で臨むことが必要です。

私の勤務先でも、ひるむことなく、患者家族に強い対応を余儀なくされることが、時々あります。
written by 鶴亀松五郎 / 2008.10.10 20:17
外来で患者さんを待たせないように予約時間を設定しました。9時、9時30分と時間を区切っています。

ところが5分でも開始が遅れると猛烈に抗議されます。実は9時の予約となっているのは3-4人いて 別に飛び込みの新患も予約患者の間に診察しています。
同時に外来の処置室では急患が運び込まれ 一旦診療を中断しておおわらわで挿管しているのに「予約をしたのに待たされるのは何事だ。医者を呼べ、謝罪しろ。」と怒鳴っている声が聞こえてきます。チラッと中を覗けばわかりそうなはずですがね。

お年よりは昔外来で待たされた記憶があるのかクレームは少ないですが そういった記憶の無い若い世代は殊の外感情を爆発しますね。

患者さんを「患者様」と呼べとなって 雰囲気が何だか変わって来たと思います。
written by Bugsy / 2008.10.11 10:10
Bugsy先生。
うち(都内の総合病院)は再診のみ1時間に何名という枠の設定の予約です。
新患が入ると30分以上ずれこみますね。下手すると1時間以上待ちます。
私は、予約の再診患者優先を貫いているので、新患患者がどんなに怒ろうが後回しにします。
そうしないと、予約を取った意味がなくなるので。
スタッフ(主に外来ナース)に毒舌吐いて、帰っちゃう新患も時々います(たまにですが)。
問診表見て、待たせる間に、先に検査のオーダー出しています(これは、他の医師もやってますよね)。

それで、うちの病院は新患を相当待たせると評判が立っています。
しかし、新患の大半は、病院にわざわざ来る必要はなく、近所の開業医の先生に掛かっていただいて充分なレベルです。
新患、再診を分けている診療科もありますが、かなり時間が掛かっています。

だいたい、先進国では日本くらいでしょ。フリーアクセスで、患者が好きな時に、好きな医療機関に受診できるのは。
そういうシステムでは、病院が混んで当たり前です。
アクセス制限しないぎり、病院受診時の待ち時間が長くなるのは仕方ないことです。

アクセス制限すると、新患の受診が数日から数週間先といった欧州なみの受診体系になりますね。

日本の市民は勝手なもんです。
待たずに、すぐ診てもらうのが当然の権利を思い込んでいる。
アクセスフリーでも怒るし、アクセス制限でも怒る。
日本の市民の1年間の医療機関受診率はダントツの世界1位だそうですね。
ウチは患者を「さま」呼ばわりはしていません。
他の病院でも「さま」呼ばわりで弊害が出たそうで、「さん」に戻したそうです。

わたしは、日本市民に対して病院受診を制限するやり方のほうが、まともだと思います。
そうしないと、スタッフが疲弊しますよ。
written by 鶴亀松五郎 / 2008.10.12 00:07
鶴亀松五郎先生、Bugsy先生

コメントありがとうございます。
国民皆保険とフリーアクセスを両立というのは、どうしても理論的に無理があると思います。
すべての人が平等に質の高い医療を受けられるというのは、目指すべき理想でありますが、現実には、経済的、地理的条件を考えてみても、無理があります。
諸外国では、医療は待つのが当たり前です。
私の上司は、PCIの分野では知る人ぞ知る、大御所ですが、その日に飛び込みで外来で見てもらえます。
こんな国は日本だけですが、患者さんたちは、ただのおっさんだと思っておられるようです。
レストランと医療を同列に論じるとしかられるかもわかりませんが、高級フレンチは、完全予約制にしなければシステム的にやっていけない。急ぐ場合はラーメン屋でとりあえず空腹をみたそうということになるかとおもいます。
ラーメン屋を目指すのか、高級フレンチを目指すのか、これからは考えなければならないのかと思いますが、そういう議論を病院の幹部から聞いたことはありません。中途はんぱ、どっちかつかずで、現場は苦しんでいます。
世界から見れば変わった国であることは事実です。
written by ドクトル虎の巻 / 2008.10.12 12:03
初めてレスします。

ネット小説で『地中海病院』と『菊花病院』というのがあります。
(google ですぐ検索できます)

国民が、個々の権利を主張したばかりに、
健康保険制度が破綻した、近未来の医療システムが
コンセプトとなってます。

本当は、こういうものを、医療を受ける側の方に
読んで欲しいのですが、
今現在、日本という国の方向性を示唆しています。

ぜひ、読んでみて下さい。
written by ピィ / 2008.10.15 19:32

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