ドクトル虎の巻
Profile

ブログ内検索

カレンダー

<< 2008/08 >>
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

新着コメント

新着トラックバック

トップページ

Doctors Blog

ブログの購読

  前回の問題を繰り返します。

 「19世紀の終わりにアメリカとスペインの間に戦争がありました。当時、アメリカ海軍の死亡率は『1000人当たり9人』でしたが、同じ時期のニューヨーク市民の死亡率は『1000人当たり16人』でした。海軍の募集係は「海軍に入隊したほうが安全」と宣伝しましたが、そうでしょうか?」

 (安斎育郎著: だます心 だまされる心 岩波新書 より引用。)

 

 答えはもちろん、そうではありません。

 「数字だけ見ると『海軍のほうが安全』だと思い込みがちだが、ニューヨーク市民には高齢者も病人も含まれる。くらべるなら、海軍の兵士と同じ年齢層、健康状態のニューヨーク市民の統計とくらべなければならない。」

 答えも同上より引用。

 そうなんです。これは、論文を書くときの大切なポイントなのです。

 

 「選択バイアス」といいます。

 

 つまり、ある仮説にとって都合のよい集団を持ってきて比較すると、極めて恣意的な結果が得られます。

 選択バイアスがあれば、あとでいくらすばらしい統計処理をしたとしても無意味です。統計上は有意差がでているので、うっかりだまされてしまいます。

 詐欺師がよく使う手です。

  だから、論文で、対象の記載は厳密になされなければなりません。つまり、論文では、対象のinclusion criteriaexclusion criteriaをしっかり記載することが最重要事項なのです。

 せっかくよいアイデアで論文を書いても、ここのところがいい加減だと、査読者の印象は最悪です。初心者の陥りやすい落とし穴です。

 実は、このエントリーは、久しぶりの、「英語抄録・口頭発表・論文作成虎の巻」解説シリーズ第62回でした()

PR


南江堂 英語抄録・口頭発表・論文作成虎の巻

 見かけの数字や有意差にだまされてはなりません。

 

固定リンク | コメント (3) | トラックバック (0)