ドクトル虎の巻
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離別と再会

ドクトル虎の巻 / 2008.06.07 09:20 / 推薦数 : 3

 

 もう8年になります。

 ドク虎は別れを告げようとしていました。

 場所はフロリダ州、オーランド、American College of Cardiologyという学会の最終日、会場の前でした。

 それまでは、ほぼ毎年逢瀬を重ねていました。

 遠距離恋愛です。相手は・・・もちろん女性です()

 名は、コロンビアといいます。

 なんと、ドク虎は不良中年だったのか・・・と、早とちりしないでください。残念ながら、相手は人間ではありません。

 (コロンビアはアメリカの文学的な女性擬人名です。)

 留学から帰国し、某研究所を経て、とある基幹病院に移り、そこから地域医療に専念しようと、さらに地域の病院に移動した年でした。

 American College of Cardiologyには、特別正会員(Fellow of the American College of Cardiology, FACC)というのがあり、循環器の専門医の中である基準を満たせば会員の相互推薦によりFACCになることができるのですが、アメリカ人と日本人で推薦してくれる人があり、その認証式に日本から参加を許されたのです。

 生まれて初めてもごもごとヒポクラテスの宣誓をしました。

 ちなみに、ブッシュ大統領夫人のバーバラさんも、名誉FACCです。このあたり、向こうの学会は賢いですね。大統領の奥さんを味方につけるなんて。

 脱線しました。

 大学や、ナショナルセンターでは、循環器の分野では、世界のトップを走っているAHAACCなどの米国の学会に演題を出すことがある意味要求されます。プレッシャーでもあり、やりがいでもあったわけです。

 しかし、専門分野あたりの症例数の少ない地域の病院では、まずそういうことはできません。

 自分で選んだ道なのに、なんだか感無量でした。もう、学会発表で米国の土をふむことはなくなるのです。自分でも意外でしたが、ちょっとウルウルきてしまいました。

 コロンビアよ、さようならー。

 急にアメリカの土がいとおしくなりました。

 手のひらで、学会場前の土をそっとふれて、別れを告げました。

 甲子園で負けて去っていく球児達の気持ちが少しは分かったような気がしました。

 

 それから2年後、一本の電話をいただきました。「こちらに来ないか?」若手医師の間では「野戦病院」と呼ばれる、某病院からのお誘いでした。

 そこには、心カテや救急など、医療技術習得に燃える若手がいました。

 真夜中の緊急の役にはあまり立たない年寄りを拾ってもらったのだから、がんばっている若手の人たちに、少しでもお役にたてることはないか。そう思ってはじめたのが「虎の巻」作戦です。

 当初は、臨床にプラスアルファすることにより、若手のモチベーションを高めることが目的でした。

 「いそがしいのに、いらんお世話や。」といわれるかもと、遠慮がちにはじめました。

 とても結果がついてくるとは思いませんでした。

 ところが、あにはからんや、AHAACCにどんどん採択されだしたのです。野戦病院から、AHAACCに。そして、CirculationJACCにまで。

 しんどいことを要求するのに、「俺たちマゾやなあ」といいながら、皆も元気になってくれます。

 うれしい誤算でした。

 上司から、若手の監督で行ってきなさいと・・・逆玉の輿ならぬ、逆かばん持ちです。野戦病院のくせに海外出張を許可してくれる幹部も太っ腹。

 というわけで、別れて数年で、チームの応援団長として、またコロンビアと再会しました。

 今のところ、まだ別れなくてもよさそうです()

 もちろん、「虎の巻」作戦だけではだめです。

 頑張る若手チームと、それまで先輩たちによって培われていた、臨床に対する真摯な姿勢があればこそです。 

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 コロンビアちゃんとデートする方法です()

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