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あまり書きたくないトピックです。
書いていて勤務医としてのモチベーションが下がるからです。
しかし、KYJ(空気の読めない爺)かもしれませんが、最近ちょっと気になっているのであえて書いてみます。
最近マスコミなどでもやっと、仕事の割に勤務医の給与は低いという論調が見られだしました。
しかし、これこそ今はやりのKYです。
平均1420万円(日経)という、公立病院勤務医の平均年収が低いという議論は、同年代の40―44歳男性の給与所得者の平均年収(627万円)からすれば、一般にはとうてい受け入れられないでしょう。
勤務医にも色々言い分はあります。
新聞等の勤務医の年収に関するデータにも、恣意的なものがあります。
前出の公立病院勤務医の平均年収を聞いて、実際の国公立系病院の勤務医(少なくとも私の周りのひとたち)は、えーっ、皆そんなにもらっているのー、と驚いているからです。
いったいどんな母集団で計算したのでしょう。副院長クラスの平均をとったのでしょうか。母集団をゆがめてサンプリングしたとしか思えません。
それでも、世間から見れば、勤務医の給与は高給にみえます。
たしかに、医師たち、とくに必死で受験勉強をして医学部に入り、一生懸命努力して医師になったような人たち、いくつになっても自腹で研鑽を積まなければならない医師たちにとっては、同程度の学歴の、他職種で<成功している>人たちの給与と比較すれば、勤務医の給与は決して多いとはいえないでしょう。
しかし、超一流企業の部長、取締役は、人口の何パーセントを占めますか。
受験生で医学部と同等の難易度の大学に入れるような人は、何パーセントですか。
そんなものを基準にだしても、世間は納得しません。
それこそ、KYです(私の嫌いな言葉ですが)。
出る杭は打たれる日本です。何事も、平均だと安心する日本です。
それよりも、何よりも、勤務医の労働環境、労働時間、そして多くの医師たちの頭の中に常にある医療訴訟や刑事罰に対するプレッシャーをまず問題にしなければならないのです。
収入総額を出して、労働時間の割りに安いと訴えてみても、労働基準法に守られず、学会発表中と夏休み以外は、事実上24時間、年がら年中道義的に病院に拘束される、急性期病院の主治医の実情は世間には伝わりません。
多くの場合、お金だけの問題にすり替わり、こいつら何贅沢いってんねんと思われて終わりです。
急性期医療は、見た目の重症度に係らず、故障した飛行機を嵐の中で飛ばせるようなものです。それを32時間(実質はそれ以上)単独でぶっつづけでやれば、注意力が続くはずかありません。
リンドバーグに、毎週大西洋横断単独飛行を要求するバカはいないでしょう。
若いうちはまだいいですが、今の日本のシステムでは、年をとったらいくらお金をつまれてもできなくなります。いくらお金をつまれても、過労死してしまったら、残された家族はどうなるのでしょう。
かくしてベテラン組は立ち去ります。貴重な経験と技術が失われます。
ところがどっこい、日本の厚生労働省の医師人口は、医籍登録された人数であって、実際に診療活動をしている医師の人数ではありません。それでもOECDの中ではびりケツに近い人数なのです。
ますます頑張っている人たちに負担がかかります。
患者さんにとってもよくないことです。事故のものとです。医療安全の話が出るたび、そう思います。
豪華宿舎を建てたり、年棒ウン千万だせば解決するだろうといった類の話は、本質を誤っているのです。
いまさらと思われるかもしれませんが、経験はあるが体力の衰えた年寄り(失礼)や、子育て中の女医さんも脱落せずに参加できるような、段階を追った中長期的なシステムの再構築が必要です。
精神論だけでは解決しません。
自らは現場にいない人が叫ぶ精神論ほど、むなしくひびくものはありません。
医療技術の進歩、医療の高密度化、そして要求水準の増大にともない、昔ながらのシステムが破綻をきたしています。財務省も、頭の固い検察も、ぐるになって日本の医療にとどめをさそうとしています。
大局にたった、システムの再構築が必要です。
そのためには、医師のみではなく、システム工学的な発想が必要です。
医療現場からのフィードバックも必要です。
現場を知らない、古臭い文系のお上にまるなげでは、またまたとんでもないことになってしまいます。
応援します。
備え在れば憂いなし。何事も早めの準備、大切です。
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