ドクトル虎の巻
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医療事故調査委員会

ドクトル虎の巻 / 2008.03.03 20:00 / 推薦数 : 6

 政府与党や厚労省の考えているところの医療事故調査委員会がいろいろ物議をかもしています。

 もし正しく事故調査ができるのならばそんな結構なことはなく、誰も反対しないのですが、医療現場を知っているものから言わせてもらえば、この医療事故調査委員会、とても正しい判定が可能だとは思えません。

 理由はシンプルです。

 「病気」というのは、ホメオスターシスが崩れた状況です。

 つまり、正常な制御機構が破綻した状態です。以前どなたかがおっしゃっていましたが、医療とはまさに暴風雨の中を飛ばざるを得ない飛行機のようなものです。

 通常の状態が破綻しているのです。

 暴風雨の中を強制的に飛行させておいて、墜落した場合、パイロットの技量が足りなかったのか、なにか重大なミスをしでかしたのか、機体に欠陥があったのか、はたまた天候が悪すぎたのか、墜落してからの調査で正しく判明するのでしょうか。

 しかも、嵐の中を飛んでくれるパイロットがもはや極めて不足している状況下で、調査にまわすまともなパイロットはいるのでしょうか。

 それとも地上勤務しか経験したことのない人、あるいは航空業界以外のひとたちが調査するのでしょうか。

 「事故」の定義も曖昧です。

 すべての死亡例が対象だとすると、究極的には人間いつかは死にますから、医療を受ける国民の数だけ調査をしなければならないはずです。医療費は削るというのに、すごい予算がかかります。

 一部の死亡例に限るとすると、まずその「一部」をどう選ぶのかが難しいです。最初にあやしいという結論がなければエンロールできないことになります。この時点でセレクション・バイアスがかかります。でも調査しなければ、怪しいかどうかはわかりません。理論的矛盾です。かくして声の大きいものが勝ちます。

 さらに、十分な調査には、かなりの人手とコストがかかります。医療費を削っておきながら、その予算は出すとでも言うのでしょうか。十分な予算の裏づけのない事故調査なんて、絵に描いたもち、建前のみになってしまいます。

 ドク虎には、このような問題山積の制度を性急につくってしまおうという人たちの発想がよく理解できません。

 ちょっと考えただけでも理論的に破綻していることがわかるシステムを大まじめで提案するとは、政府与党も厚生労働省も焼きがまわったものです。

 まあ、薬の添付文書は絶対だというようなとんでもないことを言う弁護士さん(教授)が委員に入っていますからねえ。

 添付文書を厳密に守れば、薬剤溶出性ステントを留置された人たちは抗血小板薬を飲めなくなり、遅発性血栓症で急性心筋梗塞が頻発し、日本は世界の笑いものになるかもしれません。似たような事例が多々あります。

 いやしくも法律の専門家が医療について発言するなら、そういうことまで勉強して責任を持って発言して欲しいです。

 教授という人種は、論理的思考能力には長けているはずなのですが・・・

 「添付文書は正しく、必要十分な内容が記載されている」という、根拠のない前提に基づいて理論を組み立てているのです。

 ンなこと、あるわけないやん。

 論理的思考能力に長けている人たちのなかから弁護士や教授になるというのも、単なる思い込みだったのでしょうか・・・

 

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南江堂 英語抄録・口頭発表・論文作成虎の巻

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「第二次試案には断乎反対する」小松先生の講演その3
ふう、やっとここまで辿り着きました。 診療行為に関連した死亡の死因究明等の在り方に関する試案―第二次試案 基本理念最大の問題点は理念部分である。「安心・安全」という言葉が使われている。安全はリスクと... [続きを読む]
posted from 天国へのビザ 2008.03.07 19:51

コメント

コメント一覧

虎の巻先生、弁護士といってもさまざま。
われわれ臨床医の立場をきちんと理解してくださる立派な弁護士もいらっしゃいます。

http://mric.tanaka.md/2007/12/25/vol_66.html
臨時vol 66 「4つの原因究明」
2007年12月25日発行
―死因究明制度・厚労省第二次試案の法的「目的」は?―
弁護士  井上清成

http://mric.tanaka.md/2008/01/18/_vol_4_1.html
臨時 vol 4 「診療関連死の届出義務」
2008年1月18日発行
―死因究明制度・厚労省第二次試案の法的「目的」は?(その2・再発防止?)―
弁護士  井上清成

著者略歴
昭和56年  東京大学法学部卒業
昭和61年  弁護士登録(東京弁護士会所属)
平成元年   井上法律事務所開設
平成16年  医療法務弁護士グループ代表
病院顧問、病院代理人を務めるかたわら、
医療法務に関する講演会、個別病院の研修会、
論文執筆などの活動をしている。
現在、日本医事新報に「病院法務部奮闘日誌」を、
MMJに「医療の法律処方箋」を連載中。

おそらく、先生もご覧になっているかと思いますが、
URL http://mric.tanaka.md/は小松先生をはじめ、診療関連死法案に反対の立場の医師・弁護士のコメントがあり勉強になります。
written by 鶴亀松五郎 / 2008.03.03 23:38
特に、このコメントは医療専門職への深い理解を示して頂いた内容です。
http://mric.tanaka.md/2008/02/16/_vol_15.html
2008年02月16日
臨時 vol 15 「医療者にとっての安心・期待・納得」
2008年2月16日発行
―死因究明制度創設で議論すべきことー
井上清成(弁護士)

written by 鶴亀松五郎 / 2008.03.03 23:42
鶴亀松五郎先生

ありがとうございます。
まともな弁護士の先生もおられることを知って、少しほっとしました。
肩書きだけを信じてはいけないということですね。
written by ドクトル虎の巻 / 2008.03.04 18:26
春野ことり先生

トラバありがとうございます。
建前はきれいごとなのですが、知れば知るほど、医療崩壊につながる試案ですね。
冷静に、論理的に反論していく必要がありますね。
written by ドクトル虎の巻 / 2008.03.07 22:06

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