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川崎医科大学胸部心臓血管外科学教授の種本和雄教授の講演を拝聴しました。
講演の本題もすばらしかったのですが、最後に、川崎医科大と提携しているイギリスの名門大学病院のお話をされました。
皆様ご承知のように、イギリスは過去の医療費抑制政策を反省し、今では医療にお金をかけるようになり、医療事情はよくなっていると聞いていました。
ところがどっこい。
先生が滞在された、名門の大学病院では、ナース、技師、医師共に、ほとんどが外国人だそうです。医師も、レジデントばかりでははく、指導医もイギリス人医師は数人で外人医師が主力だそうです。インドや、フィリピン、東南アジアの人たちが頑張っています。特に心臓血管外科などのハードな科は外人部隊が主力だそうです。
あるケースをだされたのですが、循環器内科医が心カテをして、かなり急いで手術をしなければならないケースで、心臓外科医に紹介状を書き、まず外来受診予約をとるのに2週間以上、そしてそれから手術を受けるのに数ヶ月待たないといけません。それでもかなり改善されたとのことです。
日本の病院なら、「かくかくしかじかの患者さんがおられるので、急いで手術が必要だと思います。」「わかりました。ありがとうございます。明日の私の外来に受診させてください。」ですみます。
心臓外科の手術、一日に何件も入っていますが、日本と同じでしょっちゅう終了時間は遅れるようです。
ところが、日本と決定的に違うことがあります。日本では、仕事を休んで入院し、朝から絶食して不安ながらも覚悟をきめている患者さん、いくら遅れても、その日には手術をしてもらえるのが当たり前です。
ところが、先生の滞在された名門大の病院では、午後3時をすぎると、あとの予定手術はすべてキャンセルだそうです。それが日常茶飯事だそうです。キャンセルの理由が公開されていますが、ほとんどが病院側の要因(前の手術の遅れなど)だそうです。
それでも3時すぎると誰もやってやろうという人はいない。誰も文句を言わない。ちなみに手術をキャンセルされた患者さんは、執刀医である有名教授がその次の週出張のため、早くとも2週間は延期になったそうです。
「よいものは待たなければならない。」
と思っているようです。
はー(ため息です)。
日本では考えられないことです。彼我の差に、愕然としました。別にイギリスがよいといっているわけではありません。よいわけがありません。
しかし、日本のドクターがいかに患者中心に医療をまわしていたのかが、自分でもわかっていませんでした。患者さんはそんなこと思ってくれていないところが悲しいですが。
けれども、日本でも、近い将来、そうなるのかもしれません。我々の病院でも、麻酔科の先生たちが、手術の終了が午後5時をすぎたら次回からその科にペナルティーを課し、手術枠を減らすと言い出しています。
酷いと思っていましたが、イギリスに比べたらかわいいものですね。
ちなみにバッキンガム宮殿の衛兵の交代を見るためには、イギリスの人たちは長い列を作って待つそうなのですが、散々待った後に突然、「本日は衛兵交代はありません。」という看板が出て、三々五々おとなしく帰っていったそうです。
日本なら、クレームの嵐でしょうね。
日本は、一億総クレーマーになってしまったようだと、苦笑されていました。
「次回は是非市民講座でお話ください。」といったら、「そうですね。」と笑っておられました。
何事もきっちりしすぎの国民性が、医療崩壊を加速させるのでしょうか。
だれも「神様」じゃないのです。
「お客様は神様」じゃないのです。
限られたリソースを、お互いにシェアしないといけないのです。
完全なものなど、この世の中にはないのです。
自分に完全を要求するのは自由ですが、他人に完全を要求してはいけません。
(自分にも完全を要求するから、「うつ」になってしまうのかもしれませんが。)
「井の中の蛙」にならないためには、使える英語が必要です。
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