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地元のコンサート・ホールでは時折ワンコイン・コンサートというのをやっています。
残念ながら平日の昼間なので、行ったことはないのですが、500円で素敵なコンサートを経験できます。若手の演奏家に人前で演奏する機会をふやしてあげることができ、一方で普段あまり音楽に関心のない人たちや、あまりお金のない学生さんにも気軽に本物の音楽にふれていただこうという、素敵な企画です。
ところで、ニッポンの病院の外来は、日本全国ワンコイン外来です。
専門医が再診しても、病院に入る医療報酬は500円ちょっと。
これで、医師の人件費だけではなく、スタッフの人件費、光熱費、高額なオーダリングシステムの償却費など、すべてをまかなわなければなりません。
しかも、フリーアクセスです。
コンサートなら、入場券に枚数制限がありますが、外来には制限はありません。
基本的に、行けば見てもらえます。
これで、待ち時間が生じなければ、奇跡です。
おそらく外国なら患者さんが押し寄せてきてパニックです。
日本人はまだ抑制が効いているほうだと思います。
病院経営者からは、当然、病院をつぶさないために、たくさん数をみろ、ということになります。
一日、ウン十人、なかには百人以上のツワモノも。
厚労省はおそらく、病院は外来をせずに入院に特化しなさいといいたいのでしょうが、入院日数が厳しく短縮された今、フォロー外来なしでは難しいのと、適切な入院患者さんの確保には、専門外来は欠かせません。
さて、患者さんにとっては、安くて専門外来が受けられてよいことだらけでしょうか。
当然、病歴や、家族歴なんて、ゆっくり聞いてはいられません。
主訴(いちばんきになること)をきいて、あとは、鑑別診断を考えて、ポイントのみすばやく訊きます。
当然患者さんはいろいろ脱線されます。そこをそれとなくさえぎって、次のポイントを聞きます。そうしないと、やっていけません。 医師はコーチングだといいながら、話をさえぎるというのは、コーチングでは、もっともやってはいけないことです。
多くの場合は、医師の長年の経験でなんとかなっているのですが、専門外の疾患だと、このやり方は危険です。
でも、そうせざるを得ません。なんちゅうても、入場制限のないワンコイン外来ですから。
数をさばかざるをえないのです。
外来診察医の多くは、重症の入院患者さんも受け持っています。
重症の方のことは、いつも頭から離れません。はやく外来を終わらせて、詰め所にとんでいきたい・・・
われながら、よくいままで無事にやってこれたなあと思います。アメリカ人医師なら、間違いなく発狂するでしょう。
なんというシステムを残してくれたんだと、先輩医師達を恨みに思います。
しかし、少ない医師で、少ない費用で、多くの患者さんを見るには、仕方のないことだったのです。
一人の医師が意見をいったからとて、変わるようなものではありません。
閑話休題
業務の一環として、インドの在留邦人のための検診に行く機会がありました。インドの在留邦人の方々は、日本では考えられないような、過酷な環境で働いておられます。
ある在留邦人の方は、「インドではなんでもありだよ。」と笑っておられました。頭が下がります。
そこでは、一日かけて10人ちょっと、ゆっくり健康相談に乗ります。専門外のこともきかれるので、ドク虎は、医学書の入ったノートパソコンを持っていきました。
基本的には健康な人が多いのですが、中には明らかな生活習慣病、メタボな方もおられました。
そこで気付きました。
じっくりお話を聴いてあげるだけで、こちらが恐縮するぐらい喜んでいただけるのです。とくに治療行為をしたわけではありません。じっくり話を聴いて、アドバイスするだけです。日本の外来診療では考えられないほど、とても喜んでいただきました。そして、おなじ長時間でも、こちらの疲れがぜんぜん少ないのです。
日本国内の診療では体験できない、貴重な経験でした。
日本では、患者さんにとっても、自分たちにとっても、普段なんという酷な外来をしているのだと、思わされました。
日本でもこれだけの時間が取れたらなあ・・・
でも、致し方ないのです。病院をつぶすわけには行きません。
病院がつぶれれば、医療は崩壊します。
それに、おしよせるフリーアクセスの患者さんを拒むわけには行きません。
何でも安けりゃいいというものではないのです。
安ければ、安いなりのことしかできません。
政府は国民に、1コイン外来をおしつけました。
日本国民は、本当に1コイン外来でいいのでしょうか。
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忙しい仕事にもやりがいを。
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