今日は外来で抗癌剤の治験のお話をしましたので、それについて書きます。
癌の手術をした後、癌が残存している患者さんには勿論、癌が見た目に取り切れていても再発の可能性が高い患者さんには、抗癌剤治療をお勧めします。
前者と後者では抗癌剤の内容が違います。
また同じ条件の患者さんに対しても、使用出来る抗癌剤はいくつかあります。
こうした事は、欧米もしくは国内で大規模に行われる抗癌剤の治験によって決定されます。
私が医師になった頃は、結構いい加減な基準で抗癌剤が使用されていましたが、今は治験によって統計的に効果が確認されたものしか使用する事はありません。
それで患者さんに抗癌剤を使用する場合、治験への参加をお願いする事があります。
ただその場合、2つの種類の抗癌剤治療を無作為に患者さんに割り付ける事になります。
勿論、2種類とも効果があると考えられていますが、大体の場合、効果が確認されている治療Aに対して、もう片方の治療Bの効果を比較します。
そのBの優越性(AよりBが優れている事)、もしくは非劣性(BがAに劣っていない事)を調べる試験ですから、医療サイドとしてはBの方が効果が高いと予測している訳です。
ここにジレンマが生じます。
患者さんにとってみれば、抗癌剤の効果を調べる事は重要と分かっていても、出来るだけ効果の高い抗癌剤を使用してもらいたいと考えます。
すると治験に参加して無作為に使用する抗癌剤が決まるよりも、おそらく効果が高いであろうBの方を使用したいと思うのが当然でしょう。
我々も治験が重要と考えてお勧めしますが、患者さんの気持ちを考えれば、強く言う事は出来ません。
と言って、治験が進まなければ、いつまでも良い抗癌剤が使用出来ないという事もあり得ます。
難しい問題です。
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