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24日の朝日新聞に、後期高齢者医療制度の負担割合が明らかにされている。
制度「改正」なし 後期高齢者医療制度
税金 6兆5300億円 5兆9100億円 △6200億円
75歳未満の保険料負担分 3兆4400億円 3兆5500億円 +1100億円
75歳以上の保険料負担分 8800億円 8100億円 -700億円
本人の窓口負担 1兆200億円 1兆1000億円 +800億円
なんと、税金の投入だけが減って、後期高齢者、現役世代の支援が増えることになっている。
そして、これは06年に厚労省が試算したものだという。
私も厚労省の資料は、まめに見ている方だが、この資料は初めてである。
税金をもう少し細かくみていくと、現在の国保料の国庫負担は38.5%で、後期高齢者の国庫負担は3分の一で33.3%となる。これを金額に置き換えると、国庫負担が、4兆5700億円から3兆9400億円になる計算となる。なんと国の支出が6300億円減となり、税金の投入減6200億円を上回るではないか。
ということは、国の支出のみが大幅に減り、自治体も現役世代も後期高齢者も負担が増えるということになる。
朝日新聞によると、「今度は高齢者に集中的に税金を投入していこうと決めた」と福田首相が述べているという。もう少し、正確なデータで国民に説明しないと、国民は正しい判断ができない。
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後期高齢者医療制度に対する高齢者の怒りが高まっている。
保険料の負担増など、主として年金で生活する高齢者の生活やいのちを脅かすということが最大の要因であるが、この制度がもつ理念的な制度設計そのものにも要因があるのではないか。
75歳になると、すべての高齢者がそれぞれ被保険者となり、保険料を納付しなければならない。
日本の文化の中で、これまで、家族という単位が大切にされてきた。
諸外国においては、夫婦別姓ということが当たり前になっている時代にもかかわらず、日本の社会では受け入れられない。むしろ、前の首相が言ったように「美しき日本」の象徴のように、考えられている。私は、この考え方に同調するものではないが、一方では夫婦別姓などを認めず、家族という単位を重視する立場を堅持しながら、今回の後期高齢者保険制度は、75歳になると家族という単位から強制的に引き離してしまった。
公的な社会保障を削減し子どもが親を扶養することを奨励しておきながら、75歳になると子どもの扶養家族から強制的に切り離してしまった。
日本は、いつの間に、個人を尊重する社会に変貌してしまったのだろうか。
このような基本理念のちぐはぐさが、大きな混乱を招いているのではないだろうか。
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4月から後期高齢者医療制度が導入されて、大きな混乱を招いている。
政府は、ネーミングが悪いといって、「長寿医療制度」と呼び名を変え、見直しの作業を開始している。自民党では、堀内光雄・元総務会長が制度の凍結を求める論文を10日発売の文芸春秋6月号に寄稿したという。ハイリスクの高齢者だけの保健制度というのは、世界に類をみないもので、根本的な制度設計が間違っている。
そのような制度の問題点は別にして、4月以降、私の外来にこられている高齢者の表情が暗い。私は、後期高齢者医療制度が与えた最大の罪は、高齢者に「長生きすることはいけないことだ」というメッセージを与えたことではないかと思う。生産性が極めて低かった大昔は別かもしれないが、人類の歴史は「長寿を祝う」文化であった。日本でも、還暦、傘寿、米寿、白寿などの、節目節目のお祝いがあるのも、そのあらわれだろう。それが、「長生きは悪」というメッセージを与えてしまった。
先日、山形市で「孝行息子」と評判の高かった団塊世代の長男が、87歳の母親を絞殺し、自らもいのちを断ったという痛ましい事件が報道された。その長男は「ばっちゃも年金から天引きされる。なおさら生活が大変になる」といっていたという。
後期高齢者医療制度を見直したとしても、高齢者に与えたメッセージは消えることはない。このことが、トラウマとして高齢者の生きる力を奪い取ってしまわないか心配である。
このメッセージを払拭するためには、明確なメッセージを発しなければならない。
見直しではなく、中止・撤回が最低条件である。
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