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< 帝王切開の話 その3 | メイン | 帝王切開の話 おしまい >

手術を行う場合、執刀する立場の人を術者といいます。そしてその補助的な立場で、助手の方々が術者の前あるいは横にたつことになります。術者は、執刀するという自覚と、その責任の所在を自覚し、手術が終わると術衣が汗びっしょりということも少なくありません。

帝王切開はみじかい手術ですが、みじかくても決して容易な手術ではありません。その短い時間の中に、きわめて的確な判断を下さなければならない、手術でもあります。そうしたなかたで、私が特に緊張する瞬間というのもありまして、そこをちょっと解説します。

まずは、お腹を開ける瞬間です。以前の手術でお腹の中が癒着することは良くあることです。癒着ですから、慎重に対応すれば十分に剥離できるはずですが、時にはとんでもない事態に遭遇することもあります。ですから、お腹を開けて、癒着がないと、まずは一安心です。

私はグリーンヒルに至るまでに諸施設で手術を行っています。そうした方々を再び手術する時というものは、非常に微妙です。術者の中には、俺の手術に限って癒着するはずがない、と豪語する方も少なくはない、と思います。さて私の場合はどうでしょうか。癒着しないように、と学んだ知識を動員して手術を行いますが・・・。以前子宮筋腫の手術をした方を帝王切開したときには、大変緊張しましたが、あけてみて癒着がない事を確認して、安堵した覚えがあります。

次に、子宮の筋層を切っていくときも意外と緊張します。筋層を切ってすぐ子宮に到達して、破膜となれば、簡単です。しかし、胎盤が近かったり、児頭が固定していないと、筋層切開中に出血が多くなります。出血の存在は一気に術者の緊張を高めます。出血により手術する領域の視界が悪くなるし、何より出血量が気になるし、と。

そこをのりこえ、子宮内に到達して、卵膜を破いて、そこに児の頭があれば、まずは一安心。お尻や腰があってもいいのですが、ここに手が出てくるとちょっと問題です。また頭であっても<星を見上げる姿勢(反屈位)>、ちょっと面倒なこととなります。でもそれを乗り越え、そして赤ちゃんをお腹の上に出して、へその緒を切れば、大きく安心です。

しかし最後の関門がまっています。それは赤ちゃんを出した後の傷の問題です。時に大きく横に走っていたり、縦に切れていたりと。この処理を確実にすることが、術後の憂いに大きく関与すると信じているので、しつこいほどにこの点は確認し、縫合します。

あとは最後の骨盤内の確認をして、腹膜を縫って、お腹を縫ってで終了なのですが、やはり最後の皮膚の傷が気になります。できれば、ケロイドの少ないように縫ってあげたいのですが、どうしても縦切開の傷は目立ちます。二回目、三回目となるとなおさらです。きれいに塗ってあげたいと、あれこれやっているのですが、・・・・。

 

最近、買ってきた苗です。食堂の片隅においてあります。

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