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以前から連載形式で紹介していたモノの続きですが、最後の一文が紹介できずにいました。
  関連する記事→おやじ自身が小児科医の場合(8)
 
自分自身、どうコメントして良いのか分からなかったので、今までの分と一緒に紹介します。
今までのを読んだことがある人は最後の3行だけ読んで下さいね (^_^)v 
 
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「障害児なんだうちの子」って言えたおやじたち

 おやじ自身が小児科医の場合
  
【始めに】
 受け入れがたい事態に直面した場合の心理的な変化を研究した方がいます。それを五段階に分類して解説しました。その気持ちの変化とは・・・
  
 1) 驚き:まずは驚き、びっくりする、信じられないと思う
 2) 否定:そんなことはないと拒否したり拒絶する気持ち
 3) 悲しみ:世の中でこんなに不幸なのは他にはいないなど
 4) 受容:その事態を受け入れ認める、その環境に慣れる
 5) 昇華:この経験をみんなのために役立てたいなどと思う気持ち。
  
こんなことは昔から知識としては知ってはいたけれど、実際に体験してみないと分からないものです。百聞は一見に如かずというようにボクの経験を書いてみました。
   
【生まれたときの話1】
当時のボクは朝からは障害児のための医療施設で小児科医として働き、日が暮れてからは大学病院で代謝異常症の遺伝子解析の研究をしていた。早朝から深夜まで留守にしていて、初めての出産を控えていた妻は同居しているボクの実家の両親に任せていた。
  
その日は突然にやってきた。日付が変わる頃に自宅に戻ったとき陣痛が始まっていることがわかった。初産の場合は陣痛が始まってから長時間かかってから出産に至ることが多いのでこのまま様子を見て朝になってから病院に行くよう話していた。
   
 ところが、そこで予想しない事態が起きた。そのまま自宅でお産が進行してしまったのだ。
でも、新生児の扱いには慣れているし、今までの経過でも特に異常はなかったし、何とかなるだろうと思っていた。
   
 しかし、生まれてきた子供は正常ではなかった。変な顔貌をしていて筋肉の緊張は弱く、明らかに異常であった。多くの病気の新生児をみていたこともあり、普通でないことは一瞬で理解した。そして、明らかな合併症もないことから死ぬような病気でもないということも・・・。「これは染色体異常症だ!! 知恵遅れになるし、家族そろって普通の生活はできないだろう、とんでもないことになった」と思った。とりあえず表面的には落ち着いた表情で周囲を落ち着かせ、救急車を呼んで病院に搬送することにした。
   
 ボクの知っている病気じゃなかったら、いったい何なんだろう? 染色体異常ではなく診断がつかないような難病だったらどうしよう? いっそ手が滑って落としてしまったことにしたらいいんじゃないか。そんな思いが駆けめぐっていた。でも、そんな事したら小児科医として、いや人間として生きていけないんじゃないか? どうしよう・・・ 深夜2時過ぎに自宅での出来事だった。
 
 病院から自宅に戻って少し休んだ後で目が覚めたとき、隣に妻がいないことで再び深夜の出来事が夢ではなかったことを再確認した。夢だったらよかったのに。
 
 このときほど、自分の診断が外れてほしいと思ったことはなかった(当たり前の話だが、)。これは一時的なもので、何も問題ありませんよ、なんて事は言ってもらえないかなぁ。なんて後で笑って言ってくれたら、なんてほんの少しは期待してたりして。 でも、それはそれで、大変な誤診をしたことになり、これも問題だし・・・。そんな事ってあり得ないだろうなぁ、って思っていた。
   
【その後の話】
 しばらくの間は、自分の診断が間違っていないか長男の症状と医学書の記載とを比較した。やはり診断は正しい。ではどうするか? 医学書には病気のことしか書いていない、起こりうる合併症や平均余命が短いことなど、よいことは何も書いていなかった。普段の生活のことや、どうすれば楽しいことができるのかは全く分からなかった。
   
 同じ職場には障害児医療の専門家、先天異常の専門家の先生がいた。相談をしてみたが、その当時のボクの心には響くものがなかった。しかし、その後は適切な時期に適切なアドバイスがあり、とても参考になった。今でもとても感謝している。
  
 最初に判断を迫られたことは、この事実を妻に説明するかどうかだったが、相談した結果はみんな、早めに妻に全てを話して問題意識を共有する方がよいということだった。実際に妻に話してみたところ、はじめはつらかったけれど、後から考えてみたら先に話しておいて正解だったと思っている。
  
 迷ったり、悩んでたりした時期に心に響いたのは、患者とその親の会だった。我が家の場合は「日本ダウン症協会」と「日本ダウン症ネットワーク」だった。机上の理論より実際の親の経験の方がずっと参考になった。ただ、感情論に走りやすいのが親の会の特徴でもあるのだが、それを割り引いても、得ることは大きかった。今時はいろんな患者会があり簡単に調べることができるので、少し落ち着いたら連絡を取ってみるとよいと思う。 まあ、そう思うまでの気持ちの整理にも時間がかかるんだけどね、、、。
  
【周りの意識を変えること】
ある程度自分の気持ちが整理された後で考えたことは、この経験をみんなのために役立てたいということだった。自分のことや自分の子供のことを考えることは誰にでもできる事だけれど、他人のことも考えて相談にのれるということはすばらしいことだと思っている。
 
子供の障害について最初に説明をするのは小児科医であるし、その場に立ち会うのは看護婦なので、最初の一言が気の利いた言葉であれば、その後の気持ちの整理が上手くいくと思っている。最終的な気持ちの整理には両親の考えや育ってきた環境によって行き着くところは最初から決まっているのかもしれないが、ボクの病院では、その近道を教えることができると思う。
  
ボクの場合は大学病院に勤務していることもあり医学生や看護学生に障害児について理解をできるように説明している。「どんなに医学が進歩しても、この世の中から障害児がいなくなることはない」これは紛れもない事実だ。以前は障害が残っていた子供が障害なく生活できるようになったし、以前は亡くなってしまったような子供が今では障害を持って生活できるようになった。たとえ障害を持って生まれたとしても、親にとっては自分の子供を産んで育てるということはやりがいのあることだと話している。たとえそれがとても大変なことだとしても・・・。
  
 将来、医療の現場にでたときに、その相談を受けることができるほどの周囲からの信用があるかどうか? 相談されたときにきちんとした回答ができるかどうか。 ボクは一人でも多くの理解者を増やせるようにしているつもりだ。この気持ちに何人の学生さんが共感してくれたかは、何年か後になって分かることだろう。もしかしたらずーっと後かもしれないけれど、少しでもそうなるように、やっているつもりだ。
  
【みんな待ってるよ】
 これを読んでいるヒトは、今すぐこんな気持ちにはなれないと思う。自分の家族のことだけで精一杯かもしれない。でも、いつかは自分たちのことだけではなく、他人のことも支えるようになれると思う。きっと、なれるはずです。 みんなまってるよー!!
 
 
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以前にも紹介しましたが、この文を含め、いろんなオヤジ達が書いたモノが掲載されています。
  関連する記事 → 「障害児なんだうちの子」って言えたおやじたち



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たける先生、小児科医でよくダウン症を理解されているだけに先生に苦悩はたいへんなものだったろうと思います。奥様と一緒に疾患を理解すること、机上の理論より実際の親の経験の方がずっと参考になったこと、読んでいて説得力がありました。記事を書いて頂いて感謝申し上げます。
written by Tai-chan / 2007.05.31 15:28
Tai-chan 先生、こんにちは。いつもありがとうございます。
このブログは、この記事に書いたようなボクの気持ちを伝えるために始めたようなモノでしたが、最近は、あまりの環境の変化に対応しきれず、息切れしてしまってます (^_^;;
落ち着いてきたら、日英の違いも含めて記事を書いていきたいと思っています。
written by たける / 2007.06.06 04:06

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