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ボクは小児科医ですが、いわゆる障害児を育てている父親でもあります。
今から8年前の話になりますが、様々な障害や合併症をもつコドモだけを診る「療育センター(障害児施設)」に勤務していた時にボクの長男が生まれ、自分自身で我が子が障害児であるコトを診断して家族への説明もしました。
とてもつらく、悲しい思いをしたのですが、今となってはよい経験だと思っています。
だって、本当の意味で患者さんの親の気持ちが理解できたのですから・・・
そこで、ボクの長男が1才6ヶ月の時に書いた文章を紹介します。
コレは当時勤務していた療育施設で親の会からの原稿依頼があり、その年の年報に載せてもらったモノです。
「障害児の父親」としてというより「障害児を診る医師」として書いたもので、その当時の自分自身の心を整理するために書いた文章でしたが、ココまで書くのがやっとでした。
ホンネと言うより、タテマエを書いていた感じがしますねぇ (^ ^;
↓続きはその原稿ですが、ボクの名前は「Dr.たける」に、勤めていた施設名は「この療育センター」に置き換えてあります。
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ゆっくり のんびり の すすめ
小児科 Dr. たける
病院で仕事を始めるようになってから、出張や学会などで年に数回、全国各地を訪れるようになりました。日常の診療を休み、飛行機や新幹線を使ってホテル泊まり、郷土料理や名物を食べて、少しだけ観光もして数日で帰京します。昔はこんな豪華な旅行に憧れていたのですが、実際にやってみると楽しくありません。いつもあっという間なので結局は移動疲れのため、ビールを飲んで東京と同じテレビ番組を見ながら寝てしまいます。
学生時代は長期休暇を利用して、よく独り旅に出かけていました。時刻表を片手に普通列車で移動して安宿や駅待合室に泊まり、国内を廻っていました。いつも移動には時間がかかり、相席や相部屋でしたが、似たような仲間は結構いるもので、すぐに仲良くなれます。そして、お互いに情報を交換し途中でコースを変更するような旅行にもなっていきました。そのうち、時間に縛られないもっと自由な旅がしたいと思うようになり、自転車で自炊道具を持ってテントでキャンプ。これなら時間もお金も気にせず、ゆっくり自分のペースで移動することができます。しかも同じ仲間ばかりでなく、ペダルを踏む姿を見て声をかけてくれた地元の方のお宅に世話になることもしばしば。中にはお弁当まで持たせてくれた方もありました。こんなスタイルの旅を通じて、いろんな人たちに会うことができて人と接する事の楽しさ、思いやりの心や、ふれあいの旅心を感じることができました。
自転車は移動手段としての効率は悪いけれど、旅の充実度からみればとても良い交通手段だったと思っています。学生の時はこんな旅の良さを他人に上手く説明することは難しかったんだけれど、今ではのんびりすることの良さが分かってきました。点と点をつなぐパック旅行より、線から面に広がる深みのある旅へ、いつかまたこんな旅行をできたらいいなと思います。
人生は長い旅路と言うように子供の成長と発達は旅の始まりです。特急で行くような子もいれば中にはのんびり歩いて行く子供もいます。発達のスピードに違いがあっても、ゆっくりじゃないと解らないことはたくさんあります。僕自身も最近になってやっと、障害を持つ自分の子供やこの療育センターの子供たちの小さな変化を感じること、そしてそれを素直に喜べるようになりました。また、自分自身では分からないけれど、周りにいる人たちを優しい気持ちにさせる子供たちがいることにも気付きました。
そして本当に大切なのは能率最優先の治療や訓練ではなく、思いやりの気持ちを持つことだと分かりました。こどもを思う親の気持ち、障害があっても、この子がかわいいと思う気持ちを持つことや、周囲の人たちからの思いやりを感じられることも大切だと思います。治療や訓練はその気持ちの延長上にあるのだと思います。いかにして普通の生活に近づけるかというよりも、どうしたらみんなで楽しく過ごせるのかという発想の転換も必要になると思います。
この療育センターに赴任してきた当初は慣れない仕事に追われるばかりで、考える暇もありませんでしたが、多くのスタッフや家族の方と接してるうちに少しずつ分かってきました。そして、少し立ち止まって自分自身を見つめ直してみて、やっとこのようなことが考えられるようになりました。
療育に携わる者として、また障害児を育てる一人の父親として少しは成長したかなという気がします。
これからも一緒に楽しく過ごせるように訓練に治療にがんばりましょう。
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コメント
コメント一覧
たとえタテマエでも、語りかける人間の背景で受ける側の印象は随分と違いますから、きっと、これを読まれたたくさんの方達が勇気づけられたことと思います。
たしかに、ゆっくりと成長していく過程で見えるものは多いかもしれません。
障害についての知識だけでなく、思いやりや優しさとは何なのかとか、とかく考えさせられるチャンスが多いように思います。
いろんな障害児の保護者と接する機会が増えましたので、情報交換させて頂きながら、なおかつ、自分の情操的な懐の深さも広げていきたい。
障害児の親は、余裕のない人も確かにおられますが、多くの人に、達観されていたり、たくましかったり、寛大だったり・・・と、人間の器の大きさを感じることがあります。
たくましくなければ、日々の大変さや将来の不安などと立ち向かっていけませんから、鍛えられる部分もあるんでしょうね。
どうしたらみんなで楽しくすごせるのか・・・
その先には、やはり、将来の不安もありますから、どうしても子どもの自立や福祉の対応などに必死になってしまいます。
親は、子どもよりも長生きして、ずっと子どものためにつくせる可能性は少ないですから。
順番でいけば、親が先に他界するケースが多いですから、その先を考えてしまうと、難しいですよね。
思わす、ウルウルきてしまいました・・・・
http://www.meijigakuin.ac.jp/~kokusai2/00ks1287.htm
情報化社会のお陰で偏見は少なくなって来ているものの、便利になっているがゆえのパーソナルスパースの広がりを感じる昨今。障害児を育てる難しさがこの辺りにもあるんだろうな。と感じる事があります。
それでも、一人一人が積極的に社会に協力要請をし前向きであり続ける事で、打開出来る事も多いのでしょうね。ガンバロ♪
あの文章はタテマエっていうか、「決意」または「決心」といった感じだったのかもしれません。悪くいえば諦めたとか、イイ意味では腹をくくったとか・・・
ボクは職業柄、いろんな障害児、とくに重度の方々を中心に関わるコトが多いのですが、コドモや家族達から教えてもらうコトの方が多いように感じています。
そのうちの少しでも後輩医師に伝える事ができるようにしているつもりです。少しずつでもいいから障害を理解できる医療従事者が増えるといいなぁ、って思っています。
青春の貴重な時間を、しかも3年間も病院内で過ごすなんて、ボクには想像できません。でも、そこでしか得られなかった事が、きっとあったはずです。
それは、言葉や文章にはできないかもしれないし、何気なく発せられるオーラなのかもしれません。
きっと、でぶでぶ さんの、何気ないヒトコトで元気になっているヒトだっているはずですよ (^_^)
ハンデを持ったコドモ達が楽しそうに生き生きしている姿を見せるコトで、健常なヒト達の意識を変えられるとイイですよね。
一緒にガンバリましょうね〜♪
昔の記事までたどってもらい、ありがとうございます。
> 「子供は授かりもの、どんな子でも俺らの子供や」と言われ、・・・
なかなか、言えないですよねぇ。すてきなご主人ですね。
ボクは照れくさくって、そんなコトは言えません (^_^;;
そんなワケ(?)で、これからも、よろしくお願いしますね。
> 発達をみていただいている先生をいまひとつ信用できないでいた自分がいました。
じつは、ボクもそうでした(^_^;;
> ただそれだけで気持ちが救われる障害児の親がいると思います。
障害を持ったコドモとその家族と接していると、ボク自身も元気をもらっていたコトに気付きます。少しでも、皆さんのチカラになれるように、このブログを続けていこうと思っています。
これからも、よろしくお願いしますね。
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