| 日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | ||
| 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
| 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 |
| 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 |
| 27 | 28 | 29 | 30 | 31 |
以前に紹介をした「医学生のためのチュートリアル」と「チュートリアル(続き)」の続きです。
前回までの内容で、病気の予想は付きましたか?
炎症所見がなく、肝腎機能、髄液検査、頭部CTでも異常ないが、脳波で高振幅徐波あり。
これまでのデータの総合解釈として、
びまん性の脳障害が考えられるが、髄液検査と頭部CTでは異常がない。
→「急性脳症の初期段階ではないか」ということを疑うコトが要求されていました。
医学生達には鑑別疾患を挙げさせて、それを見分けるための検査計画を立てさせます。
培養検査やウイルス検査では有意な所見なく、代謝性疾患の所見なし、薬剤濃度も異常なし、
などと、原因と考えられる検査はすべて異常なし、という設定でした。
その後、治療計画について討論させて、それが十分なモノであれば、その後の治療経過が書いて
あるプリントを渡します。(医学生達の討論の内容は省略します)
【入院3日目までの経過】のプリントには以下のように書いてありました。
入院後、脳圧降下剤、ステロイド剤、抗ウイルス剤などの投与を開始。入院翌日も
半昏睡状態で、数分間の全身性のけいれんを認めたため、抗痙攣剤を使用、その後も
けいれんを繰り返したため、他の抗痙攣剤の使用を継続した。入院3日目までは上記
以外の診察所見、血液データなどには大きな変化はなかった。
そして、3日目に実施した頭部CT画像を示しました。
初診時に比べて皮質と白質の境界が不鮮明になり、脳室と脳溝が狭小化して、脳浮腫が認められ
る画像所見です。
各種の検査に異常がないのに痙攣と意識障害が持続して、しかも3日目に脳浮腫が確認された。
ここで、医学生達は「あっ、やっぱり急性脳症だ、どうしよう・・・」となるワケです。
「どうしよう・・・」の意味することは、原因不明の急性脳症の今後について、
教科書には『死亡率50%で、救命できたとしてもその90%には後遺症が残る』
と書いてあるからなのです。
注)あくまでも、仮想患者のシミュレーションですよ。
医学生達は悩みます。
もしかして死んでしまうかもしれない、助かったとしても後遺症が残る割合が9割も・・・
「ってことは、この病気になったら95%はダメってコトかよ〜。」
「なんで、こんなになっちゃうの、かわいそう・・・。」
「親から訴えられたら、どうしよう・・・。」
「この際、死んじゃうかもしれないコトをハッキリとさせとかなきゃいけないんじゃない。」
「やれるコトをやった上で話さないとイケナイよ。」
等々・・・
ボクからは、「今後の診断、治療、家族への説明などについて討論をして下さい」と指示を
しました。
けっして答えは一つではないのですが、医学生達の討論は続きます。
そこで討論した事、その後、調べた事を合わせ、次週までにレポートを書くコトになります。
いかにして正解を導き出すかではなく、病気をどう考えるか、その後どうすればいいのか、
医学生達にはそんな事が要求されていました。
↓そこで、ボクからのアドバイスとしてお話ししたコトは・・・
ボクからのアドバイスとしてお話ししたコトは
1)今回のような小児救急の場では確定診断が付く前から治療が必要であるコト
2)原因を確かめる事だけが医療ではない、医学と医療は異なるというコト
3)診断できても治らない病気があり、しかも、生きるか死ぬかだけではなく、
グレーゾーン(=後遺症、障害)もあり得るというコト
4)子供に障害があってもそれを支えるために、できる事があるんだというコト
5)小児医療は全力で治療に当たらなければならないコト、そしてそれが可能な
診療科であるコト、などをお話ししました。
ついでに「少子化の影響で患者さんが減って小児科は『お先真っ暗なんじゃないの?』というヒトもいるけれど、医療費が一定だったら患者さん一人に対して充分な医療ができるんじゃないかなぁ。
それとは逆に、どんどん増えていく老人に対して医療費が一定だったら、どんな事が起きるか考えてごらん。医療費が制限されるコトで治療できるヒトも治療できなくなるかもよ」というところで止めておきました。
それを医者が判断しなくてはならなくなったらタイヘンだよね〜、なんてトコまでは言えませんでした (^_^;;
最後に「なんで自分が医学部に入ろうと思ったか、思い出してごらん。困っているヒトのためになろうと思ったからじゃないの? ラクして儲けたいんだったら、医師免許は必要だけど9時17時で終わる仕事ってのも、いくつかアルよ」と、少しだけ余計な(?)コトを言って、小児科のチュートリアルを終了としました。
学生さん達のレポートについては、今週の木曜日に締め切りなので、チュートリアルの感想と合わせて、次回の記事に続けたいと思っています。
そして、このネタはマダマダ続くのでした。
人気blogランキングへ
↑今回の記事が参考になったという方はクリック!
よろしくお願いします m( _ _ )m
固定リンク | コメント (4) | トラックバック (0)
コメント
コメント一覧
家の娘が今年の3月(1歳2ヶ月時)に急性脳炎・脳症になったときと症例が似ているなあ・・・と思ってコメントさせていただきました。
娘は処置が早かったこともあって、一時、左麻痺が出ましたが2ヶ月ほどで治り、今では元気にしています。
当初、痙攣が止まらず・・・からはじまったのですが、インフルエンザ陰性、髄液検査をしても何も出ない、さらに、10日前に麻疹の予防接種を受けていたので副反応まで疑われ検査に・・・それも何も出ず・・・・という状況でした。
結局、3週間ほどたったときの血液の培養検査で、微量にHHV6(突発性発疹)が検出され、おそらくこれが原因かということになっています。
わけがわからない中、お医者様がご説明くださったことを今でも覚えています。
さっきまで元気だった子供が突然ICUで管につながれ意識不明という状況なので、かなりパニック状態です。
その中でも、ちょっと頼りないなあ・・・という印象をもっていた若い方の主治医の先生(大学院生さんで、もう一人おちついた感じの先生がついてくれていました)が、わからないことを翌日までに必ず調べてきてくださる姿にこの先生に見てもらえて本当によかったと思いました。
入院中も毎日顔を出してくれて、いろいろ検査結果や調べた事を丁寧に教えてくださって、将来いいお医者様になるだろうなと思いました。
あの当時は、希望と絶望を短期間に繰り返していたように思います。
関わってくださったすべての方に感謝していますが、あの若い先生の熱意、誠実さ、真摯さにかなりの部分を助けられた気がしています。
もしかしたら、死亡率や後遺症の発生率まで書いてしまったので、当時のツライ気持ちを思い出させてしまったかもしれませんね。
また、お母さんだけでなく、きっと担当医もいろんな意味でタイヘンだったったと思います。
症状は改善しないし、ハッキリと原因が分からないし・・・
それにしても、お子さんが元気になってなによりですね。
コドモ達の笑顔がボク達のエネルギー源なんです (^_^)v
そしてnaoko さんの感謝の気持ちが伝わると、小児科医はどんどん元気になっていきます。
今回は紙の上での模擬患者だったのですが、医学生達もストレスを感じていたようでした。
これから、どんなレポートを書いてくるのか、少し心配でもあり、楽しみでもあります。
今年娘が手術を受けまして、お医者さまが本当に朝早くから夜も病院にいることに驚きました。そして「こんなに大変そうなのにどうしてお医者さんになろうと思えたんだろう?まして子供にかかわる科に…」(ご担当は小児外科の先生でした。病院は違いますが多分たける先生と同じ大学でお年も近いような…)と思っておりました。
私自身は都内で典型的な会社員をしておりますが、忙しい時期も終電には間に合いますし、お医者さまになれる能力があれば、たける先生言うところの「ラクしてもうかる仕事」を選んで不思議はないな…と。
お忙しそうな担当の先生にお聞きするのは憚られ聞けずじまいでしたが、こちらのブログで「患者さんの笑顔があれば」といったフレーズが多くて「それだけで頑張れるの?」と愕然としました。(娘の入院前は「尊敬」と「お金」だと思ってました…スミマセン)
娘はそけいヘルニアでしたので急病でも命に関わったわけでもなかったのですが、ヘルニアがわかった生後1ヶ月から手術の2歳まで、親の私の方は願掛けのように髪を切れませんでした。知人には「ヘルニアなんて盲腸みたいなモンだよ」と笑われつつ、現実的でドライと言われてきた自分が、子供のこととなると代わってやりたいとばかり思っておりました。
そんなでしたので担当の先生には、心配な点はよくお聞きしましたが、市の中核病院でいつも混雑している中、面倒そうな素振りも見せず一つ一つお答えくださったこと、今も感謝の気持ちでいっぱいです。我が家のように命に関わる病気でなくてもそう思っています~。
先日TVで手術室と手術衣のお医者さまが映ったら、娘が「あ!このひとね、“○○ちゃんのポンポンもう痛くないよ”って言ったんだよ」と言い出しました。手術当時、あまり話せなかった娘にそんな記憶が残っていたことに驚くと同時に、手術室にいらしたどなたかがそんな娘に言葉をかけてくださったことをとても嬉しく思いました。
大変なお仕事と思いますが、どうぞよい診療をお続けくださいね。(我が家もよい患者であれるよう気をつけます…乳児医療のコメントでyocchannさんが書かれていたこと、働く母としてよくわかります…)。
長文失礼しました。
お子さんの手術は無事に終わって良かったですね。簡単な手術といわれても、当事者になったら、そんなコトは言ってられませんよねぇ。ボクも自分のコドモが病気になるまでは現実的でドライな性格でしたが、いろんなコトがあって、ようやく(?)親の気持ちが分かってきたようです。
また、このブログでも、みなさんからのコメントをみて、元気をもらっています。
これからも、よろしくお願いしますね。
コメントを書く