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改めて金子勝の発言に真実を感じる..
生活に根ざした言論こそと経済活動こそが未来を切り拓く
慶應義塾大学 金子勝さん
http://www.jinken.ne.jp/other/kaneko/index.html
(注) この記事は、たまたま「かんぽの宿」問題のサイトをあさっていて、ふと、金子さんがどんなことを言っていたか気になり、探したらみつかった、というものです。ある人権問題のサイトでのインタビュー記事になっています。
金子教授と言えば、小泉・竹中路線に一貫して反対を唱えている学者ですが、もうひとつ具体的な反論なり対案を作ることには成功しておらず、Wikipediaには、サンデープロジェクトで竹中に論破された、などという記述もあります。(まあ、どうせ竹中氏に近い田原総一郎が討論の方向を仕組んだ、という見方は当然多くありますが...。)
しかし、ディベートで勝ったからすべて正しい、などとんでもないことであり、基本的な思考の方向という点では、まさか竹中ごときに負けるはずもないと、私は思っているのです。
閉塞感の続く現在、金子氏の発言を聞いて、うなづかれる方も多いのではないかと思います。
(なお、この記事は、2006年10月6日のものです。2年半も前の発言です。恐らく、コイズミ路線がまだ突っ走っている時代であり、彼は、やりきれない思いでこのインタビューを受けていたのではないかと思うのです。)
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勝ちか負けか、官か民か、賛成か反対か。ここ数年、議論を深めることなく、二者択一で重要な選択を迫られることが多い。冷静な分析や判断よりも気分や感情が優先しているとはいえないだろうか。メディアも市民も「思考停止に陥っている」と指摘する経済学者・金子勝さんに、その背景と対応策を伺った。
●<「自己責任」という考え方が社会的無責任を生み出す>
−−−ここ数年、年金や急激な少子高齢化が盛んに取り沙汰されています。将来を楽観できる材料が何もないような気になってしまうのですが。
ぼくは、将来に対する不安というより、今がどういう状態なのかを理解できない人が多いような気がしています。
ここ数年、「小さな政府」「官から民へ」「規制緩和」「構造改革」などといった呪文の繰り返しのなかで、一種の思考停止に陥らされているのではないでしょうか。規制緩和から民営化、自由化が進むと必ず抜け穴が拡大します。国のチェック機能が働かないために、ごまかしが横行するんです。耐震強度偽装問題やライブドア事件が典型です。気がついた時には市場という仕組みそのものが崩壊しかねないような状態になってしまうというパラドックス(逆説)に直面する。今はそんな状況だと思います。
もちろん古臭い規制や一部の利得だけを保護するようなルールを変えていく必要はあります。けれど一切の規制を外して市場に任せれば何もかもがうまくいくというものではありません。たとえば銀行の不良債権問題を思い出してください。バブル時代の無軌道な貸付や投資がバブル崩壊とともに巨額の不良債権となりました。本来なら経営者の法的責任を問い、一気に公的資金を強制投入して、貸し倒し引当金を積んで企業再建に取り組むべきでした。ところが経営者の責任を問わないまま、ずるずると公的資金を入れたため中小企業の貸し渋りや貸しはがしが横行しました。そして財政金融政策を破綻させてしまいました。
−−−民営化、自由化が進めば、品質やサービスが向上し値段が安くなるというイメージがありますが。
物事はそう単純ではありません。「早く安く」という競争力を身につけるには、どこかで無理をしなければならないんです。コスト削減のために膨大なフリーターが生まれ、どんどん所得の低下が進みました。この間増えたのは年収入200万円以下層です。そのなかで大量のワーキングプアが生み出されました。一方、公共事業に代わって 「改革」利権で政官財の癒着は一部の人々に富をもたらします。また、耐震強度偽装問題やライブドア事件に見られるように、レフェリーもルールもない市場が作り出されかえって人々に重大な損害をもたらします。
−−−「自己責任」という言葉はすっかり定着しましたね。
これほど都合のいい言葉はありませんよ。たとえば労働市場の「構造改革」で、「自己責任」と称して成果主義を導入したり、非正規雇用をどんどん増やしてきました。企業にとってはおいしい話でしょう。しかし年収150万円ぐらいのフリーターでは自分のことで精一杯、「結婚できない、まして子どもなんてとても産めない」と考えるのも当然です。結果的に若い世代の婚姻率も出生率も予想を超える勢いで下がっていくという現象が起きています。
このように、自己責任を前面に出してやっていけば、究極的には社会的無責任が生じるのです。一人ひとりが悪いわけではなく、子どもが減ること自体が悪いわけでもありません。ただ、人口増加や経済成長率が「ある」ことを前提にした年金制度をはじめとする社会制度がもたなくなり、人びとがますます不安になってしまうのです。
●<苦しい人ほど「スター」を求め、支持する>
−−−「改革」という言葉にはとてもいいイメージがあります。
閉塞感のある状況のなかでは、とにかく何か説明してほしいという空気があります。「大きな政府か、小さな政府か」「官か民か」「資本主義か社会主義か」・・・単純な二分法で説明されると、わかったような気になりますよね。 でもそんなものは冷戦時代の古い構図なんです。
今はある意味、歴史的な転換点であり、誰もが記憶も経験もないことに直面しているんです。心臓が悪いのに胃薬を飲まされても治らないのと同じで、新しい現象に目を向け、原因を確定して対応策を考えないといけない。ところが相も変わらず古い構図を持ち出されて、見当違いの選択を迫られているんです。
今、日本の財政赤字はGDP(国民総生産)の1.6倍にも上っています。とても返せない数字なのに危機感がない。なぜかというと想像ができないからです。
戦争に対しても同じです。従来の世界戦争は植民地の争奪戦であり、国と国とが総力戦をやるというものでした。しかし現在は、どこにいるかわからないテロリストに対して、世界中を戦争態勢に引きずり込んでいく。しかも自由と民主主義の名において・・・。これは世界が一度も経験したことのないタイプの世界戦争です。
経験も記憶もない事柄は、誰も想像できない。だからこそ慎重に考えないといけないのに、単純な論理でごまかされているというのが現状です。
−−−確かに・・・。それにしても「構造改革」や「自己責任」が無責任を生み出すというのは驚きです。
大きな事件が起きても、大企業の経営者や官僚、政治家は誰も責任をとらない。逃げ切っていますよね。「官から民へ」と言いますが、不良債権や多くの企業不祥事を見れば明らかなように、この国は「官も民も」無責任体制なのです。その一方で、フリーターは着実に増え続けています。自ら選んでいる人もいるでしょうが、人件費を節約したい企業の思惑もあります。30歳を超えたフリーターが正社員になる率はものすごく低い。このままだと年金未納の高齢化したフリーターは増える一方でしょう。それを彼らの「自己責任」と言い切れるでしょうか。
−−−けれども「構造改革」を支持する人は多いですね。
小泉政権や安倍政権のやり方を見ていると、「現状をぶっ壊してくれるなら誰でもいい」という破壊願望を多くの人がもっているような気がします。誰も責任をとらない社会では、金だけが公正の基準です。金だけは嘘をつかないというわけです。その金を使って既存の仕組みをぶち壊してくれそうな人物を圧倒的に支持する。ホリエモンや村上ファンドはそのあだ花でした。反対する人を「抵抗勢力」として攻撃する。マスメディアも面白おかしく煽る。
おかげで仕事がない、生活が苦しい、将来の見通しが立たないなど厳しい状況にいる人ほど、古いものをぶっ壊してくれるスターを求めるという皮肉な現象が起きる。
ぼくの持論ですが、昔から社会主義者はたいてい地主や金持ちです。分け与えるものがある人だけが分配を考える。貧しい人間はみんな今日を必死で生きていかなきゃいけないから、正義だの公正だのと言ってられない。だからこそ統治者と呼ばれる人は、本来、社会が変な方向にいかないように考えるんです。そして儲けの一部は社会や弱い立場の人たちに還元する。独り占めするような人間はたとえ成功者でも軽蔑されるものです。ところが今の日本には経営エリートの中にも、社会全体や日本の将来のことを考えている人が一人もいない。だから「破壊するしかない」という願望が人々の間にどんどん蓄積しているんだと思う。
●<社会を反転させる力は、地域とネットワークの中から>
−−−不満があっても「自分たちが立ち上がって社会を変えていこうという」というよりも、何かやってくれそうなスターに期待するという人が多いですね。市民運動が盛り上がった時代もあったのに、なぜでしょう?
昔のようにデモや社会運動をやったら損をするというのが見えているからです。人口の多い団塊の世代はマイホーム主義を築いてきました。それは社会運動をして排除されたり転向したりする歴史を見てきたからです。若い頃に社会主義を主張した左翼たちは転向を余儀なくされました。しかも社会から排除されないためには自分が極端に「右」であることを証明しないといけなかった。ナショナリストになった元左翼は多いですよ。
左翼として留まり続けている人もいるけど、それはそれで信念だけで生きているみたいなところがある。信念を貫くのは立派だけど、本当の意味で社会に働きかけていない。
いずれにしても、団塊の世代の生き方は下の世代に大きな影響を与えていますよ。社会のために発言や行動をするのは損をする行為であり、敢えてそんなことをしようとするのは危ない奴なんだと思っている若い人は多いでしょう。そして自己責任とお金の論理で社会をぶち壊してくれる人に憧れる。こういう状況を生んだのはおとなたちだと思いますよ。このまま年金もらって、蕎麦打ちか何かやって老後を楽しむだけでいいのか。自分たちの価値観のみすぼらしさを反省して、もう一度、社会や子どもたちの未来を考えていかないと本当に罪な世代になってしまいますよ。
−−−確かに大人には責任があると思います。では、若い人たちはどこに希望を見い出せばいいのでしょう?
打出の小槌みたいなものはありません。ひとつひとつの出来事を徹底的に批判したり考えたりする精神を身につけていくしかない。そして社会のなかで、今の無責任な言論やメディアにだまされないぞという声を大きくしていくことだと思いますね。
いろんなメディアが同じことを言い出したら危ないと思わなきゃ。そして違う意見はないかとしっかり探す。ぼくは今、みんなが「A」と言った瞬間、何も考えずに「B」と言ってますから(笑)。理由は後から大脳で考えます。それぐらい危ない状況だと思う。とにかく「違う意見もあるんだ」ということを言っておかないと。 それから、みんなが何かを共有する手段をもちたい。今はミニコミや雑誌がなかなか普及しないけど、言論の輪をもっと広げたいですね。間違ったニュースに踊らされるのがいかに不自由で、思考を縛られているか。人生を考えないといけない時に何も考えられなかったという悔いが残らないようにするために、言論のネットワークをしっかりとつくっていくことがすごく大事だと思います。
もうひとつは、地道に社会問題に取り組んでいる人たちの声をちゃんと広げていくこと。なかなか表には出ないけど、地域経済をつくったり福祉でがんばっていたりと生活に根ざした動きはいろんなところに見られます。
言論でしっかり対抗しながら地に足をつけて生きている人たちにこそ社会を反転させる力があります。実際、そういう流れも大きくなりつつはあると感じています。最近、農業に注目しているんですが、地方でみんなよくがんばってますよ。
−−−メディアを通じて派手なパフォーマンスをする人たちばかりに注目するのではなく、自分たちで考える力を身につけながら、地域や地方に目を向けてネットワークをつくっていくということですね。ありがとうございました。
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まあ、正直に私の感想を言えば、このような発言を聞くと、「ほっとする」というところでしょうか。最近の竹中の詭弁のえげつなさは、私の神経をいらだたせます。この日本に住んでいる国民、人間を全く見ずに、経済理論だけですべてを押さえ込もうとするような、機械的で暴力的なこわれたロボットのような暴走ぶりには辟易(へきえき)します。
その点、金子氏には経済学の理論以前に、人間としての暖かさを感じます。
では、ついでに、別のブログで見つけた、金子氏の講演要旨をちょいと...。
起業家の読書日記より
http://d.hatena.ne.jp/risk-taker/20080124
東京商工会議所・葛飾支部と葛飾区しんきん協議会の共催で、慶應義塾大学経済学部の金子勝・教授の講演会があったので、青砥まで出かけてきた。
政治・社会問題
講演最後のメッセージとして「人生、努力すれば必ず報われる事もあるが、報われない事もある」というラテンの生き方の言葉は、大変印象に残った。
<講演メモ>
テーマ「2008年 日本経済の展望」
○日本の政治バブルの負の遺産
・今回の戦後最大の不動産バブル崩壊から、経済が立ち直るには最低2年かかる。
・光蔵改革派の政治家は2世、3世ばかりで、抵抗勢力派は下から這い上がった
ので、汚いことをしている。
・小泉構造改革の負の遺産が押し寄せてくる。
・気づいたら輸出産業だけが強くなっていた。
○小泉構造改革とは何だったのか
・これまで、低金利、量的緩和により円安に導き、輸出産業が伸びて
景気を良くしていくという同じワンパターンでやってきた。
・「いざなぎ越え」はGDPが1%程度のプラスになった期間が越えただけのこと。
・小泉支持率は一時期80%もあり、国民は冷静に論理的な理由無くも雰囲気で
支持していた。
・マスコミには、感情的に強く言い切る人がテレビに出ている。
・未来への投資である医療と教育はOECD加盟国で最下位となり、医療・介護は
全て崩壊してしまった。
→知識化した経済社会では、教育と健康への投資が必要。
・30代半ばのフリーターが4百〜5百万人おり、彼らは何も手に職が無い。
・年収200万円以下が1千万人、非正社員は1200万人。
・生活保護世帯は107万世帯、健康保険証が無しは35万世帯。健康保険料の
滞納は480万世帯。
→このような社会が、これ以上持つハズが無い。
・アダム・スミスの「神の見えざる手」というのは、バカなリーダーが
自分の責任逃れをする時の言葉であり、市場にまかせてもうまくいかない。
・構造改革で、減税、歳出削減により社会保障がズタズタになり、地方交付税を
減らし地方経済を崩壊させ、労働市場をぶち壊し格差社会に導いた。
・内需が循環する経路を全てズタズタに切ってしまった。
・国内では自動車は売れておらず、売れているのは小型車のみ。
○世界の中の日本
・世界はブッシュ離れにも関わらず、ブッシュに付いて行ってしまった。
・国会を延長してまでテロ特措法を通過させても世界からは何も反応が無かった。
・米・民主党は、日本を飛び越えて、中国に向いている。
・対中外交でも全てを失い、仏が高速鉄道の1千車両を受注し、これから
長期間に渡り、数兆円の売上が続くことになる。
・国際決済通過の30%がユーロとなつている。
○サブプライム問題
・2003年にウォーレン・バフェット氏が、「爆薬庫」と指摘。
・ITバブル崩壊以上の打撃となる。
・米国の住宅市場は2000兆円。その内30%(600兆円)はバブル。
・金融バブル崩壊、住宅バブル崩壊、石油ショックが、相互に悪循環し始めている。
・不動産の買い手がつかず、売れないので、損失を確定できないまま、信用収縮、
貸し渋りが始まり、最悪、日本の90年代末の5年間の状況となる。
○日本はどうするか
・格差社会を解決しなければならない。
・内需だけの中小企業は本当に困ることとなる。
・新しい時代の戦略を立てねばならない。
・地域単位で互いにどういう助け合いをして、何を残していくか、自分達り子供が
この地域を誇りに思えるか、未来に向かっての投資を考えるべき。
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この講演は、昨年のもののようですね。まあ、金子氏はブレてない、と思いますが、どうでしょう?
恐らく、あまりにひどい状態になり、彼も改善策を見いだせないでもがいているのかもしれません。おそらく、権丈先生ほど明解に、「消費税でも何でもいいから財源をしっかり確保して社会保障に回せ!」というのも、ちょっと躊躇があるのかもしれません。
なにせ、消費税を上げるには、環境があまりにひどくなりすぎてますから。
いずれ上げるにせよ、当面、あほう総理のように役立たない対策にうつつを抜かすことなく、機敏に策を打てる度胸と正しい方向性が必要かと思う次第。
あほう対コイズミなど、コップの中の嵐です。
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