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医師増員を考える

 医師増員について、激しい議論があちこちで闘わされている。だが、私が腑に落ちないのは、『医師不足』が明らかなのに、医師増員反対、の声が意外に大きいことだ。

まあ、劣悪な環境の中で働いていると、全体を見る余裕は無くなるかもしれない。あまりに理不尽な低給与で働かされていると、どうしても利益優先の考えが大きくなるのかもしれない。だが、結局は、政府が長年取り続けた医療費削減、医師削減の政策を根本的に転換させなければならない、という点ではさほど意見の違いはないはずだ、と思う。

ちょうど、日経メディカルで、医師増員に対するいろんなアンケートを出しているので、それを参考にして、私なりの意見をまとめてみたい。

では、さっそくデータを見てみよう。医師を増やすべきか? という問いに対し、2206名の医師+医学生が答えている。

  医師は、増員賛成47.6% 反対37.6%(n=1925)

  医学生は増員賛成41.6% 反対44.1%(n=281)

病院・診療所の勤務医は増員賛成49.4% 反対35.9%

いぽう、開業医は   増員賛成39.5% 反対45.6%

う〜〜む..、やっぱり、これからの自分の生活を考えた現実的な回答なんでしょうか?

なお、35歳以下では賛成、反対ほぼ同数。36歳以上は年齢が高いほど増員に賛成が増えるという...(う〜〜む、私って、やはり高齢者?...)

では次。医師不足を解消するために進めるべき施策は? という問いに対し、2206名の医師+医学生が答えている。

    増員反対派では

1位 勤務医の労働環境の改善

2位 医療事故における訴訟リスクの低減

3位 医療事故における刑事処分の見直し

4位 産科、小児科、救急、へき地医療への支援

5位 女性医師の離職防止・復職のための支援

6位 医師配置基準の見直し(常勤ポストの増加)

7位 臨床研修医制度の見直し

8位 コメディカルの増員、ルーチンワークのサポート

9位 指導医、大学教員の待遇改善

10位 病院機能の集約化

11位 専門医数のコントロール

12位 在宅医療の推進

13位 崩壊した医局制度の復活

14位 医師増員

    いっぽう、増員賛成派の意見は、

1位 勤務医の労働環境の改善

2位 医療事故における訴訟リスクの低減

3位 産科、小児科、救急、へき地医療への支援

4位 医療事故における刑事処分の見直し

5位 女性医師の離職防止・復職のための支援

6位 コメディカルの増員、ルーチンワークのサポート

7位 医師配置基準の見直し(常勤ポストの増加)

8位 指導医、大学教員の待遇改善

9位 医師増員

10位 臨床研修医制度の見直し

11位 病院機能の集約化

12位 在宅医療の推進

13位 専門医数のコントロール

14位 崩壊した医局制度の復活

    ================

さあ、これを見てどうですか?

私は、増員賛成派も反対派も、根っこは大して変わらないと思う。

あえて言えば、自分の生活を主体的に考えているのか、日本全体の医療を考えているか..

あるいは、現在働いている環境により、反応が若干違う、

   その程度のことじゃないの?

やはり、このような対立軸をあえて鮮明にすることは必要ではないと思う。

しょせんは、医師増員というのは、医療を良くする手段のひとつであって、医師増員だけで解決する問題ではないということか。

それが証拠に、どちらのブループの意見を見ても、『医師増員』は5位以内に入ってないぞ。

1〜5位は

1位 勤務医の労働環境の改善

2位 医療事故における訴訟リスクの低減

3 or 4位 医療事故における刑事処分の見直し

4 or 3位 産科、小児科、救急、へき地医療への支援

5位 女性医師の離職防止・復職のための支援

で、3位と4位が入れ替わっただけであとは同じ。

1位と2位を見れば、結果は歴然。

労働環境(主に、勤務時間と給与と仕事量の問題)・・つまり医療費(+医師不足?)

訴訟リスク・・・・つまり、法的な環境整備

が最も解決すべき問題だと、みんなが感じていることなのだ。

 医師増員に消極的な意見が意外に多い理由?

 そりゃ、医療費抑制政策に、明確な改善がみられない

     法的な環境整備が全く遅れたまま

そんな中途半端な状況で、医師だけ増やされても...という不満。

 でもね、いずれにしても、ある程度の医師は増やすしかない。

 それに応じて、医療費も増やさざるを得ない。

ワーキングプア歯科医、ワーキングプア弁護士、と同じ道を辿るのではないか?

 それをみんな心配してるんだよね?

 だから、私は、今、政権交代を力説している。

 民主党が医師の味方?..そんなことはわからない。

  でも、生活者主体、ということばがホンモノなら、必然的に、医療費は増える。

 少なくとも、自民党政権では、絶対に増えない(補助金でごまかすだけ..)

       自民党政権では、政策の転換はできない..。

だから、まず、政権交代。そこで未来がどう見えるか、それをわずかであれ、期待したい。

 そういうことです。

  ===========

なお、不安をかき立てて申し訳ないが、ワーキングプア歯科医の実情を島根から報告しているので、ちょっとご紹介。(月刊保団連2月号 p38〜)

(1) 島根県の歯科医の月平均の診療報酬(健康保険分)

歯科医では、保険の利かない自由診療の部分があるので、それは頭に入れといて下さい)・・・縦軸に医院数、横軸に診療報酬をとると、正規分布ではなく、診療報酬の最も低い群が最も多く、右肩下がりに、診療報酬が高くなるほど医院数が減る!

 診療報酬が200万円以下の歯科医院が全体の69%

      400万円以上は、10%

   (二極化といっていいのかな?)

(2)島根県の歯科医の月平均のレセプト数

 これまた、レセプト数50枚以下の歯科医が最も多い!以下、レセプト枚数の多い群ほど医院数がすくなくなる、という右肩下がり。

 数字が書いてないが、グラフから類推すると、レセプト枚数200枚/月以下が、75%くらいありそうだ..。

ちなみに、島根県全体の平均では、214枚/月だそうだ。(これは少ない!)

 自由診療の多い歯科と、われわれ医科では、直接の比較はできないが、もし、私のところが(開業3年ちょっと)レセプト枚数214枚だったら、借金と、月々の必要経費を差し引いたら、勤務医はおろか、研修医並みだぜ...。家庭の事情により、生活にどれくらいのカネが必要かはいろいろだが...私の場合だったら、せめて300枚/月は越えないと、ちゃんとした生活はできない..。

まあ、そういうこと...。

  ============

 というわけで、心理的に、医師増員に反対する医師が多い事情は、何となくわかる。しかし、わが国の実情を見れば、絶対的医師不足には間違いない。(医師は開業医、勤務医だけではない。行政に携わる医師、研究する医師、教育に携わる医師、企業で働く医師、など、医師の必要な環境はまだまだ増える!)いまだに偏在と言ってるのは、世間知らずだ。

 医師を増やし、なおかつ、安心して医療に邁進できる環境を整備すること。それをめざすこと。それでいいのだ。

 勤務医の労働環境の改善

 医療事故における訴訟リスクの低減

 医療事故における刑事処分の見直し

 産科、小児科、救急、へき地医療への支援

 女性医師の離職防止・復職のための支援

これだけでも、『医師増員』と同時に叫び続けるのだ。

(むろん、6位以下にも、重要な課題が山積みだ!)

余計な対立など、どなたかの思うツボだ。気をつけろ! 



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