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医療崩壊と後方支援
MRICを見ていると、大阪成人病センターの平岡 諦医師から貴重な提言があった。
全文はMRICに掲載された「医療崩壊」を防ぐために必要な二つの後方支援を読んで頂くとして、重要な部分を紹介する。
後方支援;その1):職場環境は病院管理者から。
「医療崩壊」と呼ばれる現在の医療危機は、勤務医が病院を去っていくことで起こる。何故病院を去るのか、過重労働による医療ミス・過労死の危機を感じるからである。過重労働の根源はいわゆる「応召義務」規定である。押し寄せる患者(特に救急患者)に不眠不休の状態で、診察を強いられるからである。
現在の救急医療は殆どが病院、特に公立の病院で行われる。「応招義務」規定を「医師法」より「医療法」に移して、病院として対応すべきである。停電に対する電力会社、断水に対する水道会社の対応は、従業員個人の責任でなく会社としてその責任を果たしている。時代の変化に追いついていない法律、その結果が、勤務医の過重労働、病院管理者の無責任となっている。しわ寄せに耐えられなくなった勤務医が立ち去っていく、これが「医療崩壊」の構造である。
平成18年「医療法」の改訂が行われ第3章「医療の安全の確保」が追加された。これにより「病院管理者は、従業者に対する研修の実施その他の、医療の安全を確保するための措置」を講じなければならなくなった。しかしここには、勤務医(他の従業員を含めて)の過重労働が医療の安全に対するリスクファクターである事の記載が無い(当然、勤務医の過労死・過労自殺も医療の安全に含まれる)。これを追加することで、勤務医が病院管理者により守られることになる。病院管理者に守られている意識が出るようになり、働きがいのある職場となる。そして、立ち去りが解消されるのである。
(後方支援;その2):医療内容は所属学会から。
医療内容に納得がいかない患者・家族・遺族からのクレームや訴訟が増えている。時には検察から起訴されることもある。医療内容に妥当性があると考えれば訴訟を受けて立つことになるが、そのストレスは大きい。この精神的ショックを機に病院を立ち去ることも多い。これが「医療崩壊」のもう一つの構造である。
「医療内容に納得がいかない患者側」対「医療内容に妥当性があると考える主治医」、必要なのは医療内容を判断出来る専門医の見解、特に専門医集団の統一見解である。患者側、主治医側双方からの申し入れに対する受け皿である。受け皿を作り、見解(統一見解)を出せるのは、日本の現状からはそれぞれの学会であろう。
医療内容が不当と判断すれば学会として主治医に処分を科す事になるだろう(自立的処分制度)。学会としては医療内容の底上げを行うような専門医・施設認定制度(自助制度)が不可欠である。「自浄制度」と「自助制度」は車の両輪の如く、専門医を擁する学会には必須の制度である。
一方、医療内容が妥当と判断しても、患者側が納得せずに起訴することもある。その時は、専門医の見解(統一見解)が意見書あるいは鑑定書として法廷に提出され、主治医に有利に働く。特に2008年4月25日の最高裁の判決が後押しをすると思われるからである。この判決を突き詰めれば、「診断は臨床医学の本分だから、例外的な特段の事情のない限りは、医学鑑定を十分に尊重すべきだ」と表明したと考えられるからである(井上清成;「裁判での医学鑑定の尊重」MMJ June 2008, 524-525)。したがって、この様な制度は主治医を支援する制度である。福島大野病院事件で主治医が無罪になったのには、関連学会の統一見解が大きく役立ったと思われる。
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まず、平岡先生の最初の提言だが、病院管理者に当事者能力がどれだけあるのか、残念ながら今は皆目不確実な状況である。個人病院の院長であれ、国公立の開設者であれ、責任を背負う度量がどれだけあるのか、そのような教育をされているのか、非常に難しいところだ。なにせ、いまだにミスとは言えない事象であっても安易に慰謝料(あるいは見舞金?)で妥協する院長あるいは開設者が多すぎるのが現状だ。せめて、法律家が胸襟を開いて、医療再生のために尽力してくれる環境がほしいものだ。
さて、平岡先生の提言は非常に重要で、医師が安心して働ける環境を作るために最低限必要な条件ではないかと思われる。ただ、医療事故、あるいは訴訟について、山形大学の嘉山先生が主張されたように、大学病院を中心に議論をすべきか、学会として議論すべきか、ちょっと悩ましいところである。大学病院がいかに大きくともすべての領域の専門家が揃っているとまでは言えないだろうし、さりとて、全国からの寄せ集めである各専門学会が十分な議論を成し得るのか、これも難しいところだ。
とはいっても、ネット時代に全員が一カ所に集まる必要もない。ここは、両者の長所を是非生かしてほしい。医療事故、訴訟がらみの問題が起こったら、調査の窓口はまず地元である大学。調査の上、判断が難しいケースのみ必要に応じ、学会を利用するような筋道を是非つけてほしい。
ただし、この二つだけで解決するほど医療崩壊は甘くないだろう。
医師数を増やし、医療費も大幅にアップする、せめてOECDの平均に近いところまでは増加させなくてはこれからの日本の医療は維持できまい。
また、マスゴミという非常識集団に常識を持たせることも必要だ。もともと政府・財界の代弁者たる産経・読売、医療崩壊の首謀者毎日、そして、アカい新聞と言われていたのがいつのまにか財界代弁者となってしまった朝日..。社会保障の重要性を説く大マスコミはいないのか? 赤旗の読者が多少増えたところで、この国の医療がよくなるわけではないというのがわからんのかね?
そして少子化対策。究極の経済対策は、少子化対策なんだよ。ついでに言えば、少子化対策が大幅に改善すれば、現場から離れている女性医師の中で、多少は戻って来てくれるかもしれないんだよ。
2兆円も選挙対策に浪費するヒマはないのだ。まったくぅ〜〜....。
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