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大学医局の忘年会-その1



母校のA内科医局の忘年会に行ってきました。

で、まずは歴史から...

 昔の大学では第一内科、第二内科、第三内科という俗にナンバー内科制度になってまして、私の所属した内科の医局は、いろんな研究室がありました。一番の老舗は糖尿病研究室。ところが、私が卒後すぐに生理学教室に入っている間に、消化器中心の第三内科の学内講師が第一内科の教授に40才そこそこで抜擢される、という仰天人事がありまして、教授とともに第三内科から消化管免疫を専門とする研究グループが第一内科に移ったのです。昭和50年代のお話です。この時の教授は、自分のやりたい研究をやってもいい、という姿勢があり、いろんな分野の研究室がそのまま存続しました。

 ですから、第一内科のなかに、


1)免疫研究室(臨床では消化器の専門家が多かった)

2)糖尿病内分泌研究室

3)血液研究室

4)循環器研究室

5)神経研究室

などが乱立し、さらに、研究室ではないけれど臨床では呼吸器を専門とするグループもできました。まあ、いわば総合内科といっても過言ではない陣容だったわけです。

 このような医局の利点は、何と言っても、色んな疾患の患者、色んな合併症がある患者、ってのを、色んな分野の専門家からのアドバイスを受けながら診ることができる、ってことでしょうね。

 いっぽう、個々の研究室のサイズが小さいと研究業績を集めるのが厳しくなります。互いに競って、臨床も研究も頑張っていましたが、時代は徐々にディヴィジョン化に向いました。

 わが母校も全国的にみてかなり遅れましたがディヴィジョン化が成立し、消化器内科とか、循環器内科とか、臓器別に再編され、当然の如く、各ナンバー内科に分かれていた研究室を合併させる作業が行われました。少なからず混乱が起こりましたが、何とかおさまりつつある、といったところでしょうか。

 ディヴィジョン化で研究室の規模が大きくなり、研究面でも臨床面でも専門分野の患者をたくさん診ることができてめでたしめでたしのはずでした。

 ところが、厚労省が拙速に新研修医制度を始めたため、新しい医師の入局が減る医局がどんどん増えて、研究も臨床も教育も次第に厳しい環境になりつつあります。わが母校はまだましとは言え、決して楽ではないようです。

   ==============

 さて、私は神経内科医ですが、このようなナンバー内科にまず在籍した経緯から、いわば専門外のA医局にも在籍し、忘年会にも出席しているわけです。

 今年、A医局は大変複雑な状況にあります。というのも、A医局の教授が、もともと前教授とともに第三内科から第一内科に移って来たメンバーであったこともあり、A医局の教授からB医局の教授へと横滑りしちゃったからであります。ご丁寧に(偶然なのですが)、B医局の忘年会と日が重なったこともあり、かつての忘年会に比べ随分出席者が少なくなり、会場も小さくなっていました。以前、100名以上いたのが、半分近くになった感じでした。やっぱ、ちょっと寂しい感じ...。

 で、何が大変って、実は、新しい教授専攻の最中..なんですね..。実際に新教授が決まるのは来年ですが、おそらく、この会場内に複数の候補者がいるはず...。微妙な緊張感がありました(汗)。といっても、結構みなさん仲いいんですけどね。

 さて、忘年会が始まりました。司会進行をしているのはおそらく教授選の候補の1人のはず..。そして、開会の挨拶をするのももれまた候補の1人。他人事としてみれば面白いかもしれませんが...。どちらも人柄よく、私が信頼している先生なので、教授選で変な空気にならないことを切に願うばかりです...。

 で、最初に挨拶された先生、いきなりブラックジョークをかっとばしてくれました。

え〜、私がこのような席で、最初にご挨拶をさせて頂くのは、今回が初めてのことですが、これが最後になるかもしれません。

結構、受けました。われわれOBだけでなく、現在の教室員も笑っています。これで少し安心しました。この発言で場がしら〜っとなるようだと将来が心配ですが、これならきっと、どう結果が出ても、みんな頑張ってくれることでしょう。

 さて、忘年会にはいろんな先生がいます。開業してるのもいれば、救命センターでバリバリやってるのもいます。病院長もいます。市内の病院にいるのも、遠くに出張してるのもいます。楽しんでる先生も、疲れ切ってる先生も、昔の仲間の顔を見るとほっとします。これは、これまでの教授や上層部の人柄も大いに関係します。私はこの医局の出身でよかったと、つくづく感じます。昔、医局でスキーに行ったことや、夏の琵琶湖にレクリエーションで行ったことなども思い出しました。そして、最近診た患者さんのことで、いろいろと相談する相手もたくさんいました。有難い人脈です。開業医にとって、こういう人脈は財産です。

   =============

 昔は、寸劇対決ってのがありましたね。研究室対抗とか、一年目と二年目の研修医対決ってのもありました。ま、夜遅くまで病棟で働いて、それでもなお、忘年会の寸劇だけは絶対手を抜くな!、という先輩もおりまして、実ににぎやかな時代がありました。医局の秘書さんがメーキャップアーティストになっておりました。まあ、グロいのや、キタナいのや、このときとばかりに先輩をからかうネタのオンパレードでしたが..。

   −−−−−−−−−−−−−

 ところが、最近は研修医不足、医局員不足で寸劇どころではありません。楽しみが減りました。今回もビンゴゲームだけでした...。

 おまけに、私は、ビンゴ、3番目くらいに当たって、喜び勇んで前に出たのですが、今回は、何と、ビンゴになってからさらに抽選券を引くというシステム..。おいおい、ビンゴの意味がないじゃんか!(かつて、折り畳み自転車やPSPをゲットしたのに、今回も当たれば、Wiiなどもあったのに...)3番目にビンゴだったのに、抽選では26番目くらいのになって...女性用電気カミソリなんかもらっちゃって....。

   ===================

 さて、ビンゴも終盤になって、思わぬ乱入者が...

 そうです!、B医局の教授へと転任したあの教授です! B医局の忘年会を中座してこちらへ現れたらしい..。それも、女性をひとり連れて..

 おや? 見たことのある女性...。それもそのはず。かつて、私が勤務していた公立病院の神経内科病棟で苦労を共にした婦長(あ、看護師長か..)じゃないっすか!

 そうか、彼女は、あの公立病院が廃院になってから、母校の大学病院に移って外来の看護師長をしてるんだっけ。まあ、元気そうでよかった。大学病院の外来だから、あちこちの医局の忘年会に行ってるんだな...。

 前の教授が上機嫌でビンゴを中断してごあいさつ。

「A医局の忘年会がB医局の忘年会と重なっていると聞いて、○○君に『おい!、何でこの日に忘年会するんや?』って聞いたら、『先生がこっちの教授だった時に先生が決めたんやないですか。』と言われてしまいました。申し訳ありません。まあ、来年、新しい教授が決まるまでは、前任者が責任を持たねばなりません。今日は、来年の忘年会の日程が重ならないようにこの場で決めたいと思います。」

 あ〜あ、仕切っちゃったよ。さっそく、若いのに会場の都合を聞きに行かせて、ホントに来年の忘年会を決めちゃったよ。

 この先生、いろいろ批判は確かにありますが、ポリシーはしっかりしています。母校の発展のために勉強できる場を研究できる場を作りたい、ってことでしょうね。単科大学で、企業の寄付講座を5つも6つも作れる人は滅多にいませんからね。

 研究者より実業者にみえるところが好き嫌いの分かれ目かもしれません。

    ==================

 さて、忘年会で、大学医局についていろいろな病院で頑張ってる先生に話を聞くと、私が思っていた通りの意見が帰ってきました。

 「最近、ネットで大学の悪口を言う人が多すぎる気がする」

 「大学には大学の良さがあるのに、なぜ、知りもしないで批判するんだろう?」

 私も正直、最近のネット発言にはちょっと違和感を感じることがあります。無論、医局もいろいろ、問題もあるでしょう。ですが、これほど幅広い人脈を得られる環境はなかなかないはず。まして、臨床、研究、教育を体験できるのです。選択には慎重を期すべきではありますが、見ずして批判するのはどうかと思います。ま、私は運がよかったのかもしれないが...。



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コメント一覧

市中病院で研修、後期レジデントの途中から2年間大学の医局に属しました。
確かに、大学の医局は属してみる価値がある、と思います。全ての医局がそうであるか、は微妙かと思いますが。同じ方向を向いて頑張っている仲間というのは、極めて居心地も良いですし、欲しい情報が沢山得られるメリットがあります。

一方で、初期研修は市中病院で良かったな、とも思います。最大の違いは、コメディカルの方々からの介入でしょうか。大学ではなかなか真剣に「諭して」くれるコメディカルには出会えません。「怒って」くれる看護師さんはいますが・・・
他科の上級医からも何かにつけて声をかけてもらえましたし、その辺が違いでしょうか。
written by 信州人 / 2008.12.22 21:14
信州人さま、ありがとうございます。
 実は、私も医局には属していても、大学病院で働いた期間は短いものでした。私の医師のキャリアの大部分は関連病院です。私がラッキー?だったのは、一つの病院に長く在籍できたことかもしれません。
 ただ、医局というつながりにより、多くの研修医とも関わり、その若かった連中がいまやいろんな市中病院や大学で重要な職に就いています。
 たまに顔を合わせると、やはり昔話の一つも出ますし、先輩−後輩、あるいは同志のような親しみを覚えます。
 上手く選べば、大学は決して悪くないでしょう。市中病院でもいろんな学会発表の機会を得たのも大学との関連があったからだと思っています。

ただし、大学でひどいめにあった先生も少なくない、というのが現実なんだとは思っています。誰にでも勧められるとは思いません。

恐らく、私はクラブの先輩後輩といった関係もあって、教授とうまくやれたのだろうと思っています。でも、ウチの医局では他大学から来た先生も大学に残って結構頑張っていたりして、オープンですよ。自分から壁を作る人はうまくいかないでしょうね。
written by Doctor Takechan / 2008.12.23 00:52

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